被災者補償に優先する東電債 | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

被災者補償に優先する東電債

という事で、電気料金アップ以前に「東電を丸裸」にするのが筋である事から、東電負担が減免される賠償機構スキームではなく、会社更生法で破綻処理すれば良い、といった真っ当な考え方が横行しており、当然ながら自分もこれに賛同している。


しかしそんな中、池田信夫氏 の記事の中に「会社更生法で処理すると、被災者の損害賠償請求権よりも東電債(保有者)の方が優位弁済を受ける」と言うような事が書かれてあった。 これは佐藤ゆかり議員と小川法務副大臣の、国会でのやり取りの中で提起された「問題点」だったようだ。


という事で、東電債と被災者の損賠請求権を分かり易く位置付けてみた。

すると以下のような感じとなる。(上から優先弁済の高い債権


1.共益債権    他の債券に先立って弁済される

2.更生担保権  一般更生債権よりも有利な弁済

3.更生債権

   1.優先的更生債権 →東電

   2.一般更生債権  →被災者の損賠請求権

   3.劣後的更生債権


この事は会社更生法の第4章-第5章 に書かれてある訳ですが、ご覧の通り被災者の損賠請求権よりも東電社債の方が優位に立っている事になる。

なので佐藤ゆかり議員は、「会社更生法で破綻処理すると、5兆円もの東電社債の規模を考えた場合、被災者への賠償が棒引きされてしまうのではないか」といった懸念(問題点)を、法務副大臣に質問したようだ。


しかしこの事に関しては、岸博幸氏が「特別立法によって、被害者の補償金はカットしないなどの特例を設ける事が十分可能」と以前から指摘していた事を思い出す。

ただ実際には、社債保有者のみならず株主責任も問われる事はなさそうな気配だが。