東電からの「火の粉」
東電の「賠償の旅」が始まった。KDDIなど保有株売却 の着手に掛かったらしい。
という事で、東電のQ3バランスシート (資産サイド)を観てみる。
流動資産を観てみると、昨年末時点では1兆3800億円を超えている。手元流動性を計る上で、上から3つを確認。
①「現金&預金」は約3665億円。②「受取手形&売掛」が即座に流動化できたと仮定して、①とほぼ同額の約3666億円。 で、③短期投資が約3110億円という事になる。
③がどれだけ減損しているのは定かでないが、これで考えると約1兆円の手元流動性を確保できる事になる。先日の銀行団からの2兆円融資を加算すると、目先の損害額に対して3兆円のバッファーがある、という事になる。
本日は、そんな東電による売却懸念から当然ながらKDDIは売り先行なわけですが、前場は思ったほど下落していない。 KDDIはここ数年間、売上・純益ともに飛躍はしないものの安定しており、前期(11年3月)・今期予想(12年3月)共にほぼ同じ数字で、予想EPSは55000前後の予想PERは9倍となっている。 財務の健全性を考えても資本移動はないだろうし、当面は株価55万円をレジスタンスとしたボックス圏内の値動きが基本シナリオ、といえるようなイメージ。 イメージ、というのは銘柄情報を今パッと見た感じの印象だという事です。
東電の売却報道にも(現在のところ)腰折れしにくいように映るのは、KDDI株価が割安にある事も関係してそうだ。
とまぁ関係の無い事に言及したわけですが、市場関係者が気にしているのは、やはり東電の保有株・大株主という事になる。特に東電の保有比率の高い銘柄は、普通に考えると腰折れしやすい状況を迎えたという事になるだろう。(と言う事で保有比率も明記)
東京電力の保有株 (10年9月)
KDDI(9433) 357千株 7.97%
関電工(1942) 94,753千株 46.15%
AOCH(5017) 6,839千株 8.74%
ガス開(1661)
高岳製作所(6621) 29,902千株 28.17%
東光電気(6921) 13,181千株 45.38%
ACCESS(4813) 4千株 1.15%
日本コンクリート(5269) 7,204千株 14.02%
静岡ガス(9543)
大崎電気工業(6644) 1,779千株 4.61%
東京エネシス(1945) 2,081千株 5.59%
アジア航測(9233) 441千株 2.91%
ネプロジャパン(9241) 1千株 4.37%
東京電力の大株主 (10年9月)(%)
日本トラスティ信託口 5,984 (4.4)
第一生命保険 5,500 (4.0)
日本マスター信託口 5,485 (4.0)
日本生命保険 5,280 (3.9)
東京都 4,267 (3.1)
三井住友銀行 3,592 (2.6)
みずほコーポ銀行 2,379 (1.7)
自社従業員持株会 2,217 (1.6)
SSBT・OD05・オムニバスアカウントトリーティ 1,762 (1.3)
日本トラスティ信託口4 1,640 (1.2)
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今後も避難区域の拡大や、海洋汚染に伴う漁業関係者への賠償額拡大など、東電の不透明な損失は大き過ぎる。 今後は上記企業群を含めた、全てのステークホルダーへの「ドミノ損失」も注目されそうだ。