あり得ない「隠蔽ありき復興」 | ニューノーマルの理 (ことわり) Powered by Ameba

あり得ない「隠蔽ありき復興」

政府・保安院・東電にとって都合の良い「低レベル汚染水」という言葉を、どれほど多くの人が鵜呑みにしているのか定かではないが、放出された汚染水の内容は明かされていない。


以下は、4月13日の衆院内閣委員会での吉井議員と枝野官房長官とのやり取り


吉井氏は、「低レベル」汚染水を放出したとしながら、「低レベル」かどうかを判断するためには「核種」(放射性元素の種類)ごとのデータを明らかにするよう求めました。

経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭院長は、発表ずみの放射性ヨウ素・セシウム以外は「少し時間がかかる」としか答えられませんでした。


吉井氏は「何が放出されているのかさっぱり国民に公開されていない。東京電力いいなりで、とんでもない話だ」と批判しました。

-------------------------------------------


日本が今回の事件で国際的な信頼を回復するには、情報をどんどん公開していかなくてはならない。 この期に及んで失敗を認めようとしない原発村(政府・経産省及び保安院・東電)の人間たちが、日本の復興を大きく妨げているという事に気付かなくてはならない。簡単に言うと、復興を叫んでいる連中が復興を妨げている訳だ。


という事で、フランスから「シロッコ・データ」(the Sirocco system team)。

あののち 、海洋汚染拡散シミュレートとしては、以下のようになっている。


海に直接流され、海水に溶けた放射性物質の拡散シミュレーション

 ニューノーマルの理  ニューノーマルの理


一番気になるのは、上記「海水に溶けた放射性物質」になる。左が4月2日で右が4月11日。汚染水は薄まる事無く、塊のような状態になって北東に向かっている。シロッコのデータによると、北緯37度から南の方へはあまり拡散していない、といったシミュレートのようだ。 以下、②-④は全て4月11日付のもの。


海に直接流された粒子状の放射性物質の拡散シミュレーション
 ニューノーマルの理


大気から降下し、海水に溶けた放射性物質の拡散シミュレーション ニューノーマルの理


大気から降下した粒子状の放射性物質の拡散シミュレーション
 ニューノーマルの理


③、④については、大気から降下しているので範囲は広い。ただ、やはり直接海に流されたものと比較すると、放射能レベルは低い。 しかし何度も言うように、これは放射能の数値はあくまで参考であって、拡散状況の公開を意図しているものになる。(シロッコ)



独立した審査機関の必要性


事態が収束に向かった暁には、原発の運用を審査する外部機関を設けなくてはならないだろう。これは先日のBSプライムニュースでも言っていた。フランスやアメリカなど原発先進国の専門家等を含めた外部の審査機関が必要になる。 保安院がただの飾り、というよりもむしろ「弊害」だった事は、今回の事件をきっかけ明らかになっている。


日本が今後、原発に頼るにしても、原発村の内部に審査機関を設けているような構造のままでは世論の賛同を得る事は到底不可能だろう。今現在、原発を推進するアメリカやフランス等からも、日本に対する批判は強烈なものになってきた。 そういう意味でも、欧米は日本の原発運用はしっかりと監視したいはずだ。何しろ原発事故は日本だけの話ではなく、地球規模の災害になる。


そういえば、原発事故の直後に「メルトダウンの可能性」について言及した保安院の中村幸一郎審議官が、会見担当から外されたという話も既に知れ渡っている ようだ。 「国民の不安を煽った」、という理由で菅首相と枝野官房長官から外されたらしい。 「炉心を直接見ることはできない」と言った枝野官房長官の言い分も、事故直後だった事を踏まえれば考慮されるべき点はあるものの、今後重要なのは透明性になる。


相変わらず、原発村の人間たちは津波のせいにしていますが、大津波といえどもそれは地球のあるがままの姿であり、意図せざる天然由来だと言える。地震と津波までの天災までなら、日本は立ち直れた。本当の危機を招いたのは人間だという事を認めなくてはならない。


ここにきて増税議論も活発化してきましたが、今必要なのは、増税ではなく「失敗を認める姿勢」だと言える。国民負担を強いる以前にその視点が抜け落ちているのではないだろうか?大気汚染にしても海水汚染にしても、何故、当の日本人が海外サイトを見なくてはならないのだろうか? 日本が通貨安を歓迎する輸出型のビジネスモデルに固執するのであれば尚更そうで、隠蔽ありき復興などあり得ないし、第一そんな事は国際社会が許さないだろう。 透明性無くして本当の復興などあり得ないのだ。