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腐ったミカン

先日30日には、東電の会長である勝俣恒久が出てきた。


07年の新潟県中越沖地震で、被害者意識を前面に出した 挙句に社長を退いた、いわゆる厚顔無恥な男になる。新潟の方なら、この男の事をよく知っているかも知れない。東電の体質を体現したような男といえる。


新潟地震を教訓にしたのか、上辺だけの謝罪会見はどうやら上達したようだ。

しかし「補償についてはアンノウン 」などといったフザけた事を連呼し、やはりというかその本質自体は隠しようがなかった模様。 第一原発に関しても、「一定の安定をみた」等とトンデモ発言をして、さっそく原子力安全委員会から厳しく批判 されている。

更には、この会長、「1-4号機は廃炉にせざるを得ない」と言ったらしい。

これは言い換えると、(この期に及んで)5、6号機の運用維持には拘っている、という事を言っている事になる。 これに対しては、さすがに枝野官房長官も呆れかえった ようで、この会長が会見した事によって東電の目論見がバレたのではないだろうか。


自分が「計画停電は原発推進(東電)によるプロパガンダ」と感じているのは、東電が5・6号機の運用維持に拘っているのではないかと常々感じていたからだ。


過去エントリー(隠蔽の帰結 )に掲載したように、福島第一原発1号機は3月26日付で設計寿命の40年を迎える予定だった。それ以前にも点検漏れが発覚していた事から、地元住民が1号機の運転継続に対して強く反対の意思を示していた。

にも関わらず、東電は原子力安全保安院と「グルって」設計寿命を大きく超える「60年運用」にこぎ付けた 。(世間は気にしていないが)


地元住民の申し入れ書 を再確認すると、2-6号機の全てが、今後10年以内に当初の設計寿命である40年を迎える事になっているが、2-4号機は被害状況から見て廃炉せざるを得ない。 しかしながら、5-6号機が運転再開となった事で、東電としてはここの運転維持に拘っているのだろう。

1-4号機の廃炉を「やむなし」としても、1-6号機すべての廃炉となると、「損失が更に拡大する」と東電は考えている。 たとえば、過去に起こった浜岡原発事故における1号機廃炉の費用は700-800億と言われており、これを基準と考えるならば東電が5-6号機の運用維持にこだわるのも容易に想像が付く。


さらには、5・6号機を廃炉にした場合、1-6号機全ての出力電力と同等の火力発電所の建設・燃料コストは、1兆円を軽く超える、と考えられる。 これらを考えると、東電が5・6号機の運用維持に関して、「すがる思い」である容易に想像が付く。 それは、地元住民の強力な反対を「軽くスルー」し、寿命年数(40年)を大きく超える60年維持にこぎ付けた1号機の例を見れば明らかだ。


さらにはムーディーズやS&Pといった格付け会社は、東電が、原子力発電に代わる火力発電などの新規建設の開始を想定 、そうなった場合の運用コストを考えた上で今後も格下げしてくるはずだ。(原子力よりも化石燃料費はかなりの割高)


という事で、地震2ノッチの格下げ(ムーディーズ・18日)により、5年物東電債のCDSスプレッドは400bpをプッシュしている。

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これに並行して、東電債の利回りも急騰 。 再建目論む東電としては、あらゆる意味から5-6号機の運用維持にこだわっている訳だ。(実際には無理)

東電としては、5-6号機の運用維持に「ほんの少しでも」望みがあるまでは、広野と常陸那珂の故障 に関して、実質見て見ぬふりをしたいのではないだろうか?IEAにしても、日本は電力不足を十分補える、と言っている。


ちなみに、計画停電にしても多くの人が言っているように、エリアごとではなく個々の契約電力を1-2割カットでもすれば、交差点での事故なんて起こらない。すでに交差点での事故で亡くなった方がいるようですが、東電の無計画な停電によって殺された訳であって、この責任を東電関係者がどう感じているのかは、彼らのみぞ知る。


契約電力のカットであれば、例え1年計画停電が続いたとしても、契約者だって我慢できるだろう。少なくとも、現在の状況よりは遥かにマシだと言える。

あくまで素人考えだが、そのような方法は採れないのだろうか?採れるのだけど、面倒だとかコストが掛かるとか、原発推進だとか、その辺なのではないだろうか? この企業に関しては、どんなに疑っても疑い過ぎる事はないわけです。


で、オマケという訳ではありませんが、こちら。

義援金395億円、日赤と中央共同募金、過去最高ペース


義援金は自治体などでつくる配分委員会で、使途や支給額が決められ、被災者に分配される。 ただ、「罹災(りさい)証明書」などを発行する被災自治体側の準備が整っておらず、委員会開催のめどは立っていないという。(記事)


すでに600億円近くになっている義援金ですが、被災者に配られるどころか、配る目処も立っていないという。 義援金に関して常々思うのが、集める時だけ大きく報道し、分配結果は大きく報道されない。 恐らく、募金した人が募金した時点で「全額被災者に行き渡る」と安心(勘違い)し、分配結果を気にしないのがその理由だろう。

こんなんでいいんですかね。