希望 | 為せば成る 為さねば成らぬ 波乱万丈な日々

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エーザイは18日、新型抗がん剤の開発と販売で、米製薬大手のブリストルマイヤーズスクイブ(BMS)と提携したと発表した。契約一時金や開発の進捗に応じた収入で最大31億ドル(約3400億円)を受け取る。認知症分野に加え、抗がん剤でも新薬の承認を目指し成長へつなげる。

提携した新薬候補は「MORAb-202」。人間の免疫のもとになる「抗体」とがんを攻撃する化学成分を結合させる新型抗がん剤「抗体薬物複合体(ADC)」の一種で、第一三共武田薬品工業アステラス製薬などが実用化した。エーザイは2015年から開発を始めていた。エーザイにとって初めてのADCで、自社で開発した抗体に10年から発売する抗がん剤「ハラヴェン」を組み合わせる。

現在は初期の臨床試験(治験)を日本と米国で進めている。子宮内膜がん、卵巣がん、肺がん、乳がんを含む患者に対して投与しており、一部の患者ではがん細胞を攻撃する効果がみられたという。今後はBMSと共同開発へ移行し、早ければ22年にも最終段階の治験へ進む予定だ。迅速承認などの制度を活用できれば大規模な治験は必要ない可能性もある。

今回、エーザイの開発品が共同開発・販売に移行するのに伴い契約一時金として6億5000万ドルを受け取る。共同で進める治験の結果が良好だったり、各国当局からの承認を得たり、開発後に一定の販売目標を達成したりするなど段階ごとにエーザイはBMSから収入を得る。最大で24億5000万ドルになる見込み。日本、中国、米国、欧州などの製品販売の利益の配分については開示していないが、一定の割合で分ける。

エーザイにとってがん領域は認知症と並ぶ大きな柱のひとつだ。1987年にがん事業へ参入し、抗がん剤としてハラヴェンや「レンビマ」などを製品化。特にレンビマは18年に米メルクと提携し、総額57億ドルの契約を結んだ。21年3月期は1339億円売り上げ、ブロックバスター(年間売上高10億ドルを超える医薬品)に成長している。認知症の新薬の開発を進めるうえで重要なキャッシュ創出の役割を担ってきた。

ただ、レンビマは26年ごろにも特許切れを迎えるとされパテントクリフ(特許の崖)への対応が急務だ。今回の提携について、シティグループ証券の山口秀丸氏は「認知症新薬に加えて良いディールだ。BMSはブロックバスターに育つのを前提に契約している」と話すなど、レンビマの後続品として期待がかかる。

エーザイは7日、米バイオジェンと共同で開発する認知症新薬「アデュカヌマブ」が米当局により承認されるなど、好材料が相次いでいる。18日の株価は一時前日比1235円(10.8%)高い1万2635円と上場来高値を更新した。認知症分野ではもうひとつの新薬候補「レカネマブ」の開発費用もかさむ。今回の提携によりがん事業での安定的な収益確保にメドがつけば認知症とがん領域の両輪で成長につなげられる可能性がある。