仏典には無数の仏が登場します。過去の仏、現在の仏、そして未来の仏です。

全ての仏は、一大事因縁の故に、この宇宙に出現されます。

私達が存在する大宇宙は無限です。現代物理学では、量子論が最先端の宇宙像を展開していますが、それによれば、ビッグバン宇宙論などをはるかに超えた仮説が次々と提示されています。

仏法では、「人の一念・思いは、全宇宙に瞬時に広がる」と教えますが、現代の量子論でも、それは例えではなく、現実に起きている現象だと認めました。私達が存在する”天の川銀河”の中の地球から、光の速度で数百万年かかる隣の銀河”アンドロメダ”に存在する星との間で、瞬時に”コミュニケーション”が可能だそうです。これを”量子もつれ”と言います。

仏は、人の思い・心と宇宙の関係を悟られていて、私達にそれを伝えるために此の世に出現されるのです。

現時点での人類の科学的知見は、約二千億の銀河の膨張を観測しています。

私達の住む天の川銀河は、約二千億の太陽で構成される渦巻状の円盤で、直径が約十万光年、その中には、生命が存在する可能性の星が数十億個ある計算になるそうです。

そして、地球人類と同様な知的生命が存在する星は、仮に一万有るとすれば、天の川銀河だけで、一万人の仏が存在する事になります。私達の地球は娑婆世界と呼び、仏は釈迦になります。

釈迦は、今から約三千年前に此の娑婆世界に興出され、人類に仏の知恵を教えられます。それが一大事因縁です。

四仏知見・開示悟入。 これは、法華経方便本第二で説かれます。序本が第一ですから、実質、法華経説法のスタートになります。八年間に亘って二十八品が説かれていきます。一般に、法華経の開経と言われる無量義経には、「四 十 余 年 未 顕 真実」とありますから、いよいよ仏としての出世の本懐を遂げる仕上げに入られるわけです。

では、一大事である”四仏知見・開示悟入”の実態は何でしょうか?

仏法で述べる”一大事”とは、一つで止める内容です。あれだ、これだ…ではありません。

宇宙は無限です。しかし釈尊は、五百塵点、三千塵点と述べます。須弥山を中心として日・月・四大州・六欲天・梵天などを含む世界を一世界とすれば、三千大千世界は、三十億の世界になります。塵点とは、その世界を全て集めて粉にして、ある距離の宇宙空間を過ぎて一粒の粉を置き、順々に無くなるまで進んで下さい…と経文にはあります。

寿量品には「五百千万億那由佗阿僧祇三千大千世界」とありますから、仏典に慣れた方は、此の數が掛け算であることを御存知でしょう。寿量品で仏は、此の數を時間の長さに例えるため、”劫”という時間の単位を付けて、想像できない長い過去の時を表していますが、これを空間の広がりに当てはめると、いったいどれだけの數の星に人間が住むのか、宇宙がどれだけ広いのか、仏の説かれる無限大の宇宙空間には、言葉もありません。

釈迦は、八年の歳月を使って法華経を説き、何を人々に悟らせたかったのか?

それは”抜苦与楽”の方法です。苦しみの根源は、この世に生を受けた瞬間から命に刻まれます。”生老病死” 全ての命ある物は、此の宿命を生まれた瞬間に刻まれます。命を持たない物もまた、成住壊空の法則から逃れる事はできません。

命ある者にとって、”生老病死”の苦からの解放こそ、”与楽”そのものなのです。

では、仏の教える”抜苦与楽”の方法とは何でしょうか?

それは一言で説かれます。”永遠の輪廻”です。生まれる事は、一日の目覚め。死ぬことは、明日に向けた眠りです。

その様に信じる事ができたら、人生に希望が生まれます。「さあ、今日は何をしようか?」 「明日は何をしようかな?」

これを生涯実践できたなら、”苦もまた楽し”です。

永遠の生命の活動・生老病死の輪廻、これが宇宙の法、仏法なのです。

頑張ったから老いる。疲れたから休む。病は休息への準備です。死は暫しの休息です。良い夢を、また来世に!

仏は、衆生に対して、この様に生きなさい。それが成仏、”現世安穏・後生善処”の法ですよ。と諭されます。

しかし、現代人は、此の永遠が信じられません。「死んだら終わり、有るのは無」これでは、若い内、あるいは健康な内は、元気で活発です。そこそこの”苦もまた楽し”です。しかし老が迫り、疲れが溜って病に出会うと、死への恐怖に怯えることになります。まさに臨終の砌には、恐怖の最たるものに襲われるかもしれません。仏法が臨終の姿を重視するのは、これが来世の原点になるからです。”終わり良ければ全て良し” ”臨終正念”です。

死への恐怖を来世の希望に変えることが、根本的な”抜苦与楽”なのです。

現代人の知識重視、科学重視、そして近視眼、刹那の快楽。まさに生命にとっての重病因子です。

この重病因子を取り除けるのは、末法の仏・日蓮大聖人が永遠の時空の法として教える力の存在を学び獲得する以外にないでしょう。次回は、具体的にその力を説明します。