不条理ゆえに我信ず | 英語学習兄弟

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『不思議の国のアリス』やマーク・トウェインの小説を取りあげて、英語の翻訳や解説などやってます 

"I can't believe that!" said Alice.

「信じられないわ!」 アリスは言った。




白の女王の歳を聞いて、アリスは驚いてしまいます。

今やファンタジーやSFでは、登場人物が100歳越えてても、それがデフォルトのようになってる感がありますが。

アリスにとって、それは「あり得へん」ことです。

なのに、なぜ白の女王が初めに something to believe (信じられること、信じるべきこと)と言ったかというと。

2世紀のキリスト教神学者テルトゥリアヌスの、「 I believe it, because it is absurd. (不合理なるが故にわれ信ず)」という思想をほのめかしているようです。

確かに、白の女王の言葉は absurd (ばかげている)。

でも、テルトゥリアヌスの言葉の意味は、「不合理であればすべて信じる」というものでも、「合理的なものは一切信じない」というものでもありません。

それをあえて曲解してみせた、キャロルのユーモアです。

The Annotated Alice より引用・参照。

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