理想の英語学習とは? 最新の言語学研究より」という記事を書いているブロガーがいます。その人いわく
日本には、本当に様々な英語学習法があふれています。そして、「カリスマ教師」や「英語コーチ」や「英語○○○」やら、怪しい人がいっぱいいます。

 

確かにブログ村「英語学習法」カテゴリにも怪しい人がいます。

 

Paul Nationという学者の言ってることですが、第2言語(外国語)の学習には、以下の4つの要素(Four Strands)が必要だということ。そして、大切なのが、この4つを「同じ割合で」行うのが理想ということ。つまり全て25%になるような割合がいいというのです。

 

Paul Nation教授が初めてFour Strandsに言及した論文はThe Four Strands of a Language Courseです(TESOL in Context Volume 6 Issue 1, 1996)。今からほぼ20年前になります。この中でNation教授はThis paper suggests that a well-balanced language course should consist of four roughly equal strandsと述べています。Four Strandsとは以下の4項目です。
1. Meaning-focused input
2. Meaning-focused output
3. Fluency development
4. Language-focused learning

 

ところが、このブロガーは最後に
日本で、英語ができるようになるには、1~3、つまり「楽しみながら英語を使う」ことが何より大切なんです。もう今すぐ、手元にあるお勉強本や問題集は売ってしまいましょう!

 

このブロガーは「理想の英語学習とは? 最新の言語学研究より」という記事で「第2言語(外国語)の学習には4つの要素(Four Strands)が必要で、この4つを同じ割合で行うのが理想ということ。つまり全て25%になるような割合がいいというのです」と紹介しています。それなのに、「英語ができるようになるには、1~3、つまり楽しみながら英語を使うことが何より大切なんです」という結論にしています。英語教師対象の研修で一体何を学んできたのでしょうか?

 

Paul Nation教授は「4つの要素に同じウエイトをかけてバランス良く学びましょう」と主張しているのです。それを自分のブログで紹介しているにも関わらず、途中から迷走して誤った結論に至っています。

 

全て25%になるような割合が良いということは、Language-focused learning(言語形式の学習、すなわち文法・語彙等の学習)とMeaning-focused input(多読多聴など)の割合を同じにするということです。Paul Nation教授は、Language-focused learningが不要だと主張しているわけではありません。それどころか、Nation教授はフラッシュカードを使った語彙学習を高く評価しています。

 

Nation教授は全て25%と述べているようですが、あらゆるレベルの学習者においてFour Strandsを全て25%ずつにすべきだとは思いません。概ね均等にバランス良く時間配分するのが好ましいとは思いますが、学習者の目的や習熟段階によっては、特定のstrand(s)に重点を置いても構わないでしょう。ただし、あまりに偏った学習が正しいはず無いですね。

 

英語ができるようになるには、1~3、つまり「楽しみながら英語を使う」ことが何より大切なんです。

Nation教授の書籍を紹介しておきながら上記のような事を書いていると、自分の主張が間違っていることを自ら公言しているようなものだと思うのですが(苦笑)。理解に苦しむところです。所詮この人も英語ムラのひとりなのかもしれません。こういう記事を書くことによって、ある出版社の利益に貢献しているのでしょうか。