今日は、英語のリスニングとリーディング技能に関して、内向的女性と外向的女性を比較した研究論文を紹介します。

 

Comparing The Performance of Extrovert and Introvert Intermediate Female EFL learners on Listening and Reading Tasks

 

調査対象は13~24歳の中級レベルの英語学習者(すべて女性)です。最初にPreliminary English Testを実施し、intermediate(中級レベル)と判断された女性を選びました。次にEysenck Personality Inventory(アイゼンク性格検査)によって内向的と外向的の二群に分けます(45人ずつ)。そして、リスニングとリーディングの試験を実施し、両群間で差があるかどうかを検討しました。

 

結果1:リーディング試験の点数は、外向的な人が41.15で内向的な人が43.80でした。内向的女性の方が平均点がやや高いですが、t検定の結果、両群間に有意差はありませんでした。

 

結果2:リスニング試験の点数は、外向的な人が39.59で内向的な人が51.41でした。マン・ホイットニーのU検定の結果、両群間の差は統計的に有意であり、リスニングは内向的女性の方が有意に優れていることが分かりました。

 

「シャイな人は外国語ができるようにならない」という意見とは逆の結果が得られています。リスニング試験で内向的な人の方が成績が良かった理由として、"they generally have a reflective and thoughtful personality type that suits the receptive kinds of tasks" という文を引用しています(Eysenck 1965)。

 

ただし、この研究結果だけで、内向的な方が外国語習得に向いていると断言するつもりはありません。女性だけを対象にした調査ですから、男性にも当てはまるとは限りません。さらに、中級レベルの学習者の結果が上級者にも該当するかどうかは分かりません。アイゼンク性格検査に基づいてExtrovert/Introvertの二群に分けましたが、実際はその中間的性格を持つ人も少なくないでしょう。

 

学習課題の種類によっては内向的(または外向的)な人に有利な場合もあると思いますが、それはあくまで「傾向」であり、内向的・外向的という性格が課題達成にとって「必要条件」になることはまず無いでしょう。