> 英語の先生が大好きな「ディクテーション」もダメです。特に、単語などの穴埋めディクテーションなんていくらやってもダメです。←クリック

 

ディクテーションが聴解力向上に有効であるという研究論文を二つ紹介します。
研究1
TESL Canada Journal, Vol 20, No 1: 57-63
The Effect of Frequent Dictation on the Listening Comprehension Ability of Elementary EFL Learners
G. Reza Kiany and Ebrahim Shiramiry

 

対象:20~35歳のイラン人男性をランダムに対照群と実験群に分けた(各30人ずつ)。
方法:1ターム(100分授業×20回)を通して、対照群は教科書のリスニング課題に取り組んだ。実験群はそれに加えてディクテーションを11回行った。両群ともタームの最初と最後にNCTE Elementary Listening Testを受けた。
結果:対照群のPretestとPosttestの平均値はそれぞれ56と62で、増分は6であった。一方、実験群(ディクテーション群)の平均値はそれぞれ54と68.58で、増分は13.91であった。Testスコアの増分は対照群より実験群の方が統計学的に有意に大きかった。

 

研究2
International Research Journal of Applied and Basic Sciences, Vol 5, No 2: 238-244
The Effect of Partial Dictation on the Listening Comprehension Ability of Iranian Intermediate EFL Learners
Amir Marzban and Maryam Abdollahi

 

対象:イランのIntermediateレベルの女性をランダムに対照群と実験群に分けた(各30人ずつ)。
方法:1ターム(授業20回)を通して、対照群は教科書のリスニング課題に取り組んだ。実験群はそれに加えて穴埋めディクテーションを11回行った。両群ともタームの最初と最後にTOEFL Listening Testを受けた。
結果:対照群のPretestとPosttestの平均値はそれぞれ29.30と29.66で、増分は0.36であった。一方、実験群(穴埋めディクテーション群)の平均値はそれぞれ27.33と32.63で、増分は5.3であった。Testスコアの増分は対照群より実験群の方が統計学的に有意に大きかった。

 

どちらの論文PDFも自由にダウンロードして読むことができるので、ディクテーションの詳細は省略します。研究1ではElementaryレベルの男性が全文ディクテーションを試み、研究2ではIntermediateレベルの女性が穴埋めディクテーションを行いました。いずれも比較的短期間に対照群に比べて統計的に有意な聴解力向上が明らかになりました。

 

> 「ディクテーション」もダメです。特に、単語などの穴埋めディクテーションなんていくらやってもダメです。
ディクテーションの長所と短所を正しく理解し、リスニング学習の中で適切に実行すれば、比較的短期間に聴解力を向上させることが可能です。中学・高校の英語教師は自分の好き嫌いや思い込みではなく、科学的エビデンスに基づく指導を行う必要がありますね。