鹿児島大学は2017年度入試から、外部英語試験の成績がヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)でB2レベル以上に達した受験生は、センター試験「外国語」を満点(200点)とみなすことにしました。インタビューで前田芳實学長は、「入り口の段階でしっかりとした英語力を備えた学生がこの大学に入ってくることによって、入学後のキャンパスの雰囲気も随分変わるんじゃないかと思っている」と答えています。このニュースを見て「大学教授は自分で教える自信がない」と解釈している方がいます。

 

専門家などはあてにならないってよくわかるニュースじゃないですか?

 

普通の人は、そんな風には考えません。冷静に記事を読める人は、このニュースを鹿児島大学の広報活動と受けとめます。まず、前田芳實学長は農学博士を取得後、鹿児島大学農学部で助手、助教授、教授を歴任しています。専門は英語教育ではありません。ですから、中学・高校の英語教育に口を出したことは無いし、前田氏自ら学生に英語を教える立場でもないのです。それなのに、大学教授は自分で教える自信がないと曲解しているのです。

 

CEFRでB2以上(英検準1級やTOEFL iBTで72点以上など)の英語力があれば、センター試験の英語はほぼ満点になるはずです。さらに、医歯系を除き、鹿児島大学の偏差値は50前後です。高校生で英検準1級に合格するほど優秀な生徒なら、もっと上の大学を目指すのではないでしょうか?ですから、鹿児島大学の外部英語試験導入は、実質的には特別な意味を持ちません。

 

鹿児島大学は、外部英語試験導入を決める前から学長のリーダーシップの下、様々な改革を実施しています。「進取の精神グローバル人材育成プログラム(P-SEG)」もそのひとつです。

 

1. 前田学長は農学部出身
2. CEFRのB2以上はセンター試験より難しい
3. 外部英語試験導入は大学改革の流れのひとつにすぎない

 

これらが理解できれば、「大学教授は自分で教える自信がない」という解釈にはならないはずです。ニュースには、記者が自分で探して記事にする場合だけでなく、ニュースとして取り上げて欲しいと願う団体がメディアに提供する情報もあります。今回の記事は明らかに後者です。

 

鹿児島大学は様々な海外体験学習・研修プログラムを提供しており、留学前・留学後の支援活動も行っています。大学教育は教授だけでなく大学教員がチームとなって行います。