(→前回のつづき)
理由の2つ目は、「資格試験は回によって自分との相性が変わる」です。
TOEICや英検などは、毎回違う問題が出ます。
いくら出題レベルの調整がされているといっても、まったく同じレベル内で問題を作るのはおそらく不可能ではないでしょうか。
問題作りに使う「英単語レベルと文法レベル」を毎回同じにしても、それらを組み合わせてどういう内容の文章を作るかによって、「体感的な難易度」は変わると思います。
そして、体感的な難易度によって点数も上下するのです。
皮肉なことに、適当に受けた回には自分と相性の良い英文がたくさん出て良い点が取れてしまうことがあります。
そして、気合いを入れて長期間勉強した後に受けた回の英文が、自分との相性最悪!そして、点数が前回より落ちてしまう・・・なんてこともあるのです。
体感的な難易度を決める2つの要素
英語力と関係ない体感的な難易度は、「興味」と「背景知識」の2つによって決まります。
英文の内容に興味が持てて、なおかつ背景知識があれば、その英文を読んだり聞いたりした時の理解度が上がります。
たとえば、日本文化と生活習慣を解説するような英文であれば、多少難しい英単語があって意味が取れない場所があっても、何を言おうとしているのかは理解できるでしょう。
でも、まったく知らない国の文化や習慣を解説した英文は、一字一句理解していかないと、何を言っているのか分かりません。
予想外のことを言ってくる可能性があるからです。
興味と知識はけっこうリンクしているので、好きな趣味のジャンルはどんどん研究して、知識も増えていきます。
僕は以前、英検1級の過去問を通勤電車の中で解いていたときに、このことを実感しました。
最後の方の長文問題で、「マジシャンが使う心理トリック」について書かれた英文が出てきたのです。
背景知識が理解度を高める
この文章には心理学の専門用語も出てくるので、普通の人が読んだらすごく難易度が高いと思います。
でも僕は、その時点でマジシャン歴が6年ぐらいありました。
外国人バーのイベントで呼ばれて英語でショーをやったり、ショッピングセンターの連休イベント、地元のテレビ局が主催する夏休みイベント、大企業の家族パーティー、結婚披露宴会場などで、プロとしてマジックショーをしていました。
スキルアップのために、マジック関連の本も何冊も読んでいました。
その状態で読んだ英検1級の長文は、驚くほどスラスラ読めました。
あまりに分かりやすいので、電車の中で思わずニヤけてしまったほどです。
この時に僕は、最初の1段落目を読んだ時点でいったん目を離し、問題文に目をやりました。
そして、「本文を読まずに、背景知識だけで問題が解けるか?」を試してみたのです。
そしたら、3問中2問は本文なしでも解けました。
自分のマジックに関する知識だけで、「これは無いだろう」という間違いの選択肢を特定できたからです。
あとの1問は、本文の中ではどう言っているのかを知らないと、解けない問題でした。
そこで本文に戻って2段落目から読み進めたのですが、本文も驚くほどのスピードですらすら読めて、驚きました。
あっという間に答えを見付けて、すぐにマークしました。
答え合わせをしてみたところ、全問正解でした。
僕はこの時、背景知識がいかに英文の理解度と読みのスピードに影響するかを、身をもって体験しました。
それ以降、英検1級の長文問題の中で僕にとって読みやすい英文が出てくることは、一度もありませんでしたが・・・
対処法
ここから先は、対処法について考えてみましょう。
僕が英検1級対策でやった方法は2つあります。
①自分の得意なジャンルの英文が出る回に当たるまで、何度も受ける。
②自分の背景知識を広げる。
英検本番で合格しようと思ったら、とにかく毎回申し込んで受けまくるのがベストな対策です。
もちろん、それ以前に過去問を何度か解いて「自分が合格ライン付近にいること」が分かっているのが前提です。
その上で、後は自分が得意な英文が出る回に当たるまで、受け続けます。
これはTOEICにも言えることです。
一応、TOEICの英文は英検と違って、背景知識が点数に影響しないように作られています。
そのため、TOEICには「歴史などの事実」は出てきません。
でも、「個人の興味や経験」は点数に影響します。
自分がまったく興味を持てない内容の英文であれば、つまらなくてモチベーションが上がりません。
でも、興味が持てる内容であれば、脳が活性化して内容が頭に入ってきやすくなります。
さらに、ふだんからビジネスで英語のメールを読んでいる人であれば、読むスピードや理解度は上がるでしょう。
僕の経験上、TOEICテストにも回によって「自分との相性」が出てきます。
そのため、高点数を狙うのであれば、何度も連続して受けるのは有効です。
②背景知識を広げる
もう1つ僕がやった対策は、背景知識を広げることです。
僕が使った教材は、「速読速聴英単語Advanced 1000」でした。
速読速聴英単語シリーズの最高峰に君臨するテキストです。
この本の特徴は、カテゴリーごとに「政治、司法、歴史、化学、医療、社会」などの英文記事をまとめていることです。
これらの英文記事を音読することで、背景知識を増やしながら、そのジャンルでよく使われる英単語を同時に覚えていくことができます。
大学受験を経験したことのない僕にとって、30才を超えてから読むこれらの英文は、とても興味深く感じました。
この本の中には、自分が知らない世界が広がっていました。
僕は速読速聴英単語シリーズのおかげで、英語だけではなく背景知識を広げる勉強の面白さを、初めて知りました。
そして、「世界の頭の良い人たちが書いた英文を読んで理解している自分、カッコいいぜ!」という気持ちが、このテキストを最後まで読み進める原動力になったのです。
おかげで、英検1級にも無事合格することができました。
また、その前のレベルの英検準1級に受かった時にも、速読速聴英単語シリーズのCore1900を使って、背景知識&英単語力&読解力を同時に身に付けました。
ただ、背景知識を広げるのには時間がかかります。
すでにあなたが合格ラインギリギリにいるなら、背景知識を広げつつ、連続して本番を受ける方が手っ取り早く結果が出るでしょう。
次回は、3つ目の理由と対処法をお伝えします。
・・・つづく。
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