正しく質問する | 外資系 戦略コンサルタントの着眼点

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戦略コンサルでマネージャーを務める筆者が日々の出来事を独自の視座で書き綴る


戦略コンサルの仕事では日々当たり前のように取り組むのですが、学校教育では全くと言っていいほどやらないことに、質問をつくるというプロセスがあります。

最近は「論点」という言葉がビジネス書でも流行っていますが、戦略を構築する上で論点を設定することは極めて重要です。

「論点」とは結論を出す上で重要となる問題点や争点のことを言い、すべての論点に答えが出れば最終的な結論も導き出されるもののことです。

言い換えれば、論点を設定するとは、答えを導き出すための質問を設定することに他なりません。

ピーター・ドラッカーが「経営における最も重大なあやまちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ」と語ったことは以前も紹介しましたが、問いをつくる力は経営にとって重要です。(そのときの記事はこちら 。)

ギリシアが人類史上もっとも輝かしい文化の基礎を築き得たのは、かれらに優れた問題の作成力があり、“なぜ”を問うことができたからだと外山滋比古氏が「思考の整理学」に書いているように、歴史的にも問いをつくる力が重要だということがわかります。

問いが正しければ、たとえ答えを間違ったとしても、再度問いに答えるべく取り組むことができますが、もし問い自体が間違っていれば努力のすべてが無駄になってしまいます。

一昔前も「質問力」とか「質問する力」という題名の書籍が流行ったことがありますが、最近の「論点」ブームと同様で、背景には正しく質問することの重要性がありました。

ビジネスの世界では質問をつくる重要性が徐々に見直されていますが、学校教育では問いを立てる教育はいまだカリキュラムには入っていないようです。

日本人が弱いとされる戦略思考を強化する上でも質問する力は重要で、次の教育要領の見直しでは、ぜひとも導入を考えてもらいたい点です。
(日本人は戦略思考が弱いという記事はこちら 。)