現世(いま)の綺羅星たちへ
~ 希望はあると知っていて ~
Ep.3/17 前世編 ① 視える人
年月すぎて、2008年3月。
僕は東京に住んでいて、英語専門学校の講師になってちょうど1年がたとうとしている。
それに加えて、ある人物と英語教材の制作プロジェクトを進めていた。
渋谷区の恵比寿には、行きつけのバーがある。
居心地のよい気楽な店で、帰宅途中に寄ったり気分転換に出向いたりして、かるく引っかける程度に飲むのが好きだった。
「Hola! Como estas?!」(やあ! 調子どう!?)
その日は、片言のスペイン語をまくしたてながら登場した。
店主のリョウくんは南米とのハーフだから、たまにこうしてふざける。
「ヒロシくん、おかえり~」
「Cerveza, por favor!」(ビールちょうだい!)
バーカウンターを叩きながら注文する僕のわきには、初めて見る女性がいた。
じっとこちらを見ている、突然うるさく登場して驚かせたかな。
「ヒロシくん、ミワちゃんだよ」
リョウくんが紹介してくれた。
「Miwa! Bonita!」(ミワ! 美しい!)
僕は調子をくずさず、あちらも楽しんでくれている様子。
その後も会話は弾んで、きれいな子との出逢いに浮かれた夜だった。
暦はかわって、4月。
僕はミワさんと会って飲むことになった。
下北沢のバーで、ふたりテーブルに就いて駄弁る。
ミワさんは、いつかスペインに行きたいと思っている、という。
それもあって、初めて会ったときは僕が片言のスペイン語で乱入するように登場したのが痛快だったらしい。
話しているうちに、ミワさんが「視える人」だと知った。
たしかに、初めて会ったとき、仕事をたずねると「占い師」と言っていた。
でもそれは便宜上のもので、実際には占術をとおさずに視える人だった。
「わたしね、前世では刀鍛冶だったの。職人として、いい刀をつくる、ってことだけ考えて仕事してたけど、その刀でたくさんの人が傷つけられたから今世では人を助けるために生まれてきてる」
僕は、この手の話がきらいではない。
と同時に、信じるもなく信じないもなく、ただ「疑わない」という立場をとる。
ミワさんが刀鍛冶だったということもそう。
本当かどうかは、より情報がでてくるに従って明確になっていくだろうし、本当でないならそれで構わない。
「わたしの元カレは、前世でわたしがつくった刀で戦って、たくさんの人を傷つけた人だった」
内容とは裏腹に、ミワさんの口調は酒の席らしく明るい、というか明暗の表情がゆたかだ。
彼女にとっては慣れた話なんだろう、僕は「へぇ!」と素直に驚きながら聴いている。
「僕の前世はどんなだったんだろう」
あ、口が滑った。
とくに自分の前世なんて知りたいわけでもないのに、軽々しく言ってしまった。
独り言のように言ったとはいえ明らかに問いかけになっているし、視ることを仕事にしている人に対して失礼でもある。
あちらが本当に答えると思っていなかったのも、油断の一因だったはず。
ミワさんの表情が消えた。
焦点なく開いた両目で僕をみつめて、瞳は曇りがかった深みを帯びている。
(なんだ、こりゃ)
心臓が、自分で聞こえるぐらい異様に大きく拍ちだした。
汗ばんできたし、ちょっと息苦しい、けれど目をそらすことができない。
(つかまった)
明らかに、僕の内側が接触されている。
そのときの沈黙は、焦りをおぼえる僕にはちょっと長く感じられた。
ミワさんの表情がないまま、脱力した口がうごいた。
「あなた、たくさんの命を奪った」
(えっ?)
「あなた、英雄だった」
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