ひと夏の試練 (甲冑編) | 漫葉集。

ひと夏の試練 (甲冑編)

(はじめに「ひと夏の試練 (プロローグ編)」 「ひと夏の試練 (墓場編)」 をお読み下さい)



方向音痴変人女子高生率いる成り行き運命共同体は、不安にかられつつ道なき道をひたすら歩みます。



「ほれほれ、随分アンティークっぽさが出てるっつうか…味のあるお屋敷があるで」
「あ、あのな鉄線ちゃん…普通の人はああいうのを廃墟って呼ぶんやで」
「あのう…あそこ、入らはるんですか…?」
「そうですねえ、案外こういうとこに出口がありそうですしねえ…ほな、お邪魔しまーす!土足ですまんのう!」

…前回(墓場編)のファーストインパクトのせいで、頭のネジを何本か三途の川にボチャンしてきたようですな。


アンティーク屋敷…もとい廃墟の廊下を進んでいくと、
「あ…何か立派なヨロイありますよ」
「…って言うか、これ、まさか動いたりしませんよねぇ?」
「中に人おったら出口教えてくれるんちゃいます?ははは……」
「何言うてんのや、鉄線ちゃん本気ィ?」


ガチャリ


「…へっ?」


ヨロイ「ウガアアアアア!」


一同「っあああああああああ!」


しかし!
「試練は乗り越えられない人に襲いかかりはしない」という格言のとおり、
…否、この場合は「二度あることは三度ある」のほうが合っとるか…

…まあともかく、またしても「火事場の馬鹿力」スイッチが暴発したようです。


「あ、あの、すいません、出口どっちですかァ!?」

(※馬鹿力…ここでは「馬鹿になる力」の意)


しかし敵もさるもの、


「…あっちだアアア!」


「あっち!?…で、出口あっちですってよ皆さん!」
「ホンマですか!あの障子開けたらもう出口なんですね!」
「ああ、じゃあもうすぐに出られますねッ!」


「わ、わかったらとっとと立ち去れェェ!」


「うわああ、ハああああイ!」


* * *

…あれほどまでに疎ましかった太陽なのに、

再びまみえた時にはたまらなく懐かしく、いとおしい存在になっていました。

忍者ショー広場に無事たどり着いた冒険者達は、異界からの生還を喜び合い、互いにかたく抱擁を交わ…すのは汗臭いので遠慮しておこうという事になりました。



…あれから何年経ったのでしょうか。
数奇な運命を共にした朋友の言葉を、現在でも時々思い出します。


「めっさ怖かったけど鉄線ちゃんおもろかったわあ、また来ような!」






3夜連続スペシャル「ひと夏の試練」 ―完―



この場を借りて…
ヨロイの方、どさくさに紛れてお礼を言い忘れてしまいました。
あの時はホンマにありがとうございました。お化けといえど、貴方も立派な関西人です。
またお会いする機会があったら…火縄銃抱えたポーズで「バァン!」ってやりますから、是非死んだフリして下さいね。