今週の木曜会は、お馴染の山川亜希子先生と、ライアー奏者の日本では第一人者池末みゆき先生をお招きしてコラボレーションの会になりました。

 

 

弦楽器ライアーは神秘思想家であるシュタイナー教育から生まれた楽器。病んだ心や身体を癒す音楽療法に使用されています。

 

先ずは「赤とんぼ」「里の秋」など、日本の叙情的な歌をライアーで奏でていただきました。池末先生はシュタイナーの思想を軸として成り立つ幼稚園の園長を経て、音楽での幼児教育に長年携わっていました。ある時期からライアーを奏でるようになったそうですが、繊細で優しいライアーの音色は、私たちが音を単に聞くのではなく、耳を傾けて心で聴くことを思い出させてくれます。

 

 

山川先生が質問者となり、池末先生の人生を振り返っていただきました。

 

ライアーと出会ったのは1981年の夏。それまではリコーダーを吹いていた先生にとっては、人生で向かい合う最後の楽器となりました。

 

池末先生は、東洋英和女学院で『赤毛のアン』の翻訳家である村岡花子さんの最期の弟子で、十数年間ストーリー・テラーとして、日本は勿論のこと、オーストラリアまで出向いたそうです。

幼稚園での仕事は長かく、

「お話をするなら子供の目を見て、完全に自分で消化してから話しましょうね」

と村岡さんに言われ、紙芝居や絵本の読み聞かせを禁止されていたそうです。ですから、沢山のお話を覚えるのが大変だったそうです。

 

その話を聞いていた山川先生は、

「音楽とお話と幼児教育が混然一体となっていますね」と感心されていました。

ライアーの演奏者は未だに少なく、間違った弾き方をしている方も多いそうです。先生は色々な弾き方を披露して下さいました。間違った弾き方は音が小さかったり、硬い音になったり、音色が変わって聞こえます。ところが、先生が弦を撫でるように軽く弾くだけで、とてもやさしい音色が場内に響き渡りました。ライアーの向きを変えるだけでも、違った音色になるとか…。かなり繊細な楽器のようです。

先生はちゃんと弾き方を覚えるために、園長をしている時は夏休みを利用してドイツに五年間続けて通ったそうです。一人ではなく、色々な先生に教わることで戸惑いもあったそうですが、ライアーに対する技術と理解を深めていきました。そして1990年からマイライアーを求めて弾き始めたそうです。

 

「私が上からいただいた曲をお届けします」とオリジナル曲を演奏して下さいました。崇高な響きが時空を満たしてお客様を癒していました。

 

終盤は山川先生のリードで瞑想の時間が設けられました。先生のやさしく語り導く言葉をライアーの音色が彩りました。

最後に、お客様と一緒に「ふるさと」を大合唱。

 

「なんか目覚めたくないんだけど…。このままズット聞いていたい感じ…」と、田村も心地良い音色に癒された様子でした。

 

言霊と音霊のコラボ、とてもファンタスティックな会となりました。

先生方、お客様、有難うございました。

 

                                  (令和元年 10月12日 古谷記)