10月13日は、矢作直樹先生でした。おかげさまで満員御礼!!!
開演時間が迫りおおわらわの中、各フロアに先生が挨拶に回ってくださいました。
今年3月末日で、東京大学大学院医学系研究科救急医学分野教授ならびに医学部付属病院救急部・集中治療部部長を、任期満了退任されました。2011年より出版や講演活動をスタート。この夏には「自ら範を示す」と、参議院選挙に立たれました。

35年間の医療現場で先生が実感されたのは、技術は進歩したものの、日本人が幸せを感じられなくなったという事だそうです。古き良き日本人の心得を思い出してほしいと。 「おかげさま」 「おたがいさま」 「足るを知る」 などなど。
 5年前の東日本大震災時。あらかじめ知っている事がいい場合ばかりではないと、この時ほど強く感じたことはなかったと言う。それは原発。あの大津波で大丈夫だろうか・・・。以前よりご友人から、原発電源の脆弱性を聞かされていた先生。そして心配したことは、いつ、どのタイミングで、どのように、その状況を天皇陛下へお伝えするのか・・・。事実をお伝えされているのか。堪らず宮内庁のある方に問い合わせたところ、 「いいえ」 とのお応えだった。
 しかし両陛下はものともせずに、ずっとテレビで状況をご覧になられていたそうです。先生が驚いたのは、政治家や官僚で自分の身内だけ、西や海外へ避難させた者がいたことでした。天皇陛下は真逆で、ご自身は 「東京から動くことはない」 ご意向であられたそうです。
 震災発生から5日後。天皇陛下はお言葉を、国の内外へ発表されました。お言葉を聞いた先生は、これで大丈夫と安堵。このお言葉で、アメリカ政府が動き状況が収拾されたようです。国の一大事に中枢に居る者が逃げる。日本人らしくないですね、と先生。
 「陛下のお言葉ほど、日本が直面している危機の深さをはっきりと知らせてくれるものはなかったのです。」 とは、米国国務省。日本はアメリカの保護国というお話もありましたが、世界は日本政府に懐疑的だったのかも知れませんね。

 続いて歴史に触れるお話へ。1万5千年前、熊本に建てられた日本最古の 「幣立神宮」。 とても趣きのあるところと紹介しつつ、日本人の 「意識」 について述べられました。元々、森羅万象に神性を感じていてそれが 「神道」 として現れた。なんでも受け入れるおおらかさ。
 宗教とは何?それは神性を感じるための方便で、そのための仕組みであり組織と理解したらよいでしょう。 と先生。
 例えばキリスト教。キリスト意識は一つのはずなのに、組織になると分かれ(対立)本来から逸れてしまう性質があるようです。
一方本来の日本人は、神性を直接理解出来る特徴があり、生まれつき当たり前の感性として持っているようです。
 古事記の 「国譲り」 より、うしわける (力で支配・領有) に対して、しらす (分かち合い) という言葉を教えて頂きました。 「しらす」 とは、天皇が国民の痛み・苦しみ・悲しみ・喜びを知って善政をする意。

 次に世界最古級芸能とされる 「能」 のお話。大別して 「現在能」 と 「夢幻能」 とあるそうで、後者から日本人の心意気、霊性に触れられました。
「夢幻能」とは・・・この世とあの世の前後2場から成り、歴史や文学にゆかりのある土地を訪れた旅人 (ワキ) の前に主人公 (シテ) が化身の姿で現れる前場 (まえば) と、本来の姿 (本体) で登場して思い出を語り、舞を舞う後場 (のちば) で構成される。神・鬼・亡霊など、あの世 (異次元) の存在がシテ。 
初めは憑依など人の形で出てくる。後半本来の姿での発声や舞を舞うことで、自身の浄霊・成仏をして帰ってゆくのを表しているそうです。

 震災時の超常現象として、東北学院大生による現地の聞き取り調査を紹介されました。
タクシードライバーさんの体験・・・。
夏場に冬の服装で並ぶ人や、津波が押し寄せた浜まで乗せて消えた女の子・・・など。
そのドライバーさんへの最後の質問 「またお乗せしますか?」 その答えは 「はい、もちろん。」この世界と他界とを同時に理解出来る感性。それこそが 「霊性」 ですと先生。

国際金融、日本の国柄、歴史とお話は多岐に及びました。特に、日本人が壊れた象徴的出来事としての3.11。今どうすればいいのか自立への道を示されました。一人ひとりができることとして。
①道徳心の向上・・・金で動かされない
②情報リテラシーの向上・・・真実を知る
③食の自給・・・国産品を買う
④地球にやさしく・・・自転車推奨

最後の衝撃。かつて、1000m級の山で体脱しかけた時の頭の回転からすると、今は白痴状態という先生。先生が白痴・・・
この時の事や色々な体験談も聞いてみたいですよね?
次回を楽しみにしましょう!
ご縁つなぎの吉野太さん、そして矢作直樹先生ありがとうございました。

本会場2階天夢に入りきれず、3階スクリーン会場・4階応接室・1階ショールームは、モニターでのご観覧となりましたこと、大変ご不便をおかけして申し訳ございませんでした。皆さん、有り難う御座いました。






(森田 記)