
朝5時に起きるのはツライ。
眠いのはもちろんのこと、前日の酒が抜けてない。しかしながら、これは自分の野望を実現するため決めたこと、仕方ない。
オレは電話機の前に正座し気合を入れ(大げさでなくそうした)先日作成したシナリオをスムーズに読む練習を何度かした。そしていよいよ、受話器をとるときがきた。
このNYツアーでもっとも過酷だったのがこの電話だ。本当に恐ろしかったとしか言いようがない。
人は案外、会話の際にそのシチュエーションとか相手の表情などで状況を把握している。(英会話業界では常識らしい)電話の向こうで早口で話されると本当に何が何だかわからない。日常生活下では冷静を自負するオレだったが、かなりのパニクりようだったと思う。本当に一人暮らしで良かった。
怯えつつ、数本電話をかけてみた。
結果は散々だった。
ブッキングのきっかけすらつかめない。いやそれどころか、先日作ったシナリオの冒頭を読み上げても、相手に「?○★???×●◎……」と早口でまくしたてられ、言わんとすることの一割も理解するのがいいところだった。
何度も「Sorry、Sorry」と謝りながら聞きなおし、やっと向こうの一回の発言を理解出来るという状況だった。それに反して相手の面倒くさそうな気持ちはこちらに容易く、かつ痛烈に伝わった。
やっと理解したその内容も、「今、担当はいない」とか「何時にかけなおして」とか「今は募集してない」など、疲労度のわりには良い返答はなかった。
この調子でやっていては実が持たないし、あまりにも効率が悪いと判断したオレは作戦を変更することにした。
まずシナリオだ。かなりシンプルに作ったつもりだったが、戦火の中では意味をなさなかった。よりシンプルにする必要がある。常識とか愛想とか四の五の言ってる場合じゃない。
というわけでこうした。
Are you booking argent?
<訳>
あなたはブッキング担当ですか?
これで返答の、Yes、No を聞き取る。
Yes なら、、
I wanna perform your club.
<訳>
私はあなたの店で演奏したい。
可能性がありそうな返答なら、、
Sorry, My English is no good.
Please, give me your e-mail address.
<訳>
すみません、私の英語は良くないです。
どうか、あなたのメールアドレスを下さい。
後はメールで交渉を、という算段だった。それほどに自分の英語力では電話での交渉は難しいと感じたのである。
オレはこの作戦で後々3日ほど、電話でのアプローチを続けた。
さてさて、結果は次回に。。