
オレは大体週一ペースでスクールに通った。
教師はスケジュールさえ合えば、同じ講師でもいいし、都度変えてもいい。当時、オレの仕事はシフト制で何曜日が休日とは決まっていなかったこともあり、毎回同じ講師というのは難しそうだった。
教材不要を選択した場合、こちらでテーマを持っていくことになる。(フリートークでもいいし、自分の教材を持っていって質問してもいい)
フリートークを選択したオレではあるが、当初はやはりほとんどの講師が初対面ということもあり、会話内容は自己紹介に毛の生えたようなものであった。ただし、無料体験よりは時間が長いということと、こちらはお金を払っている客ということもあり、たどたどしいながらも英語で講師と会話していった。
フリートークの際、お互いの趣味の話になることが多い。(合コンか?)オレがバンドをやってるなど言うから、当然のこと音楽の話になることが多い。どんなジャンルが好きか? バンドでのあなたのパートは? など。
そうこうしてるうちに各講師の趣味が見えてくる。ロックが好きな講師、ほとんど音楽を聴かない講師、様々だ。ヒットだったのは、少しだがバンドをやっていたことのある講師Kにたまたま巡り合ったことだ。しかもKはニューヨーク出身だった。(後々わかるが、ニューヨーク市ではなくニューヨーク州郊外の町だった)
オレはスケジュールが合えばKを優先的に指名することにした。後々、ブッキングする際に、ライブハウスや機材の事情を知っている人間のほうが絶対に便利だからだ。
Kはかなり良い意味でくだけたやつだった。オレとの会話はバンド、ライブ云々以外では、近隣のお勧めの飲み屋の話とか、女性の話とか、英会話スクールとは到底思えない内容だった。
K「この間、教えてもらった安いブルースバーに行ってみたよ」
私「アー、ウー、……どのような、感じでしたか?」
K「たしかに安くて、良い音楽が流れていたよ。だけどうるさいカナダ人がいて……」
私「アアー、ケビン!」
K「そう! ケビンだ! あいつはクレイジーだ! できれば二度と会いたくない……」
こんなだ。
Kは一度オレのライブにも来てくれた。
知人に聞いたところ、基本スーツの講師がいるような大きいスクールでこういうことは絶対にないそうだ。プライベートで生徒と会うのは禁止とされているらしい。
こういう緩い講師がたまにはいるというところも安いスクールのメリットかもしれない。
Kにはとても感謝している。後にブッキング希望のメール文のチェックをしてもらったり、リハーサル時に使う言葉などを教えてもらったりした。
NYツアーを終えてからはスクールには行かなくなったが、街中でやたらとひょろ長い白人を見ると今でも彼を思い出す。
次回は、英語編まとめ。