吾輩はSFは好きではない。

 

 小さい頃の夢は「科学者」というのに憧れて、成人して壁に突き当たり、その夢の延長をSFに託すというのはどうかと思う。ちゃんと現実の世界で自分の夢と格闘しておれば、SFに走って人生の回り道をする必要もないのじゃ。

 

SFは人生の吐口ではないのじゃワイ!!

 

******

 

Apple TV ドラマ「ファウンデーション」(20話)を観ました。

 

 最初は図書館で文庫本「ファウンデーション」3部作(3冊)を借りてきて2週間で読めるとたかを括っていたのですが、老眼で細かい字が読みにくく、内容も何やら複雑で、2週間期限の図書を必ず2週間延長してまた借り直すのを繰り返し続けて、3ヶ月ほど過ぎて、まだ1冊の1/4しか読めていないことに気づいて、文庫本を読むのは諦めました。代わりにAppleTVのドラマを見ることにしたのです。それが、、実は20話(1話1時間!)もあることを知って驚きましたが、何とか4日間で(途中少しは居眠りをしながら)鑑賞し終わりました。

 無理して本を読んだ方が楽だったかもしれませんが、まあ一応完読?したのです。

 

 「ファウンデーション」はロボット3原則で有名な アイザック・アシモフのSF小説で1950年初期に3部作が完成しています。「ローマ帝国衰亡史」に影響を受けて書かれた叙事詩的SF小説です。それなのに(1950年代なのに)スマホ(超小型コンピュータ)、超光速航法(ジャンプ:今で言うならワープとかウォームホール)、ビッグデータ解析(歴史心理学)、地底都市構想、、などを見事に予想しているのに驚かされます。しかも人間の深層心理を随所で物語るので、ある意味、人間が存在する限り色褪せない内容の物語だとも思いました。

 

 内容は、”ドラマでは”数万年先の未来の話で、銀河全体を支配する銀河帝国が1万2千年存続した後の崩壊を描いています。地球から銀河系のあちこちに進出した人類(銀河系には他の知的生命体はいなかった)は何京人(1兆の1万倍)もの人数となり数万個の銀河系の星に住んでいた。その人類を支配しているのがトランターという星にある銀河帝国だった。その帝国の支配者は人間特有の感情のばらつきを抑えるため、歴代同じクローン(老人、成年、若者の3人)であり、その助言者は唯一生き残ったロボット(デマーゼル)だった。

 

 そこで数学者セルダンが構築した歴史心理学で、銀河帝国の崩壊を計算して物語が始まります。さらに彼よりも数学的に有能で直感力(未来予知力)の高いガールが後継者として選ばれ関わってきます。そしてセルダンは、銀河帝国は崩壊して混沌とする期間を少なくするために、それまでに人類が培ってきた知識やノウハウや人材をバックアップする星(第1ファウンデーション)を作るというのです。さらに物語は進んでそのまたバックアップに第2ファウンデーション(テレパシー能力の高い人材を集めた星)を密かに作ります。

 しかし、第1ファウンデーションは銀河帝国との戦いに敗れ、第2ファウンデーションもセルダンの数学モデルで予想できなかった人間の意識をコントロールするミュータント(ミュール)の出現で危うくなるところで、ドラマは終わってます(シーズン2まで)。シーズン3は現在制作中で、ミュールとセルダン、ガール、さらにデマーゼル?との戦いのようです。

 

 感想としては、「スターウォーズ」のような派手なアクションは少なめで、地球外生命体もいないので、人間の叙事詩みたいで「人生は、自分を人に知ってもらうことと、人生を味わうことが目的だ」というような金言があちこちに満載されている大歴史的SF小説でした。また創刊が古いので「三体」のような斬新性も薄めで、私は最初のドラマの1〜2話では欠伸をしながら見てましたが、徐々にその人間の深層心理の描写の深さに引き込まれて最後は結構感動できました。家族とは、人生とは、人間とは、死とは、、、といった重いテーマにどんどん引き込まれていったのです。

 

 ひょんなことからSFにはまりこんでしまいましたが、まあ少しは人生訓を確認できたので良しとします。

 

++++++

 

 「三体」は小説、中国ドラマ(30話!)、Netflixドラマ(8話)を見て、今ようやく「ファウンデーション」ドラマ(20話)を見終えました。本当にSFにひたり過ぎて疲れたので、当分はSFは見ないようにします!?