毎年4月は花見シーズンを終えると好天が続き、絶好のゴルフ日和となる。加えて最近は25℃を超える暖かい日が多く期待された。しかし、そうは甘くはなかった。プレー日3週間前から雨の予報が続き1週間前でも小雨に見舞われそうという予測が出てしまう。しかし、晴れ男を自称する者、小雨決行という強硬論者もいて参加者のモチベーションは頗る高くプレー断行を決定した。

 

 第1日目はジュンクラシックカントリーである。参加者の強い思いが天に通じたのか絶好の好天に恵まれる(14〜20℃ながら快晴)。満面の笑顔で集まったのは7人で、C/Iするといきなりなんと8,200円の前払いに驚く。セルフサービスデーとのことで昼食、乗用カート代込みの値段で、その昔ジャンボ尾崎の優勝で名を馳せた名門コースにしては格安の値段である。青天をバックにして、このコースを監修したサンドウェッジの考案者で伝説の名手ジーン・サラゼンのパネル像の前で記念撮影して待望のティーオフ(OUT山吹ルート)となる。

 

 7人の最初のドライバーは快調で、非公式ルールのマリガンを誰も使うことなく上々の発進ができた。Iはバックスウィングで独特の捻りを使ってのスウィングにより低い弾道で飛距離を稼ぎ、Oは強靭な体幹で芯に当たれば結構飛ばし、私は芯を外しまくりながらも匍匐前進ドライバーで追従。先頭組のTaは再現性の高い持ち味である高い弾道で応じ、Sはバックスピン量を抑えて飛距離を増やす工夫のスウィングで立ち向かい、Miは1日400球打ちの猛練習で一時右に打ち出す悪癖を克服して快調だ。期せずして、今年既に13回プレーして前日も別の場所でプレーしたMaも舌を巻くほどのドライバー飛距離合戦となる。第2組のI、Oと私の3人も3打差内の僅差のスコアでデッドヒートとなり、緊張感を維持しながらハーフを終える。

 

 全員大満足のハーフを終えると、食べ応えのあるオードブルの上に主食(ハンバーグ、カレー、麻婆ラーメン、、)を胃に入れる。辛味が強い主食で大満腹の上にドリンク飲み放題だ。Oは最初にビール、次に日本酒「潤」仕上げは赤ワインと飲みまくる。横を見ると先の4人もアルコールを十分過ぎるほどに堪能している。これならゴルフもせずに飲み食いするだけで過ごしても十分元を取れると高評価であった。

 

 INは、案の定飲み過ぎたOの調子は悪い。おまけに50cm程度の私のパットにOKを出さずに「一応打ってみたら?」とほろ酔いながら悪態をつく。私も当然のOKパットを拒否されたので見返してやろうと”真っ直ぐ強く”パットをしたらまさかのショート。人生初めての心と体の動きの落差を体験してしまう。それ以降互いにOKパットをシカトするようになり30cmでも無言の心理戦が続く。I曰く「OKパットが厳しくなったのでは?」と呆れてしまい、この緊張感の高まりで煽りを受けたのか、ティーグラウンドより前に出たり、左の反対側にアドレスしたりと調子を乱す。

 

 前組では途中からキャディーがボランティアで同行してくれて、少し難しいグリーンのラインを的確に教えてくれる。昼食後もまた違う人が付いてくれたかに見えたが、鼻の効くSが「香水が同じ匂い」と同一人物であることを看破してその鋭さに一同驚かされる。ドラコンは好調のMiのドラコンフラッグをOが真芯を捉えた素晴らしいスウィングで凌駕する。さらに次のドラコンではMiがTaをOver Driveしたかに見えたが左から見たらフェアウェイだが右から見たら明らかにファーストカット(セミラフ)だったので涙を飲み、そのTaを追うIがオーバーしたがわずかに10cmの差でこれもセミラフで結局Taが強運のドラコンを得る。一方ニアピンは年に50回以上ラウンドするMaが2つも制して気を吐く。特に17番の162ヤードワンオン(3W)は高齢者にしては立派であった。

 

  途中で美味しいお汁粉を食べたり、食べ損ねたりしながら最終局面となる。18番ホールはかつてジャンボ尾崎が優勝を決めるべく闊歩した有名な小橋を渡る中之島ルート(椿ルート)ではなく山吹ルートだったが、ドラマが待っていた。先頭組のTaとSが熾烈なベスグロ争いの中、最終ホールSは満を持して1球900円のPHYZボールを投入。第二打、池手前にポジションを取る渾身のショットを放ち満足気にボールを追っていたが何とアンラッキーにもボールは排水口に当たり大きく跳ねて池ぽちゃとなった。アンラッキーと1球900円のボールを失いぼやくことしきりであった。次組でも私がOとIに追いつくショットをするがグリーン前の大池に気づかず突然の池ポチャに唖然。再度、再再度の池ポチャ(左足下がりのグランド)で万事休すであった。ジュンクラシックの18番はプロにもアマにも手強い。

 

 ジュンクラシックはアップダウンが大きくほとんど平坦なグランドがなく、バランスを保ちながら打つのが難しいゴルフ場だ。バンカーも多いが冷静なコースマネジメントをすれば入れることも少ないし、バンカーアウトもそう難しくはない。グリーンは砲台が多いが広いので乗せやすく、うねりも小さいのでこぼれることも少ない。ただしやや広めなので、集中力をなくすとすぐに3パットをしてしまうのが要注意だ。フェアウェイも印象としては広く感じて打ちやすいし、何より中央に嫌味な木とか遮蔽物が少ないので楽しいゴルフ場だ。おまけにレストラン、休憩所が充実していてフリードリンク、お汁粉がありがたい。特に月曜日のセルフサービスデイは初体験だったがコスパが高いと驚かされた。ただエンジン乗用カート、スコアがネット入力できない(セルフデー)のが課題だと思った。

 

 ラウンドを終えて風呂に入らずにゴルフバッグをロペに無料配送(ジュンクラシックはロペ倶楽部の姉妹ゴルフ場)してもらって一目散にNの待つロペ倶楽部に向かう。出発時にキャディーが囁く「晴れてほしいと思っても天気予報は絶対だからねえ」という言葉を気にしながら。車で30分でロペ倶楽部に着き、C/Iして露天風呂で汗を流す。本当に快適な1日である。新たに加わったNと8人で和食レストランで飲み会を実施。周囲で歓声が沸いたりして、コロナから無縁のゴルフ場に感無量。ジュンクラシックの成績発表と次回幹事も決定し(優勝とベスグロは最近スコア安定しているTaだった。)ホテル娯楽室の2次会で今は製造停止のギリシャ製レア物ブランデーMETAXAで学生時代の思い出話とNの大好きな技術論に花を咲かせる、、、、、。明日の天気に期待してお開きとなった。

 

 残念ながら、翌朝は8℃で降水量2mmとはいえゴルフできる状態でないと全員が合意し、ロペ倶楽部のプレー中止を断腸の思いで決断。キャンセル料は無料だったのが、せめてもの救いだった。結局Nは飲み会に参加してロペ倶楽部に泊まっただけとなったがこの歳では健康第一であり、次回のジュンロペとTaとの再戦(今回も1年近く待ったが雨で中止)を誓う。朝食後のコーヒーを飲んでまたの盛会と健康を念じて解散した。最後にメガネを忘れて右往左往した猛者がいたのも楽しい思い出となった。

 

   了