場所が睦沢町と聞いてまずGoogleマップで場所を確かめる。するとJR外房線の上総一ノ宮駅から5㎞くらい離れたところに役場があるのがわかった。

 

駅からバスが出ているか調べたところ、平日しかバスは運行していないらしく、歩いて行くしかない。往復10㎞である。

 

後でわかったのだが、上総一ノ宮駅からではなく、茂原駅からなら休日でもバスが出ていた。そこまで調べきれなかった。

とはいっても、朝早く家を出て目的地まで時間をかけて歩いて行くのは嫌ではない。そんなことも出かけていくことの楽しみの1つである。

 

普段外に出ることが少ないので、上総一ノ宮駅で降りて改札を出ると、不意の春の日差しにちょっととまどった。寒いとばかり思っていたのが、ずいぶん暖かい。

 

その適度な暖かさに包まれて5㎞ウォークは辛いとは感じなかった。久しぶりにのどかな田舎道の中、心地よい気分に浸れていた。

みどりの広場は、開放的なスペースで、乾燥した芝生の手触りが心地よい。思わず寝転びたくなるほどだ。

 

都会で暮らしていると、よく晴れた休日にこういう広場でくつろぎたくなる。ワーズワース的な田園賛美の空想が広がってきた。

こういう機会でもなければ、知ることさえなかった場所だろう。今はもう走り回る体力はなくなったけれど、心のどこかではいつも求めていた場にちがいない。

 

なぜだかわからないけれど感謝という言葉が浮かんだふとしたきっかけで、ここに誘われた。

 

そして平凡な1日が、特別なものに感じられる不思議な感覚。暑くも寒くもないちょうどいい暖かさがどうにも嬉しくて仕方なかった。