中島みゆきをBGMにドライブ

に、初チャレンジしてみました。

 

ドライブというもの

楽しくかろやかに走りたい訳で

普段なら絶対に聴かない。

決して明るくはない歌に

気持ちが持ってかれるに決まってるから。

 

でも今日は、我ながら果敢。

昔のCDを持ち込み、いざ。

 

まずは

一番好きな「ホームにて」。

…案の定、何度聴いても涙が止まらない。

亡くなった上島竜兵さんも好きだったそうですね。

 

 

 

そして他の歌もやっぱり。

もう

早春の景色を眺めるどころではない。

歌の世界に引き込まれてしまう。

 

結局

往復4時間、車中で泣きっぱなし

目を腫らしたまま買物して帰宅。

 

大音量でじっくり耳を傾け

今回、改めて好きになったのが2曲。

 

「蕎麦屋」は

優しい友達とのひととき、

「おまえの家」は

夢をあきらめた友達との歌。

 

アーティストたるもの、

年を経るごとに曲が大がかりになってゆくが

(彼女もまた龍の背に乗ったり、然り)

ギター弾き語りの訥々とした素朴な味で

この頃の中島みゆきは神がかっている。

 

YouTubeを探しても

変なカバーばかりで

本人のは見つからなかったので歌詞だけ掲載。

ぜひ聴いてみてください。

*画像は拾いイメージです。

 

 

 

「蕎麦屋」

 

世界じゅうがだれもかも

偉い奴に思えてきて

まるで自分ひとりだけが

いらないような気がする時

突然おまえから電話がくる 

突然おまえから電話がくる

あのぅ、そばでも食わないかあ、ってね

 

べつに今さらおまえの顔見て

そばなど食っても

仕方がないんだけれど

居留守つかうのもなんだかみたいで

なんのかんのと割り箸を折っている

どうでもいいけどとんがらし

どうでもいいけどとんがらし

そんなにかけちゃ よくないよ、ってね

 

風はのれんをばたばたなかせて

ラジオは知ったかぶりの大相撲中継

あいつの失敗話に けらけら笑って

丼につかまりながら、おまえ

あのね、わかんない奴もいるさって

あのね、わかんない奴もいるさって

あんまり突然云うから 泣きたくなるんだ

 

風はのれんをばたばたなかせて

ラジオは知ったかぶりの大相撲中継

くやし涙を流しながらあたし

たぬきうどんを食べている

おまえは丼に顔つっこんで

おまえは丼に顔つっこんで

駄洒落話をせっせと咲かせる

 

風はのれんをばたばたなかせて

ラジオは知ったかぶりの大相撲中継

 

 

 

 

「おまえの家」

 

雨もあがったことだし おまえの家でも

ふっと たずねてみたくなった

けれどおまえの家は なんだかどこかが

しばらく 見ないまに変わったみたい

前には とてもおまえが聞かなかった音楽が

投げつけるみたいに 鳴り続けていたし

何より ドアをあけるおまえがなんだかと

言いかけて おまえもねと言われそうで黙りこんだ

昔 飼っていた猫は 黒猫じゃなかったね

髪型も そんなじゃなかったね

それはそれなりに多分似合ってるんだろうけど

なんだか 前のほうが と言いかけてとめた

言いだせないことを 聞きだせもせずに

二人とも 黙ってお湯の沸く青い火をみている

何を飲むかと ぽつり おまえはたずねる

喫茶店に来てる気は ないさ

 

ねぇ 昔よく聴いた あいつの新しいレコードがと

わざと明るくきり出したとき おまえの涙をみる

ギターは やめたんだ 食っていけないもんなと

それきり 火を見ている

 

部屋の隅には黒い 皮靴がひとつ

くたびれて お先にと休んでる

お湯のやかんがわめきたてるのを ああと気がついて

おまえは 笑ったような顔になる

なにげなく タンスにたてかけたギターを

あたしはふと見つめて 思わず思わず目をそむける

あの頃のおまえのギターは いつでも

こんなに 磨いてはなかったよね

 

あんまり ゆっくりもしてはいられないんだ

今度また来るからと おまえの目を見ずに言うと

そうか いつでも 来てくれよと

そのとき おまえは昔の顔だった

 

コートの衿を立てて あたしは仕事場へ向かう

指先も 衿もとも冷たい

今夜は どんなにメイジャーの歌を弾いても

しめっぽい音を ギターは出すだろう