純喫茶アベニュー「こころ」 | ジャック・ポイ Film

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@本郷

本郷という場所はほとんど縁のない場
所だったが、東大前に純喫茶のアベニ
ューがあると本で知り、期待高まって
訪れた。


その中の一つ、喫茶「こころ」へ。夏目
漱石の名著から取られた店名だ。名
前の通りそこは昭和の時間をたっぷり
残した純喫茶だった。







いらっしゃいこんにちは。
とママさんが丁寧に迎えてくれた。

ソファは柔らかな色合いで、緑と青が
交互に並ぶ。エナメルをつやつやにし
て、奥まで続く。


このソファを眺めていると、子供の頃
にあんみつを食べに行った、駄菓子屋
と食堂を兼ねた喫茶店をぼんやりと思
い出す。




童心にかえってメロンクリームソーダ
を。厚いブドウみたいなレトロなグラ
スに緑がよく映える。
アイスをすくうとプクプクと泡が溢れ
出た、やっぱりこうでなくては。






少しお話していると、よく2階では、
編集さんたちの商談が行われるのよ
とわざわざ見せてくださった。

窓からは東大と大通りの並木が四季を
感じさせてくれる。

ここは新宿中村屋の発祥の地なのだそ
うだ。唯一その遺構であったレンガの
壁がここにはあったが、隣に新築マン
ションが建ち取り払ってしまった。

その2ヶ月後に噂を聞きつけた取材陣が
貴重な遺構を撮りに来るも後の祭り。

なんとも無念な話。サードウェーブの
カフェばかり注目するのではなく、これ
からはもっと日本の純喫茶に目を向け
るべきだ。








そうして1階へ戻ると、若い外国人と日
本人が入店し、英会話を始めた。流石
に東大前。雰囲気とのギャップがまた
心地が良い。


ここで勉学に励むなか、授業が始まる
からちょっと行ってくると荷物を置い
たまま席を空ける学生さんもいる。


自宅のように利用することへ、今日は
混んでないからいいよと、見守るママ
さんの真心は、心地よいほど温かい。


まさに“こころ”の純喫茶。