妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ(2018年) | 勝手に映画紹介!?

妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ(2018年)

妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII

【鑑賞日:2018年5月28日】

先日、加入してもいないJ:COMのネット懸賞で当たった劇場鑑賞券を使って…山田洋次監督の新作、気がつけばもうシリーズ3作目だった「妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ」を見てきた。今までWOWOWでしか見てなかったから、劇場で見るのは初めて。ウチのオカンも興味ありげだったので…夕飯の買い物ついでにどうだと誘って、午後の上映回で。平日の中途半端な時間だし、そんなに混んではいなかったけど…やっぱオカンと同年代の“じーさん、ばーさん”がけっこう見に来てる…みんなシニアだからいつ来ても1100円だろうしな、羨ましい限りだ。

悠々自適の老後生活を満喫している周造と富子、同居する長男夫婦の幸之助と史枝、その息子たち…三世代が和気藹々と暮らす平田家。特に嫁の史枝が、家事を率先してこなしているので、滞りなく生活ができているのだが、皆はそれが当たり前だと思っている。実は史枝も…外に出て働いたり、フレメンコ教室に通いたいという欲求を抱えていた。ある日、平田家に泥棒が入り、史枝と鉢合わせ!目の前で家族に黙って貯めていたヘソクリを盗まれる!ヘソクリを隠していたことに幸之助は激怒し、史枝と口論…その翌日、史枝は家出してしまった!

前作まで「家族はつらいよ」「家族はつらいよ2」という単純なタイトルだったのに…“妻よ薔薇のように”なんていう副題まで冠され(むしろ、こちらが主題か?)、シリーズ数のカウントも算用数字からローマ数字に変わっていたりするのが、作品にどう影響しているのかって気になっていたんだけど…なるほど、なんとなくだけど、今までと作品の雰囲気も違うな。お馴染みのメンバーが出てきて、世相を斬ったり、風刺がきいてたり、やってることは同じなんだけど、エピソードの積み重ねでしかなかった1作目あたりと比べると、確実に物語としての深みが出ている。

今までは、どちらかというと橋爪功を演じる家長・周造の暴走老人ぶりに周囲が振り回されるというドタバタ喜劇だったんだけど、今回は“妻よ”と題されてるくらいで、女性たちにスポットが当てられた内容、特に夏川結衣演じる長男の嫁を指してるわけなんだけど…そっか、今回はヒロイン映画なんだと。ぶっちゃけると、“オバサン萌え”映画であると。今までにないくらい平田家の嫁、史枝さんがクローズアップされるんだけど、やけに尻のアップが多かったり、はたまたフラメンコを踊る妄想シーンでは衣装からはみ出したむっちりとした二の腕が妙に艶めかしい。

掃除の最中に、スカートの裾を膝上あたりまでたくし上げたまま、居眠りをしてしまう姿など…主婦のいけない瞬間を覗き見しているような、エロティシズムを感じる。そうなんです、あんたんとこの嫁や、かーちゃんも、まだまだ現役バリバリの“女なんだぜ”、。嫁の事をちゃんと“女”として扱えっていう…86歳のじーさん(監督)からのメッセージなんでしょうなぁ、これは。この映画、シニア料金で映画を見れるじーさん、ばーさんよりも、もう一回り下の世代の中年のオジサン、オバサンこそ見に行くべき映画なんだろうなと、オイラは、そう納得したよ。

山田洋次の映画として分析すると…演技をするのが大変になった晩年の渥美清の代わりに、吉岡秀隆演じる満男がメインになって話をころがす「ぼくの伯父さん」以降の寅さんシリーズみたいな変化だろうか?さすがに吉岡秀隆じゃ、渥美清の代役なんかできるわけがなく、あの頃の作品って、急につまらなくなったけど…本シリーズは、決してそんなことにはならず、うまく夏川結衣と、その旦那の西村まさ彦の話にスライドさせたなと。あとは、いい塩梅で“寅さん”が入ってるのが良かった…西村と橋爪で、寅さん(トラブルメーカー)が2人いるみたいなもんだしな。

家族で喧嘩して飛び出した西村まさ彦を玄関先まで追いかけ、中島朋子演じる長女(幸之助の妹)が…“お兄ちゃん”とか言葉をかけるシーンにお笑い。後半では…柴又の帝釈天が出てきて、鐘撞きの“ゴ~ン♪”という音が鳴り響いたりしてるのを聴いて、妙にノスタルジーを感じた…。1作目でも、これ見よがしに“過去の山田洋次監督作品”が小道具に使われていたんだけど、さすがにそれはやりすぎで、鼻についたんだけど…今回のようなギリギリのところを狙った感じは、監督のセルフオマージュとして大いに受け止めたいなと思った、面白かったです。

そういえば…長男夫婦の息子を演じている役者(子役)がさりげなく変わってましたね。前よりイケメンになってたし(笑)前作に引き続き、警察の捜査が入る平田家…扱う事件が違うので、刑事も違う(笑)前作では劇団ひとりが刑事だったが、今回は立川志らくが刑事を演じていた…志らくって寅さんフリークで有名だもんな、さぞ嬉しかっただろう。前作では死んでしまった小林稔侍も、また別の親友役で復活、相変わらず鶴瓶も特別出演。すっかり平田家の一員に馴染んだ蒼井優演じる二男嫁…もし続編があるなら、今度はこの蒼井優あたりがメインに昇格では?


監督:山田洋次
出演:橋爪功 吉行和子 西村まさ彦 夏川結衣 中嶋朋子 林家正蔵 妻夫木聡 蒼井優 小林稔侍


【ノベライズ小説はこちら】
妻よ薔薇のように 家族はつらいよ3 (講談社文庫)






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