ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年) | 勝手に映画紹介!?

ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年)

ナミヤ雑貨店の奇蹟

【鑑賞日:2017年9月12日】

先週…当選報告の記事をアップした通り、9月23日公開予定「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の試写会が当たったので、近所のシネコン、シネプレックスまで行ってきた。東野圭吾の同名ミステリーの映像化だそうだが、原作は未読。ミステリーといっても、“殺人が起きたり”するような内容ではなく、どうやら感動系で、SF、ファンタジー的な要素が入ってるとのこと。主演がジャニーズというのが、ちょっとひっかかったりもするのだが、それ以外は若手からベテランまで演技派な役者も多く、監督が、ピンク映画出身のベテラン廣木隆一さんな点にも安心感があるよね。

“ナミヤ雑貨店”の店主・浪矢は…商売をしながら客の“悩み相談”にのっていた。シャッターの郵便受けから投げ込まれた手紙への回答は、店の横に設置された掲示板に貼られ、人に知られたくない深刻な悩みはひっそりと牛乳箱に入れられていた。時は移り、現代…敦也、翔太、幸平の3人は、とある豪邸に忍び込み、女性を襲って、金品を盗み出す。逃げる際に、車が故障してしまい…目をつけていた空き家に隠れるのだが、そこはかつての“ナミヤ雑貨店”だった。やがて3人の前に、1980年からの“手紙”が届き…最初は冗談半分で返事を書くのだが…。

過去と未来が“アイテム”を通じて繋がっており…未来からの助言で過去の出来事が大きく左右されていたみたいな、「オーロラの彼方へ」系のSFミステリーですね。「オーロラの彼方へ」は、無線機を通じて、主人公と若い時の父親が繋がるみたいな話だったけど…本作では雑貨店という場所と、悩み相談を記した手紙が時空を飛び越えて、様々な人の絆を結ぶ。複数のエピソード、時系列がけっこう入り乱れるので、頭で考えようとすると“超ややこしい”んだけど…映像で見てると、ちゃんとストーリーが追いかけらるので、演出、編集の巧さは実感した。

ジャニーズのあんちゃんを中心とした若手男優3人組が、怪現象に遭遇してワーワー、キャーキャーやってる前半部分を見た時は“しまった”って思ったんですけど…話が林遣都演じる売れないミュージシャンに移ったあたりから、物語を楽しむ余裕が出てきて、さらには過去を描いた各エピソードも“ベタ”な内容が多いものの、役者の芝居できっちりと見せるので意外と飽きない。後半に出てくる尾野真千子なんて、さすが朝ドラ女優の貫禄…高卒直後の10代後半(多少、無理はある)から50代の“ババァ”まで1人で演じ切ってしまうのだから恐れ入る。

歌唱シーンやダンスシーンを熱演する門脇麦(彼女もまた女子高生姿を披露)、古風な色気を振りまく成海璃子と、女優陣…いい仕事してるな。男優ではマニアックなところで手塚とおるは絶対に要チェック!手塚さんが過去シーンにチラっと出てくる“養護施設の職員”なんて地味な役に甘んじるわけがなく…他の役者がメインの芝居をしている後ろで、さりげなく“小芝居”してるのがなんとも“胡散臭い”のだが…案の定、他にも出番が!西田敏行も一昔前はなんでも「釣りバカ日誌」のハマちゃんに見えてしまったもんだが、“泣かせる”ジジイ役を好演する。

リアルな作品が好きな人は、SF、ファンタジー的な設定に戸惑う部分もあるかもしれないけど、現代からの助言(悩みへの回答)が複数のエピソードに連鎖、波及して、どんどんとパズルのピースがハマっていく瞬間は意外と心地よく、“ツッコミ”要素をちゃんと忘れさせてくれる。そういうのはやっぱり、ちゃんと映画が撮れる廣木隆一の演出力であろう…ガチャガチャしたテレビ的な作品ばかり撮る最近の“若い監督”は見習ってほしいものだ。ジャニーズ主演、大作邦画にしては、悪くない。東野圭吾原作映画としても、「天空の蜂」より100倍すばらしい内容。


監督:廣木隆一
出演:山田涼介 西田敏行 尾野真千子 村上虹郎 林遣都 成海璃子 門脇麦 萩原聖人 小林薫 吉行和子


【原作小説はこちら】
ナミヤ雑貨店の奇蹟 (角川文庫)







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