2020年公開の映画

「ファーザー」

先月の終わりよりついにアマプラに登場しております!

 

主人公を演じたアンソニーホプキンス(「羊たちの沈黙」のレクター博士としても有名)は本作で

83歳という史上最高齢でのアカデミー主演男優賞。

もう2年前なのね、、

 

映画館でも観に行きましたが、とにかく凄い作品なので是非見てほしい。

ということで、書きます。

 

本作は多くは語られず、説明は一切なく。

淡々と認知症を患う主人公の生きる世界が1時間半流れていきます。

でもそこがまずポイントで。

 

全く事情の説明がないので、何かおかしいな?という微かな違和感を感じるものの、観客にはそれが正解なのか不正解なのかを確かめようがない。

誰もおかしいよ、変だよ、とは言ってくれない。

世界は正常に動いているはずなのに。

どうしてだ?なんでだ?

 

その感覚こそがまさに、認知症の方が体験しているであろう世界なんですよね。

少しずつ。ほんとに少しずつ、思っていた事が違う事に気づく。あぁ違うんだな、自分が違うんだ、と修正して。それなのにまた思っていたこととは違う事が起きる。

 

たまらなく不安に駆られる。

分からなくて、混乱して

でも誰もこの不安を取り除いてくれない。。

 

認知症の方はよく不安そうな顔をされていたり、ちょっと短気になったりという事がありますが、その気持ちを非常に近くに感じた気がしました。

抜け出せない恐怖と不安

まさに、疑似体験をしたような感じ。

 

 

そして少し俯瞰してこの映画を考えた時に、台本の構成や、演出の細かさ、工夫と計画の緻密さが物凄い事になっているのに気付きます。

 

いったい誰がこんな事を思いつけるというのでしょうか。。シンプルに頭がいい。

という事で調べたら、監督は原作の戯曲「父」の作者フローリアン・ゼレール。数々の最高脚本賞を受賞している43歳のフランスの方でした。

 

 

 

 

 

待て、43歳⁈ 

 

こんなリアルそうな世界を?43歳?

 

天才っているんだなぁ、、

この映画、批評家たちの評価も見たことないレベルに高いんです。とにかく天才的な話運び。

 

そして最初に戻りますが、名優ホプキンスよ。

ご本人も80歳越えだもんな、、と何処か納得してしまいそうになるほどの熱演っぷり。

どこまで分かって演じていらっしゃるんだろう?とかまで思いたくなりますが、全てがセリフだと気づいた時。マジで鳥肌が立ちます。

 

80歳超えてもなお、俳優としてこの年齢でしか演じ得ない姿(カッコ良くはないし、名優なら見せたくない姿に近いかもしれないのに)を引き受け、演じ切る魂にもアッパレであります。

最後のシーンまでには涙が止まらず。

下手なホラーより断然怖いです。

でも芯を捉えた良作。ぜひご覧あれ。

 

ちなみに予告は相変わらずの騙しです。笑