池脇千鶴の魅力が爆発
評価:★★★☆☆
少し前に市川準監督が街を主題にした「ざわざわ下北沢」という作品を見たが、出演者が超豪華なこともあっって主役の女性(悪くなかった)の存在感が薄く、街の魅力も上手く伝わっていなかった。
この作品もタイトル通り大阪の街が舞台で多くの芸人がゲスト出演している。
<ストーリー>
中学2年の若菜(池脇千鶴)の両親(沢田研二、田中裕子)は、・はる美&りゅう介・という売れない夫婦漫才師。一家4人、決して裕福な暮らしではないが幸せな毎日を送っていた。
ところが隆介は妙子という20歳も年下の女性をはらませてしまった。
お腹の大きくなった浮気相手(左)と対峙する田中裕子(中央)
右端に沢田研二
これまでも夫の浮気を大目に見てきた春美ではあったが、今回ばかりは堪忍袋の緒が切れた。漫才師としてのコンビは解消しなかったものの、夫婦としてのコンビを解消する春美。
隆介は妙子と再婚すると、元の家から4軒先の家で暮らし始める。
浮気相手と一緒に4軒隣に越してきた!
年が明けて、妙子は千里という女の子を生んだ。そして、春美と隆介は先々のことを考えて・カップル・というスナックをオープンした。別れた筈なのに、結婚している時より仲の良い両親。
隆介はマジシャンの助手に手をだし、これに呆れた妙子は、千里を置いて家を飛び出してしまう。仕方なく千里を引き取って面倒を見ることになった若菜一家。
しかし、隆介は酒に溺れるようになり、ある日、消息を絶ってしまった。
夏休みになると、若菜は隆介を探す旅に出た。そんな中、彼女は登校拒否で学校に顔を出さなくなった同級生のトオルと再会する。しかし、隆介は一向に見つからなかった。
若菜とトオルの前に補導員が現れ、補導員は隆介が車の事故で入院したと知らせた。急いで病院に駆けつけた若菜は、そこで久しぶりに家族と顔を合わせるのだった。それから、隆介が死んだのは一カ月後のことだった。葬式で、春美は夫婦の墓を隣同士に作る計画を若菜に話して聞かせた。いろんなことがあった中学時代。もうすぐそれに別れを告げ、若菜は未来へ向けて歩き出そうとしている----。(映画.COM)
中年期に入ったがまだ肥満していなかった沢田研二。
酒、ギャンブル、女・・・、絵に書いたようなダメ芸人の沢田研二に付かず離れずの距離感を保つ妻役の田中裕子の演技が素晴らしい。
絶妙なコンビネーションの夫婦漫才
夫婦で“どてら”で歩く姿も自然でいい
多くの関西芸人がゲスト出演しているが、必要以上にうるさくないのがいい。
千原兄弟、いくよ・くるよ、カウス・ボタン、浜村淳。
映画の前半は、この家族とマネージャーや隆介の浮気相手など周囲の人々の描写と、夫婦漫才や演芸場の様子が描かれていてテンポよく進んでいき面白い、後半は一転して若菜がトオルと一緒に父親を捜して大阪の街をさまようシーンになるが、この部分が長すぎるのが欠点。
ただ、後半のパートで出会う人たちの顔がよい
それにしても池脇千鶴の可愛さと演技力には舌を巻く。
この年齢(撮影時は15~16歳だろうか)で、一本の映画を最初から最後まで支え切ってしまう魅力。
映画の冒頭で観客に語り掛ける池脇千鶴
表情豊かで魅力的
田中裕子と対等に演技ができるのが凄い
スラムのような猥雑な大阪の街のスケッチも魅力的。
市川準監督は東京の人らしいが、東京の下北沢を舞台にした「ざわざわ下北沢」よりも「大阪物語」の方が魅力的だった。
東京では見かけない“ひやしあめ”
カラー119分
【鑑賞方法】DVD TUTAYAレンタル
【制作会社】吉本興業=関西テレビ放送=電通=近代映画協会=エス・エムエム作品
【配給会社】東京テアトル=「大阪物語」製作委員会
【監督】市川準
【脚本】犬童一心
【制作】
【撮影】小林達比古 蔦井孝洋
【音楽】朝川朋之
【主題歌】尾崎豊「風にうたえば」真心ブラザーズ「ENDLESS SUMMER NUDE」
【編集】渡邉行夫
【美術】山口修
【衣装】宮本まさ江
【出演】
池脇千鶴:霜月若菜
南野公助:トオル
沢田研二:霜月隆介
田中裕子:霜月春美
ミヤコ蝶々:重田カナ
小林麻:妙子
剣太郎セガール アクセサリー売り
夢路いとし:大阪芸人
喜味こいし:大阪芸人
浜村淳:大阪芸人
今いくよ:大阪芸人
今くるよ:大阪芸人
中田カウス:大阪芸人
中田ボタン:大阪芸人
坂田利夫:大阪芸人
チャンバラトリオ:大阪芸人
千原兄弟:大阪芸人