不要なシーンが多すぎる!

 

 

評価:★★☆☆☆


 

突然の外敵からの攻撃に対して日本はどう対処するのか?
 

近年の北朝鮮から頻繁に発射されるミサイル、尖閣諸島付近の中国の動きや、韓国の竹島の不法占拠などの出来事、そしてロシアのウクライナ侵攻やガザ地区での戦闘などの国際情勢を考えると、日本もいつ武力行使による侵略を受けるかわからない。

 

専守防衛の自衛隊しか持たない日本。
 

日本国民の多くは戦争には反対だと思うが、平時の議論では結論がでないまま、いざ有事に当たってこの国の政治家に国民を守るための適切な判断や対応がとれるだろうか?

 

 

<ストーリー>

20XX年、クリスマスイブ前日の1223日未明。沖ノ鳥島の西方450キロ、波留間群島初島に国籍不明の武装集団が上陸、日本の領土が占領された。海上自衛隊は直ちに小笠原諸島沖で訓練航海中の第5護衛隊群を現場に向かわせる。その旗艦こそ、自衛隊初の航空機搭載型護衛艦《いぶき》であった。計画段階から「専守防衛」論議の的となり、国論を二分してきた《いぶき》。艦長は、航空自衛隊出身の秋津竜太一佐(西島秀俊)、そしてそれを補佐する副長は、海上自衛隊生え抜きの新波歳也二佐(佐々木蔵之介)。そんな彼らを待ち受けていたのは、敵潜水艦からの突然のミサイル攻撃だった。さらに針路上には敵の空母艦隊が出現。想定を越えた戦闘状態に突入していくなか、政府は戦後初めての「防衛出動」を発令。迫り来る敵戦闘機に向け、迎撃ミサイルが放たれる……。(KINENOTEより)

 

 


 

明らかに尖閣諸島を連想させるにもかかわらず実在の国名をだせないのがなんとも歯がゆい。(原作は未読だがハッキリ中国の国名をだしているらしい)

 

戦闘と戦争の違い、戦争を回避するための戦闘など印象に残るセリフもあったが、非常事態にもかかわらず西島秀俊と佐々木蔵之介の青臭い抽象的な議論が長く、全体のテンポが悪い。さらに全く不要なコンビニのエピソードや、新聞記者と新聞社など不要なシーンの挿入で余計に時間を長く感じさせてしまう脚本が最悪だった。

 

 

ミサイルや、魚雷、空中戦などの戦闘シーンのVFXも邦画にしては及第点だろう。空母いぶきのビジュアルもいい。映像化する意味はこれだろう


戦闘シーンはそれなりに迫力がある
 


スキーのジャンプ台のようなカタパルトが格好いい

 

 

 

ドラマ部分はお粗末で、登場するキャラクターに深みがなくキャスティングも適材適所とはいいがたい。

艦長役の西島秀俊の口元が始終にやけているように見えてしまう。


どんなシーンでも同じにやけ顔

藤竜也は老化し縮んで存在感なし

出番の少ない藤竜也

 

非常事態なのに記者野放し状態にしてのんびりしている空母の広報官のキャラクターなども意味不明。

そして護衛艦や潜水艦内は全体に暗く帽子をかぶっているので顔の判別つかない。

 

 

 

自衛隊側と並んで重要な政府の対応の描写も今一つだった。

おそらく、超弱気そうで実は芯がしっかりしているという設定にしたかった首相は佐藤浩市の覇気のない演技で、単に仕事に疲れ切った中年オヤジにしか見えない。

常に“お疲れ状態“の佐藤浩市


外務大臣は好戦的すぎる

 

本田翼が演じる女性記者にいたってはキャラクターがさっぱりわからず、途中で何故、突然空母に残ることにしたのかサッパリわからない。

突然“残ります”(えっ?なんで)

1ミリも演技をしようとしない本田翼の姿勢が徹底している。

 

 

中井貴一のコンビニのエピソードは丸ごと不要。小倉久寛がこの店のクリスマス商品を持っていたこと程度の接点しかない。


中井貴一に演技力があるので余計に浮いてしまう

 

 

この手の映画の常連の佐藤浩市、中井貴一、吉田栄作、中村育二、などは見飽きた感じ。

 


 

現場で死傷者が出ても議論ばかりで何もできない政府の姿はある意味でリアルなのかもしれないが、国連の介入でのあっけない解決や、世界中でニュース画像をみているユルイ終わり方に失望した。

 

 

 

カラー134

 

【鑑賞方法】ブルーレイ

【原題・英題】IBUKI

【制作会社】『空母いぶき』フィルムパートナーズ

【配給会社】キノフィルムズ

 

【監督】若松節朗

【脚本】伊藤和典、長谷川康夫

【原作】かわぐちかいじ

【企画】福井晴敏

【撮影】柴主高秀

【音楽】岩代太郎

【編集】阿部亙英

【美術】原田満生、江口亮太

【衣装】加藤哲也

 

【出演】

西島秀俊:秋津竜太

佐々木蔵之介:新波歳也

本田翼:本多裕子

小倉久寛:田中俊一

高嶋政宏:滝隆信

玉木宏:瀬戸斉昭

戸次重幸:淵上晋

市原隼人:迫水洋平

堂珍嘉邦:有澤満彦

片桐仁:藤堂一馬

和田正人:岡部隼也

石田法嗣:葛城政直

平埜生成:柿沼正

土村芳:吉岡真奈

深川麻衣:森山しおり

山内圭哉:浮船武彦

工藤俊作:浦田鉄人

横田栄司:清家博史

中井貴一:中野啓一

村上淳:中根和久

吉田栄作:沢崎勇作

佐々木勝彦:沖忠順

中村育二:城山宗介

益岡徹:石渡俊通

斉藤由貴:晒谷桂子

藤竜也:湧井継治

佐藤浩市:垂水慶一郎