ストップ・メイキング・センス(1984)アメリカ | おやじの映画館【ネタバレあり】

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観た映画の感想を書いています。
基本的にネタバレありです。
評価は★5大傑作、★4傑作、★3佳作、★2標準作、★1駄作です

 

 

 

観客のリアクションを映さないという英断

 

 

評価:★★★★★

 

 

1970年代~1980年代に青春を過ごした者にとって、トーキング・ヘッズは、いわゆるメジャーなアメリカのポップ・ミュージックのバンドとは一線を画すオシャレで個性的なバンドだった。(なのでUSA for Africaなどには参加しないと思ったらNETFLIXポップスが最高に輝いた夜を観たら一応声をかけたけどスケジュールが合わなかっただけみたい)
 

映画でいえばスピルバーグやルーカスや「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の王道路線ではなく、ロバート・アルトマンやブライアン・デ・パルマ、デイヴィッド・リンチのような個性的な監督たちの作品に相当するのだろうか。

(ちなみにこれらのミュージシャンや映画監督は2010年になくなったおしゃれな評論家の今野雄二のお気に入りでした。)

 

 

「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミが監督したこの「ストップ・メイキング・センス」は、これまで自分が見た音楽関連の映画の中では最高のライブ・パフォーマンス映画。

 

 


 

デヴィッド・バーンが一人で登場しギター1本(とカセットテープ)で「Psycho Killer」を演奏、その後は一曲ごとにメンバーが増えていく構成。メンバーが増えるごとに黒子の衣装を着たスタッフが舞台を作り上げてゆく。

シンプルなセットと絶妙なライティング。

デヴィッド・バーンはステージ上を走りまわり、独特の痙攣パフォーマンスを披露。

 

 

ラストまで観客席の反応をほとんど映さない手法が斬新だった。

 

観客席が写れば「このライブを見ていた人は楽しそうだな」と思ってしまうが一体感は薄れてしまう。

ステージを集中的に写せば鑑賞している我々はあの会場にいた観客と同様に「このライブは楽しい」と感じることが出来る。

 

安易に観客のノリを写す平凡なライブ映像がつまらなく見える。

 

 

 
 

16曲。

 

Psychho Killer サイコ・キラー

 カセットテープデッキ1台を持ってデヴィッド・バーンが登場。ギター1本で歌う。

 

ヘヴン  Heaven

 美人ベーシストのティナ・ウェイマス登場。


 

サンキュー・フォー・センディング・ミー・アン・エンジェル  Thenak you for Sending Me An Angel

 黒子がドラムセットの乗った台を設置してドラムのクリス・フランツ(ティナ・ウェイマスの御主人)参加。


 

ファウンド・ア・ジョブFound A Job  

 ジェリー・ハリスンが加わりトーキング・ヘッズのオリジナルメンバーが勢揃い。


 

Slippery Peopleスリッパリー・ピープル  

 女性コーラス2人とパーカッション参加。

ノリのいい女性コーラス

 

Burning Down The Houseバーニング・ダウン・ザ・ハウス  

 さらにサポートのキーボードとギターが加わりこれでフルメンバー


 

ライフ・デュアリング・ウォータイム Life During Wartime

 クネクネした独特のパフォーマンス。普通の人がクラブでこの動きをしたら周りが引きそうだが、デヴィッド・バーンがやるとなぜか超クール。後半はステージを所狭しと走りまわるデヴィッド・バーン

 曲の終わりにデヴィッド・バーンが言った有名な「ありがとう 何か質問ある?」というセリフは後入れらしい、実際には「ちょっと休憩」といったらしい。


 

メイキング・フリッピー・フラッピーMaking Flippy Floppy  

「ちょっと、休憩」後、ひと汗かいたので、髪をきっちりなでつけて、ティナはスカートに着替える


 

ステージの後ろに3つの単語からなる文が浮かび上がる


 

スワンプSwamp  

真っ赤なバック。この辺からライティングが神がかり。

 

What A Day That Wasホワット・ア・デイ・ザット・ワズ  

 バックの壁にメンバーの影が映る


 

This Must Be The Placeジス・マスト・ビ―・ザ・プレイス 

 電気スタンドの下に集まって歌う


 

ワンス・オン・ア・ライフタイム Once On A Lifetime

眼鏡をかけて痙攣パフォーマンス絶好調


 

ジーニアス・オブ・ラヴGenius Of Love 

ベースのティナ・ウェイマスとドラムのクリス・フランツのユニット“トムトムクラブ”の曲。ティナの魅力爆発。

 

ガールフレンド・イズ・ベターGirlfriend Is Better 

ビッグスーツ登場


 

Take Me To The Riverテイク・ミー・トゥ・ザ・リヴァー 

ここでメンバー紹介。ティナにひときわ大きな喝采。

 

クロスアイド・アンド・ペインレスCrosseyed And Painless 

このラストナンバーの後半で初めて観客席のショットが入り最後はスタッフ総登場でトーキングヘッズ、スタッフ、観客が一体となったところでステージ側から幕が降りる所で幕切れという素晴らしさ


最後はスタッフ総出で幕が下りる


幕が降りていくシーンをステージ側から撮っているのもいい。

 

ーンは映画「トゥルー・ストーリー」をつくり、この映画のサントラにも「Love for Sale」「Wild Wild Life」といった名曲が生まれているが、バンドは1991年に解散している。

 

2021年、スパイク・リーが監督したデヴィッド・バーンのライブ・パフォーマンス映画「アメリカン・ユートピア」が話題になった。

この映画も傑作だった。

 


 

カラー88

 

【鑑賞方法】ブルーレイ(字幕)

【原題・英題】STOP MAKING SENSE

【制作会社】トーキング・ヘッズ・プロ

【配給会社】KUZUI

 

【監督】ジョナサン・デミ

【制作】ゲイリー・ゴーツマン

【撮影】ジョーダン・クローネンウェス

【編集】リサ・デイ

 

【出演】

デヴィッド・バーン(ヴォーカル、ギター)

クリス・フランツ(ドラム)

ジェリー・ハリソン(ギター、キーボード)

ティナ・ウェイマン(ベース)

エドナ・ホルト(バックアップ ヴォーカル)

リン・モーブリー(バックアップ ヴォーカル)

アレックス・ウエイナー(ギター)

バーニー・ウォーレル(キーボード)

スティーヴ・スケールズ(パーカッション)