大人向けのシリアスなSFサスペンスの傑作

 

 

 評価:★★★★☆


“パーソナル”コンピューターが当たり前の今の時代からさかのぼること50年以上前の映画。

軍事用コンピューターの暴走を描いている。

「2001年 宇宙の旅」のHAL9000、「ウォー・ゲーム」、「ターミネーター」のスカイネットなど、この手のテーマはこれまでも繰り返し映画に描かれてきた。

 

<ストーリー>

米ソの冷戦下の時代、アメリカではフォービン博士(エリック・ブリーデン)によって“コロッサス”という防衛用のコンピューターが作られた。人間より優れた判断力を持ち、いかなる破壊工作も受けつけない。しかし、同時期にソ連もそっくりのシステム“ガーディアン”を完成しており、コロッサスとガーディアンは、お互いに連携して人間を管理下に置こうとする。

人間のあらゆる対抗措置もむなしく、最後は開発者のフォービン博士さえも完全にコロッサスにスケジュール管理されてしまう。

 


 

 

フォービン博士が唯一、プライベートな時間として、恋人とのセックスの時のみカメラの監視を逃れるためにコロッサス交渉する場面で、博士がセックスの回数を「毎日」と答えるとコロッサスが「願望ではなく必要な回数を」と答えるのがおかしい。(結局週4で決着)

人間では客観的に判断できないようなことをコンピューターが客観的にデーターを収集・解析して国家の防衛を担うことを目的していたが、人間の管理下にコンピューターが働くのではなく、コンピューターが人間を管理した方が戦争を抑止できるという皮肉な結末で、「ウォーゲーム」のような楽天的な解決ではない最後の放り出し方も印象的。

 

 

 

出演者は無名の役者が多いが皆、好演。

1970年制作の映画なので大統領役は、なんとなくケネディを意識したビジュアル。

 

大統領

 

監督は「サブウェイ・パニック」の“職人”ジョセフ・サージェント。

主な舞台はコロッサスのコンピュータールームと大統領の会議室だが、ときどき出てくる野外のシーンではロングショットを多用して解放感を出している。

 

コロッサスの巨大なコンピューター室、大統領の会議室の隣の作戦室などの美術セットが素晴らしい

 

コロッサスの遠景、入り口、内部

 

壁が開くと向こう側に作戦指令室がある大統領の部屋

 

 

小道具のリモコンやテレビ電話は昔風

 

 

衣装も大御所イーディス・ヘッドなので、なにげない服の色合いやセンスが良くって、いい意味で目移りしてしまう。

 
 

 

 

冷戦下の危機を描いた映画として「未知への飛行」「博士の異常な愛情」と並ぶ傑作。そしてコンピューターの暴走をテーマにしたSFとしても「2001年 宇宙の旅」「ウォーゲーム」と並ぶ傑作。

 

 

【鑑賞方法】ブルーレイ(吹替)キングレコード

【原題】COLOSSUS :  THE FORBIN PROJECT

カラー100

 

【制作会社】ユニヴァーサル作品

【配給】ユニヴァーサル=CIC

 

【監督】ジョセフ・サージェント

【脚本】ジェームズ・ブリッジス

【原作】D・F・ジョーンズ

【制作】スタンリー・チェイス

【撮影】ジーン・ポリト

【音楽】ミシェル・コロンビエ

【編集】フォルマ―・ブラングステッド

【美術】アレクサンダー・ゴリッツェン ジョン・J・ロイド

【衣装】イーディス・ヘッド

【特撮】アルバート・ウィトロック

【セット】ルビー・レヴィット ジョン・マッカーシー・Jr

 

【出演】

エリック・ブレーデン:チャールズ・フォービン博士

スーザン・クラーク:クレオ・マーカム博士

ゴードン・ピンセント:大統領

ウィリアム・シャラート:CIA長官グローバー

レオニード・ロストフ:ロシアの議長

ジョーグ・スタンフォード・ブラウン:ジョン・F・フィッシャー

ウィラード・セイジ