キルゴアのヘリコプター部隊の
急襲シーンの大興奮
そして最後の30分の失望感
評価:★★★★★
ヘリによるベトコン急襲シーンはCG無しのド迫力。木造の橋が爆撃で砕け散るように破壊されていくショット、ナパームでジャングルまるごと燃やしてしまうスケール。
ヘリコプター部隊の急襲
木の橋が砕け飛ぶ
ナパーム弾によるジャングルの炎上
サーフィン大好き:キルゴア中佐
この襲撃シーンをはじめ、プレイメイトのショー、指揮官が誰かもわからない夜の橋の混乱など中盤までの戦場のスケッチは面白かったが、カーツの王国に入ってからの退屈さは尋常でなく、映画のクライマックスが前半にあるという不思議な映画だった。
プレイメイトショー(兵士が興奮して大混乱)
指揮官不在のドラン橋
マーロン・ブランド扮するカーツ大佐
最近、ブルーレイで特別完全版に入っているメイキング「ハート・オブ・ダークネス」を見てマーロン・ブランドのわがままぶりで撮影が進まずあのようなグズグズな最後になってしまったのがわかった。
太った体はとてもグリーンベレーの精鋭だったとは思えない。ぶつぶつわけのわからない朗読しているだけであまりカリスマ性も感じられない。
共演者と一緒に写っているショットがほとんどなく、顔が影になって表情が全く見えないシーンにいたってはブランド本人が演じているのかも怪しい
こんな状況に合わせて脚本が改悪されてあのような最後にするか選択肢がなかったのだろう。ある意味コッポラに同情するが、ジョン・ミリアスの最初の脚本のラストはカーツの部隊、ベトコン、米軍が入り乱れて大戦闘シーンになって終わるはずだったのでガッカリ度が半端なかった。
特別完全版で追加されたフランス人農園のパートは長くてだれるので不要でここはカットして正解。プレイメイトとの絡みのシーンもあってもなくてもどちらでもよいサービスカットだった。
製作発表当時から撮影前の映画雑誌でのニュースでは、オリジナルのキャストの構想はウィラードにスティーヴ・マックィーン、カーツにマーロン・ブランド、キルゴアにジーン・ハックマン、そして企画が動き始めた当初の映画雑誌のにはリノ・ヴァンチュラとマリア・シュナイダーの名前もあって、これはおそらく農園のフランス人夫婦だろう。カメラマン役はロバート・レッドフォードの名前もあがっていたように記憶している。
主役のウィラードはスティーヴ・マックィーンに断られ、ハーヴェイ・カイテルで撮影に入ったが今度はコッポラたちが気に入らず降板、最終的にマーティン・シーンに落ち着いた。
プレッシャーでアル中+心臓発作になってしまったマーティン・シーン
マーロン・ブランドは唯一残ったオリジナルキャストだったので何としても出演してもらうために妥協に妥協を重ねた結果、大傑作になり損ねてしまった。
そのほか、デニス・ホッパー、ハリソン・フォード、スコット・グレン、R・リー・アーメイ(「フルメタル・ジャケット」)も出演
スコット・グレン R・リー・アーメイ
この映画のソフトは劇所公開版、特別完全版とメイキングや「ハート・オブ・ダークネス」が入った3枚組と、ファイナル・カット版が入った3枚組を所持。
どちらも、特典が満載。
前述のマーロン・ブランドの件や、マーティン・シーンの心臓発作のアクシデント、台風によるセット崩壊のアクシデントなど映画本編に負けず劣らずメイキングが面白い。
【鑑賞方法】ブルーレイ(吹替字幕)角川
【原題】APOCALYPSE NOW
カラー 153分(特別完全版203)(ファイナルカット182分)
【制作会社】アメリカン・ゾエトロープ・プロ
【配給】日本ヘラルド
【監督】フランシス・フォード・コッポラ
【脚本】フランシス・フォード・コッポラ ジョン・ミリアス
【原作】ジョセフ・コンラッド
【制作】フランシス・フォード・コッポラ フレッド・ルース
【撮影】ヴィットリオ・ストラーロ
【音楽】カーマイン・コッポラ
【主題歌】
【編集】ジェラルド・B・グリーンバーグ リチャード・マークス ウォルター・マーチ リサ・フラックマン
【美術】ディーン・タヴォウラリス
【衣装】デニス・M・フィル ジョージ・リトル ラスター・ベイレス ノーマン・バーザ
【出演】
マーロン・ブランド:カーツ大佐
マーティン・シーン:ウィラード大尉
デニス・ホッパー:フォト・ジャーナリスト
ロバート・デュヴァル:キルゴア中佐
フレデリック・フォレスト:シェフ
アルバート・ホール:チーフ
サム・ボトムズ:ランス
ラリー・フィッシュバーン:クリーン
G・D・スプラドリン:将軍
ハリソン・フォード:ルーカス大佐
スコット・グレン:コルビー
コリーン・キャンプ:プレイメイト
リンダ・カーペンター:プレイメイト
シンシア・ウッド:プレイメイト・オブ・ザ・イヤー