淡々と描かれる刑務所の日常生活
食事がおいしそう
評価:★★★☆☆
観ている時は面白かったが最後は「エッ、もう終わりなの?」という感じだった。
ストーリーは無く、最後まで何も大きなイベントが起こらない映画。しかし、よく考えたら、この映画の作り手は何も大きなイベントがない刑務所の生活を描きたかったのだろうからこれでよいのだ。
最初の逮捕のきっかけのサバゲーのエピソードは長すぎるが、その後の刑務所生活のスケッチが面白い
食事は豪華ではないが、お正月の盛沢山の献立、パンにマーガリンとあん、醤油かけごはん、映画を見る時のアルフォード、などシャバでは普通に食べている物がこんなにおいしそうだとは!
お正月の贅沢な食事
食事以外でも、服の折り目やたたみ方、将棋盤のチョットしたズレの修正など掃除や整理整頓に異常にこだわる几帳面さが面白い。
適度の労働と健康的な食事と生活管理、映画観賞会もあるし食事はおいしいし、お金が貯まらないこととプライベートがないことと異性との出会いがないこと以外はいたれりつくせり。
若い受刑者には耐えられないだろうが、高齢の受刑者にしてみれば天国なのかもしれない。
最近は出所後すぐに犯罪を犯してわざと刑務所に戻る人も多く、厳しい社会環境で社会復帰を目指すより死刑にならない程度の軽犯罪を繰り返しながら刑務所で暮らす方が楽なのかもしれない。
これでは再犯率が減らないではないか!
一般人からしたら悪いことをしたのに自分が収めた税金で楽しそうな生活されたらかなわないのだが。
山崎努が受刑者役でキッチリ坊主頭にしているのが偉い。そしていつもの名演技。
同室者の香川照之、田口トモロヲ、松重豊、そして面白過ぎるシャブ中の村松利史。同室の受刑者役の4人もちゃんと頭丸刈り。
香川照之:おぼっちゃま
「ビューだね」
田口トモロヲ:刑務官にゴマをする受刑者に嫉妬
松重豊:仁義でなく“仁議”の刺青
村松利史=シャブ中
覚醒剤でハイになった時の様子を嬉々として話す
キャラクター的にもビジュアル的にもイッチャテル感満載なのが素晴らしい
同室者以外も個性的
木下ほうか(左):人を殺して全く反省しない
医官(椎名桔平)超事務的「ハイ。水虫。搔かない」
チンポの先に知り紙がついているティッシュマン高橋
窪塚洋介はいつもの変な奴を独特のペースで演じているが全体のペースが乱れてつまらなかった。
作業所ではいちいち「願いまーす」
「願いまーす」
指さし
【鑑賞方法】DVD:DISCASレンタル
【原題】DOING TIME
カラー93分
【制作会社】ビーワイルド=衛星劇場
【配給】ザナドゥー
【監督】崔洋一
【脚本】崔洋一 鄭義信 中村義洋
【原作】花輪和一
【制作】若杉正明
【撮影】浜田毅
【音楽】佐々木次彦
【美術】磯見俊裕
【衣装】鳥野圭子
【編集】川瀬功
【出演】
山崎努:受刑者No.222 花輪
香川照之:受刑者No.134 伊笠
田口トモロヲ:受刑者No.124 田辺
松重豊:受刑者No.128 小屋
村松利史:受刑者No.62 竹伏
大杉漣:ティッシュマン高橋
伊藤洋三郎:掃夫友田
遠藤憲一:ミリタリー中田
浅見小四郎:ミリタリー佐藤
粟田茂:ミリタリー田村
恩田括:ミリタリー木下
小木茂光:ミリタリー佐伯
椎名桔平:医官
窪塚洋介:浜村
木下ほうか:大内
長江英和:岸田