マカロニウェスタンといえば低予算でグロイ、汚いというのが定番だが、この作品のスケール感と風格は別格。
<ストーリー>
西部に鉄道が敷かれつつある時代、スィートウォーターと名付けられた土地に、アイルランドからの移住者マクベインが婚約者のジル(クラウディア・カルディナーレ)を家族総出で迎え入れる準備をしていた。
しかし冷酷非情なガンマンのフランク(ヘンリー・フォンダ)によってマクベイン一家は皆殺しにされてしまう。更にフランクは事件を山賊のシャイアン(ジェイソン・ロバーズ)の仕業に見せかける。
フランクが一家を殺害したのは、マクベインの土地を奪い取ろうとする鉄道局の役人モートンの依頼だった。
事件の真相を探ろうとする賞金首のシャイアンと、フランクを付け狙う謎の男「ハーモニカ」(チャールズ・ブロンソン)は協力しあう。
一方、土地の利権がジルに与えられると知ると、フランクは彼女を狙いはじめた。身の危険を感じたジルは、保安官(キーナン・ウィン)の助力を得て遺産をせりに出し「ハーモニカ」とシャイアンが権利を買いとり、再びジルに与えた。
そしてついに、フランクと「ハーモニカ」の対決の時がやって来る。
チャールズ・ブロンソン、ヘンリー・フォンダ、ジェイソン・ロバーズ、ウディ・ストロード、ジャック・イーラムなどなど男たちの顔、紅一点で主役(ビリングトップ)のクラウディア・カルディナーレの美しさ。
チャールズ・ブロンソン
ヘンリー・フォンダ
ジェイソン・ロバーズ
ウディ・ストロード
ジャック・イーラム
顔のアップの多用、そして独特の間の取り方。セリフで説明しないためストーリーが判りにくいのが難点だが印象に残る名場面が多い。
最初に見た時は、亡くなったジルの旦那の土地の権利問題やひたすら西海岸を目指す体が悪く歩くのままならず天井から降ろした“うんてい”にぶらさがり状態で移動する“汽車ポッポの旦那”のエピソードなどの絡みが説明不足でわかりにくかった。
体が悪く“うんてい”状態で記者の中を移動する「汽車ポッポの旦那」
しかし、数多くの忘れ難い名場面があり、鑑賞回数を重ねるごとに映像の虜になってしまう。
・最初の駅の待ち伏せ場面の3人組を写す場面のじらし方、そして一瞬で決まる勝負。最後の一人(ウディ・スロート)の倒れ方のタイミングの絶妙さ
駅で「ハーモニカ」を待ち伏せする3人
「ハーモニカ」の銃が火を噴く
ウディ・スロートが倒れるタイミングが絶妙
・風に揺れる長いダスターコート。唾を吐きながら登場し、罪のない子供も撃ち殺してしまう極悪非道のヘンリー・フォンダ。
ダスターコートが格好いい
・ジルが駅に到着し駅舎を通って街に出るところをクレーン撮影で駅舎の屋根越しにとらえる場面とそこにかぶるモリコーネの美しいテーマ曲。その後馬車でスィートウオーターに行くまでのモニュメントバレーの景観。
期待に胸を膨らませて駅に到着するカルディナーレだが、迎えが来ない。
写真下から上へカメラが上がって街の全景が見える
・ブロンソンとフォンダの決斗シーンのじらしと顔のアップ
ロングから超アップへ
銃口が火を噴くとフォンダがくるりと反転、ホルスターに銃が収まらず倒れる。
・そしてラスト、ジェーソン・ロバーズは死に、チャールズ・ブロンソンが去り、クラウディア・カルディナーレが土地に残る。
撃たれた傷が元で死ぬジェーソン・ロバーズ
スィートウォーターを去るブロンソン
残るカルディナーレ
線路工事の男たちに飲み物をふるまうジルの姿に滑空するONCE UPON A TIME IN THE WESTのタイトル文字。
広大なロケーションを汽車や鉄道工事、原野を走る馬。
ロングショットの構図の天才:セルジオ・レオーネ。
モリコーネの音楽も100点
思う存分堪能させてもらった。
【鑑賞方法】ブルーレイ(吹替):パラマウント
カラー 166分
【制作会社】セルジオ・レオーネ・フィルム=サンマルコ・プロ
【配給】パラマウント
【監督】セルジオ・レオーネ
【脚本】セルジオ・レオーネ セルジオ・ドナティ
【原案】セルジオ・レオーネ ダリオ・アルジェント ベルナルド・ベルトルッチ
【制作】フルヴィオ・モルセッラ
【撮影】トーノ・デリ・コリ
【美術】カルロ・シーミ
【編集】ニーノ・バラーリ
【音楽】エンニオ・モリコーネ
【出演】
ヘンリー・フォンダ:フランク
クラウディア・カルディナーレ:ジル
ジェイソン・ロバーズ:シャイアン
チャールズ・ブロンソン:ハモニカ
ガブリエル・フェルゼッティ:モートン
フランク・ウォルフ:ブレット・マクベイン
ジャック・イーラム:スネイキー
ウディ・ストロード:ストーニー
パオロ・ストッパ:サム
キーナン・ウィン:シェリフ
ライオネル・スタンダー:バーマン