大人向けの“SFホラー”
という新しいジャンルの誕生

 

 

評価:★★★★★

 

 

1978年にジョージ・ルーカスの壮大なスペースオペラ「スター・ウォーズ」と、スティーヴン・スピルバーグの善良な宇宙人のシリアスなファンタジー「未知との遭遇」が公開されて、特撮技術の急激な進化とともにSF映画は新たな時代に突入する。

どちらの作品も老若男女万人に受けて大ヒットした。

 

1979年、SF映画として封切られた本作を当時、高校生だった自分は友人たちと期待に胸を膨らませて見に行った。

今では“エイリアン”という言葉は普通に使われているが、当時は言葉の意味がわからず「エイリアン」って何?状態だった。

 

 

<ストーリー>

宇宙船ノストロモ号が、地球に帰る途中、彼らは、他の宇宙船からのSOSを傍受し発信地である惑星に着陸した。

そこで発見した宇宙船には大量の卵のような物体があり、卵から飛び出た生物が乗組員のケインの顔に張り付いてしまった。

 

 

卵をのぞき込むケイン(ジョン・ハート)
 

 何やら生ハム状の物体が・・・

 

 

付着した生物を無理に剥ぎとろうとすると首に巻き付いた尾で首がしまってしまうため、足を切断しようとすると傷から強力な酸の血液が出て床が溶けてしまった。

“フェイスハガー”尾が首に巻き付いている

 

 

酸の血液で床が溶ける

 

 

その後、生物はいつの間にか姿を消しその後、死骸が見つかった。

ケインも回復したが、食事中に突然、苦しみ出し彼の胸部から生物が飛び出てきた。

 

 

胸から出血、何か出てくる!

“コンニチワ”


 

やがて生物は脱皮しながら急速に大きくなって、乗組員たちは次々に襲われていく。

 

 

 

冒頭のバラバラにしかし左右対称にゆっくりと完成していく秀逸なタイトル文字の出し方。

 


 


 

 

タイトルの出し方がグッド

 

続いて映し出されるノストロモ号の船内の壁や機械類、冷凍睡眠装置など無機質で変に近未来にしすぎていないデザインも印象的。多くのSF映画のデザインは近未来を意識しすぎて製作して数十年経過すると非常に陳腐なデザインとなってしまうがこの映画は現在みても陳腐なところが少ない。宇宙服のおしゃれなレトロ感も良かった。

 ゴテゴテの巨大シップ

 

 

船内のデザイン  過度に近未來的にしていないところがいい

 

睡眠装置

 

 

これは本格的なシリアスなSF映画だろうとさらに期待が高まった。

その後は・・・。

 

いや~怖かった。

 

限定された空間で少人数の乗組員がエイリアンに追われるサスペンスと恐怖、開放空間で宇宙船が飛び回る従来のSF映画とは全くスタイルが異なる。

 

 

内容だけではなく、ギーガーのデザインによるグロい形態のエイリアン。性器を連想させる宇宙船(入口が女性器、砲塔が男性器)。

 グロテスクなエイリアン

 

フェイスハガーの死体もグロテスク

 

女性器のような宇宙船の入口

 

男性器のような砲塔

 

 

最後の起爆装置の無駄に複雑な操作が必要なところのサスペンスも高得点。

 


 

シガーニー・ウィーヴァーのノーブラで必要以上に小さいパンティの半ケツ状態とこれは完全に大人のSF映画だった。

半けつリプリー

 


 

その他のサービスショット

 

哲学的な「2001年宇宙の旅」、活劇「スター・ウォーズ」、ファンタジー「未知との遭遇」、侵略物「宇宙戦争」などが様々なジャンルのSF映画があったが、この「エイリアン」はSFホラーという新たなジャンルを生み出した。

 

 

キャストはいわゆるスーパースターは出てないが、トム・スケリット(「マッシュ」)、イアン・ホルム(「炎のランナー」)、ジョン・ハート(「エレファントマン」)、ハリー・ディーン・スタントン(「パリ・テキサス」)、ヤフェット・コットー(「007死ぬのは奴らだ」)、ヴェロニカ・カートライト(「鳥」「ライトスタッフ」)、などいぶし銀の名優揃い。

 全員集合で食事中(登場人物は7人のみ)

 

 

 「炎のランナー」前のイアン・ホルム

 

「エレファントマン」前のジョン・ハート

 

「パリ・テキサス」前のハリー・ディーン・スタントン

 

ヴェロニカ・カートライト(泣き虫役がよく似合う)

 

しかし、キャスト中唯一無名のシガーニー・ウィーヴァーが真の主役だった。スリムな体型で薄い唇、気が強そうで適役

 

 

 

 

 

 

【鑑賞方法】ブルーレイ(吹替): 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン

【原題】ALIEN

カラー 117

 

【制作】 ブランディ・ワイン/ドナルド・シャセット・プロ

【配給】20世紀フォックス

【監督】リドリー・スコット

【脚本】ダン・オバノン

【原案】ダン・オバノン ロナルド・シャセット

【制作】ウォルター・ヒル ゴードン・キャロル デヴィッド・ガイラ―

【撮影】デレク・ヴァンリント

【美術】マイケル・シーモア

【衣装】ジョン・モロ

【編集】テリー・ローリングス ピーター・ウェザリー

【音楽】ジェリー・ゴールドスミス

【デザイン】HR・ギーガー

【出演】

トム・スケリット:ダラス船長

シガーニー・ウィーヴァー:リプリー

ジョン・ハート:ケイン

ヤフェット・コットー:パーカー

ハリー・ディーン・スタントン:ブレット

ヴェロニカ・カートライト:ランバート

イアン・ホルム:アッシュ