孤狼の血 | MOVIE DRIVER(元 ムービーレビューの館 vol.2.0)

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現在公開されている旬の映画を、ただ観てネタバレ含む感想を書くブログです。
3年目に突入しましたが、つたない文章、酷い言葉遣い、サボり癖が目立つので、今年は全世代の人が安心して読めるブログにします。嘘です。

 

気持ちええのぉ。よし、もう一本いくか。

 

『孤狼の血』

 

<STAFF>

監督:白石和彌

原作:柚月裕子

脚本:池上純哉

企画プロデュース:紀伊宗之

撮影:灰原隆裕

録音:浦田和治

音響効果:柴崎憲治

美術:今村力

衣装:森口誠治

装飾:京極友良

ヘアメイクデザイン:勇見勝彦

編集:加藤ひとみ

音楽:安川午朗

音楽プロデューサー:津島玄一

 

<CAST>

・役所広司(大上章吾)

・松坂桃李(日岡秀一)

・真木よう子(高木里佳子)

・滝藤賢一(嵯峨大輔)

・中村獅童(高坂隆文)

・田口トモロヲ(土井秀雄)

・ピエール瀧(瀧井銀次)

・江口洋介(一之瀬守孝)

・竹野内豊(野崎康介)

・・・etc

 

<STORY>

昭和63年、暴力団対策法成立直前の広島・呉原で地場の暴力団・尾谷組と新たに進出してきた広島の巨大組織・五十子会系の加古村組の抗争がくすぶり始める中、加古村組関連の金融会社社員が失踪する。所轄署に配属となった新人刑事・日岡秀一は、暴力団との癒着を噂されるベテラン刑事・大上章吾とともに事件の捜査にあたるが、この失踪事件を契機に尾谷組と加古村組の抗争が激化していく。(以上、映画.comより)

 

<TRAILER>

 

 

 

 

今年最初の邦画はこの作品です!!!!

白石和彌監督作品は『凶悪』、『日本で一番悪い奴ら』を観てまして、個人的には『日本で一番悪い奴ら』が結構気に入っているんですが今作はどうだったのでしょうか。

 

 

 

 

 

簡潔に言うと、傑作ではないですか?です。

 

 

 

 

 

 

 

まず始まりから超最高ですよね!!!!

昔の東映ロゴをドドーンと出してから、突然の豚小屋のシーン。

豚の糞を食べさせられてるところを眺めながら、竹野内豊が両鼻にティッシュを詰めて 「暑くて臭くて不潔じゃのぉ~。」っていう第一声を聞いてすぐに、「これ面白いやつだ」と確信しました。

 

 

 

 

 

 

今作は一昔前に確立されて神格化されたジャンル「東映やくざ映画」にあえて挑み、現代に蘇らせようという熱い魂をビンビンに感じる映画に仕上がっているように感じました。

 

その証拠として、序盤の新米刑事の日岡(松坂桃李)の初登場シーンであるかき氷のくだりからよく分かります。どのキャラクターも汗でビショビショになっているんですよ!!!!

今まで少しずつ映画を観てきたつもりですが、なかなかこれが出来ている作品が少なく、皆新品のような制服やスーツを着ているキャラを多く見受けられるんですが、今作は全くそれがなく、皆に生活感が漂っていました。

汗だけではなく、「部屋」一つとってもちゃんと生活している感じのある部屋になっていて、美術の人達の気合の入りようを伺えます。

生活感という点では、この画像のシーン。後ろの女性が警官と話しているように、主要キャラの隣で普通の人達がキチンと動いており、この作品にしっかり血が通っているのも、褒めるべきポイントです。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな今作はかなりバイオレンスなシーンが多く、ここまで全編に渡ってエグイシーンをガッツリ見せてくれる映画はないんじゃないかなぁと思います。そこがもう、最悪だけど最高なんですよ!!!

序盤の養豚場のシーンもそうですが、何と言っても中盤のヤクザのキ〇タマを取り出すくだりがあるんですが、本気で吐き気を催すくらい全部見せてくれてました。

そして終盤のエグイ遺体をガッツリ見せられてからの生首なので、この部分での物足りなさは十分すぎるほどだと思います。

 

 

そして、このような緊張感の張り詰めた空気の中で、しょうもないネタを盛り込んでくるのが白石監督らしくて好きな部分で、「びっくりどっきり〇〇〇〇〇」を劇中三回も言ってたり、序盤のパチンコ屋のシーンで「あの牛のような男・・・」のセリフの後に、デカめの牛乳飲みながらパチンコを打っているチンピラ(勝矢)が登場するくだりなど、しょうもなさすぎて笑ってしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな最高の今作は、キャストもものすごく最高で、役所広司さんや江口洋介さん、真木よう子さんなどベストキャストが勢揃いしているなか、今作のベストアクトは何と言っても松坂桃李さんです!!!

松坂桃李さん演じる日岡という刑事は、最初は大上(役所広司)のやっていることに対して一線を引いて客観的に見ながら、正義について綺麗事を言っている人物だったのが、次第に行動していくにつれて自分が「警察」という場所でどう生きていくべきかを学んでいくキャラクターであり、今作はこの日岡の成長物語といっても過言ではないわけですが、前半パートと後半パートで180度キャラが変わるこのキャラを上手く演じていました。

 

 

日岡と言う人間の人間性が崩壊してしまう瞬間のあの表情の恐ろしさも最高ながら、劇中でも述べられる「橋に乗ったら前に進むしかない」状況に陥った彼の頭の良い切り抜け方、つまり、

中盤に大上が養豚場で言っている、「ヤクザは生かさず殺さず、飼い殺しにしていく」、このセリフのように大上は現状維持の方法でしかヤクザを大人しく出来なかったのに対し、敵対する2つのヤクザを同士討ちさせてから残りを捕まえて壊滅させるという、飼いならしたところでしっかり息の根を止める作戦をやったことで、自分の生きていく方法を見つけていく。

をやってのけてからのラストの終わり方、超カッコいい・・・(`∀´)。

 

 

 

 

 

 

言いたいこともなくはないですが、ここまで魂の入っている映画を観終わったらそんなことはどうでも良くなりましたね。

味のある少し暗めのフィルム(これなんて言うんですかね)もさることながら、昭和の任侠映画は観たことないんですが、今作は傑作ではないでしょうか?と感じています。

これは一見の価値は間違いなくある一本です!!!

 

(この上司の人達のキャラも相変わらず最高でした。)

 

 

 

 

NEXT MOVIE'S HINT )

マット・デイモン見るたびに体形変わってるよね。