Like someone in Love
浜松シネマイーラで鑑賞
↓予告はこちら。この予告篇はキアロスタミ監督自身が作ったものです。
監督:アッバス・キアロスタミ
出演:奥野匡、高梨臨、加瀬亮
でんでん 他
元大学教授のタカシは、
デートクラブを介して亡き妻に似た明子を家に呼ぶ。
明子は女子大生で、家族に内緒でデートクラブでバイトしていた。
そんな翌朝、明子の様子を見に来た恋人・ノリアキは、
タカシのことを明子の祖父と勘違いしてしまい……。
『トスカーナの贋作』や『友達のうちはどこ?』
などで知られる名匠アッバス・キアロスタミ監督が
日本を舞台に描く人間ドラマ。
80代の元大学教授、
デートクラブに入り浸る女子大生、
彼女の恋人、
3人の人間関係を通して、
人のエゴや、心情のもつれを巧みに描き出す。
奥野匡が80代で初の主役に大抜擢されたほか、
加瀬亮や高梨臨らが出演している。
(ぴあ映画生活より)
この作品昨年12月20日に観ました。
21日までの上映作品でした。
上映開始されたらなるべく早く
観るようにしているのですが、
観るのが遅れてしまい、
感想もまだ書いて無かったのでした。
キアロスタミ監督の前作、
『トスカーナの贋作』も実験的な要素もある、
ちょっと風変わりで味わい深い作品でした。
トスカーナの贋作 [DVD]/ジュリエット・ビノシュ,ウィリアム・シメル
(↑シネマイーラで上映)
今回はストーリーはシンプルですが、
挑戦的、エネルギシュな作品で、
私はとても面白かったデス
この作品、興行成績良くなかったようです。
イーラでもお客さんの入りが
あまり良くなかったそうで、
私はなんでこんな面白い映画みんな観ないの!?
と思いましたョ...残念です
キアロスタミ監督は1940年生まれで72歳です。
(私の父と同年ダ。)
通訳の方以外は日本人スタッフ、キャストばかり、
という中で、
自分の撮影スタイルを貫いていたようです。
70代以上になっても精力的に仕事をしている監督は
他にもたくさんいるけど、
キアロスタミ監督の創作意欲も全く衰え知らずです。
キャストには全体の台本は渡されず、
次の日の台本だけもらえたそうです。
役作りをするというより、
役を生きる感じが欲しかったのではないでしょうか。
高梨臨はオーディションを受ける前は、
キアロスタミ監督のことを知らなかったそうです
私はこの作品を観て『10話』を思い出しましたが、
彼女は監督に『10話』を観るよう勧められたそうです。
高梨臨は昨年は『生きてるものはいないのか』でも観ました。
(シネマイーラで上映。好きな作品です。)
生きてるものはいないのか [DVD]/
染谷将太,高梨臨,田中こなつ,村上淳
『ライク・サムワン・イン・ラブ』でカンヌ映画祭にも参加。↓
恵まれた経験を生かして活躍して欲しいデス。
(加瀬亮、奥野匡、キアロスタミ監督、高梨臨)
奥野匡は、長い芸歴において初の主演作。
撮影スタイルには戸惑うこともあったとのことですが、
さすがの貫録でタカシをリアルに演じています。
加瀬亮の昨年の公開作品
『永遠の僕たち』(ガス・ヴァン・サント監督)
永遠の僕たち コレクターズ・エディション [DVD]/
ヘンリー・ホッパー,ミワ・ワシコウスカ,加瀬亮
『アウトレイジ ビヨンド』(北野武監督)
アウトレイジ ビヨンド [DVD]/
ビートたけし,西田敏行,三浦友和,加瀬亮
TVドラマ『ゴーイング マイホーム』も観たし...
でも、これが観てなかった↓
『劇場版 SPEC~天~』(堤幸彦監督 )
劇場版 SPEC~天~ スタンダード・エディション [DVD]/
戸田恵梨香,加瀬 亮,伊藤淳史
観た作品どれもとてもいい演技してましたが
この、『ライク・サムワン・イン・ラブ』の加瀬亮は、
ホントにイイですよ~絶品です
彼女を失いたくないがために、
束縛がエスカレートしていくノリアキの、
理性と狂気が入り混じった人格を、
スゴイ緊張感と迫力で見せてくれました。
[この役をやったから、
『ゴーイング マイホーム』で、
冷たくきっぱりと絶妙な塩梅で、
「オレ後悔してないから」
のセリフと演技ができたのではないかしら、
と思いました。
出番は少なかったけど、とても印象に残るシーンでした。
(宮﨑あおいの失踪した夫役。
居場所が分かり、意を決して会いに行った彼女と話すシーン)
それと、勿論『アウトレイジビヨンド』のキレっぷりも]
『ライク・サムワン・イン・ラブ』は距離感とか時間経過が
少しヘンだったり、(後半特におかしくなっていく)
高梨臨の明子が静岡県袋井市出身の設定ですが、
袋井の名物が「さくらえび」って違うョ...
など、日本人が観るとちょっとおかしいところもあります。
でも、それはこの映画が持つパワーを
感じるのを削いだりしません。
終盤、距離や時間が詰まってヘンになっていくのは、
ストーリーの急展開上、
むしろ計算してのことかなとも考えられるし。
キアロスタミ監督はカンヌ映画祭の公式記者会見で、
「私の映画は始まりがなく、終わりもない。」
と語ったそうです。
シンプルなストーリーの中に、
謎がたくさんあるし(気取った思わせぶりでなく)、
ユーモアもあって楽しい。
想像力をスゴクかき立てられるのが快感。
もう、上映時間終わっちゃうのにどういう結末なんだろ、
と、思っていたところへ、
これぞ、正真正銘「衝撃のラスト」
というべきラストシーンが...
これは観る者の解釈に対する挑戦では!?
シンプルなのに、
観てるときも、
観終わってからも、
いろいろ考えるのがとても楽しい作品でした
キアロスタミ監督のアイディアとパワーに感服です
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