ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 | おきらく映画ファンクラブ

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ストーリー・オブ・マイライフ 

わたしの若草物語

(2019・米・135分)

監督:グレタ・ガーウィグ

出演:シアーシャ・ローナン、ティモシーシャラメ

   エマ・ワトソン、ローラ・ダーン他

 

全世界少女の青春のバイブル

「若草物語」

作者オルコットの自伝的小説とも

言われていますが

原作は「赤毛のアン」同様

続編も作られていて

さながら朝ドラのような

ヒロインの人生が描かれます。

 

この映画では原作のテイストを残しつつ

新しい解釈も加えて現在版の

若草物語として描いています。

 

主人公で小説家志望のジョーを

シアーシャ・ローナンが

みずみずしく、しなやかに演じています。

隣家の幼馴染、ジョーに恋する

ローリー(テディ)を

ティモシー・シャラメが

色っぽく繊細に演じています。

なんて美しいラブ

賢明で慈悲深い母親を

ローラ・ダーンが

現実的で皮肉屋の叔母を

メリル・ストリープが演じています。

この2大女優が出演しているだけで

映画のグレードが上がり

時代のエレガントな雰囲気と

役柄のリアリティを感じさせます。

しっかり者の長女メグを

美女と野球のエマ・ワトソンが

可憐に演じています。

主人公ではないにしても

醸し出される存在感が凄い。

家族のために生きることを優先し

最も母親の影響を受けている

三女べス。

頑固で嫉妬深くもローリーを

一途に慕う末っ子のエイミー。

 

とにかくキャスト全員が素晴らしかったです。

女性の自立、野望を全面に出して

生きるジョーがベスの死によって

家族や青春の喪失に「愛する」より

「愛されること」に妥協しようとした際の

母親の「それは愛ではないわ」という

セリフが個人的に刺さりました。

 

女は男から愛された方が幸せでしょうが

生涯を共にする伴侶を選ぶに際しては

メグにしてもエイミーにしても

自らの選択が「愛」であることが必要でした。

 

ジョーが家族を喪失した寂しさから

迷い、戸惑い、失恋も経験し

自分を見つめて初めて気づく「愛」

 

ティモシー・シャラメ演ずるローリーの

ジョーへのプロポーズのシーンが秀逸です。

あんなに憂いた瞳で溢れる想いを

ストレートに告白されたら・・・

2人が惹かれあうキッカケとなった

パーティーでのダンスシーンも素敵。

若いっていいわラブ

そりゃ一瞬で恋に落ちるわラブ

で、ローリーのどこがアカンの?

何が気に食わんの?

赤毛のアンのアンは

幼馴染ギルバートと

結婚して子供もできたで。

自由で活発なあんたら

お似合いやないの?

いつしか一人のオバハンに戻って

スクリーンに暴言吐きたくなりました爆  笑

 

上映時間135分の長尺ながら

時間を感じさせず一気に物語の世界に

引きずり込んだ監督の手腕は見事。

やはり女性心理をよくわかっている。

セリフがとても優しい。

喜びも悲しみも、この2時間ちょっとで

味わえる映画の醍醐味。

なにか五木寛之さんに「大河の一滴」を

読んだ後のような納得感も感じました。

久々に映画らしい映画を観たな~

という充足感とラストの爽快感。

人生いろいろあるけど

皆そうやって

出会いも別れも受け入れてゆく。

ラストシーンの大団円が

この上ない幸せに包まれていて

映画を観ているだけで

こちらも明るい気分になります。

 

これは世の女性たちに

是非、観てもらいたい映画です。

妻になることも母になることも

職業をもって自立することも

時代のせいではなく

自ら選び取っていった

彼女たちの生き方は

まるで日本の芯の強い

明治女の一代記のようでした。

日本の女性やアメリカの女性も一緒。

男女差別や男優位の社会の中でも

しっかり「愛を貫いてきた」

自信と勇気をもらえる映画です。