ヴィクトリア女王 最期の秘密 | おきらく映画ファンクラブ

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ヴィクトリア女王 最期の秘密(2017・英米・112分)

監督:スティーブン・フリアーズ

主演:ジュディ・デンチ、アリ・ファザル

 

1887年、ヴィクトリア女王の

在位50周年記念式典に

インドから記念硬貨の贈呈役として

渡英したアブドゥル。

物おじせず女王に接するアブドゥルに

女王も心を開き、やがて2人の絆は

王室を脅かすまでに強くなっていく。

 

2010年にアブドゥルの日記が

見つかり映画化された

ほぼ事実の作品です。

 

私も女王の孤独が実感として

分かる年齢になりました。

愛する伴侶、信頼する従僕に先立たれ

9人いた子供もそれぞれ他国の王室に

婿入りや嫁入りし、独り身を持て余し

さぞや寂しい晩年だったと思われます。

 

この映画を観るにあたって

多少の知識というか知っておいた方が

理解しやすいトリビアを紹介します。

 

主人公ヴィクトリア女王の在位期間は

1819年から1901年と英国最長です。

この女王の在位時代を

俗にヴィクトリア朝と言います。

ヴィクトリア朝は植民地も拡大し

また大博覧会が開催されたり

テニス、フットボールといったスポーツが

生まれるなど娯楽も発達しました。

 

急速に親しくなる女王とアブドゥルに

差別やねたみ嫉みであからさまに

嫌な態度をとる使用人たち。

この王室の使用人にも厳しい

上下関係があります。

そして女王の使用人には

起床係、着替え係など

映画で見る限りでも

起床後一斉に10人以上の

使用人が女王の部屋に入ります。

あれじゃプライバシーも

何もあったもんじゃありません。

権力はあっても信頼できる家族も

友達もいない寂しさをジュディ・デンチは

これ以外ないというくらいの演技で

女王の孤独を私たち観客に示します。

すっぴんの凄みですかね。

その存在感に圧倒されます。

 

野心に純粋、長身で男前の

アブドゥル役はインド映画の名作

「きっとうまくいく」にも出演していた

アリ・ファザルさんです。

結構、カッコイイんですよ。

イケメン好きには、たまらん俳優さんです。

 

アブドゥルは妻帯者で女王は

インドからアブドゥルの家族を呼び寄せます。

そして、アブドゥル夫妻に子供がいないのを

いぶかり医師に診察させたところ

アブドゥルにある病気(性病)が判明します。

それは皆さん後でご自身で調べてくださいね。

その病気では子供ができにくいというのは

私も知りませんでした。

今では治療法もあるのでしょうが

当時ではエイズと同じ意味を持つ

病だったのではないかと思われます。

 

この2人の絆を

恋愛というのか

師弟愛というのか

親子のような情というのか

映画を観ただけでは

わかりにくかったですね。

年齢を重ねても女ですから

多少のトキメキはあったと思うのですよ。

でもあまりにも息子の皇太子より

若いのですから

恋人とは違うようにも思います。

 

映画の中でアブドゥルに対し

「褐色のジョン・ブラウンだよ」

という使用人のセリフがあります。

ヴィクトリア女王の

最愛の夫の死後、愛人執事と言われた

ジョン・ブラウンという執事がいました。

彼と女王の逸話は1997年の映画

「Queen Victria 至上の恋」で描かれています。

ちなみにこの映画で主人公ヴィクトリアを

演じているのは今回の映画でもヴィクトリアを

演じているジュデイ・デンチさんです。

ぜひこの作品もご覧になってくださいね。

 

アブドゥルはイスラム教徒です。

その設定が史実だとしても

現在の英国民はどう受け止めるでしょうか?

 

これから英王室を舞台にした映画公開が続きます。

2/16「女王陛下のお気に入り」

3/15「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」

これを機会に私ももっと英国の歴史を

勉強しようかなと思いました。

そして、再度

英国の名作映画を観直してみたいですね。