『95』 第9話について後編
学校の廊下の壁に沢山のセイラの写真が貼られています。
マルコとドヨンが全部集めて翔に渡しました。
秋久は、俺のせいだと言って牧野と会ったことを話そうとしましたが、翔は話を聞こうとせず元気なく無言で立ち去りました。
鈴木家では、翔の母・玲子とセイラが話していて、テーブルの上には学校で回収したセイラの写真があります。
玲子はセイラの診断の結果を尋ねるとセイラは多分6週目だと答えました。
翔は、自分とセイラの問題だと言って玲子が介入することを拒み、春には家を出ていくと言いましたが、玲子は、鈴木家の問題だと言い、セイラは学校はやめると答えました。
翔が一緒に病院へ行こうと言うと、既に堕胎したことを玲子がセイラに代わって話しました。
セイラは無表情でしたが、翔は、言葉がありませんでした。
そこへ、執事の倉科がチームの4人を案内してきました。
セイラは、どんなことにも耐えてこられたのは皆さんのお蔭なのにこんなことになってしまってといい、街を離れると告げ、玲子にもお世話になったとお礼を言いました。
取り乱して暴れる翔を、仲間の4人が抑え込みました。
翔のやり場のない気持ちも分かります。いつも冷静に行動する翔なのに、今回は予想外のことが起きてしまって、混乱していると思います。
家を出て、仕事に就くことが初めにやるべきだったことは分かっていた筈なのに。セイラの妊娠は予期していなかったのでしょう。
いつもはセイラの事を気に掛けていた玲子でしたが、今回の事は許せなかったようです。
セイラにこの家の敷居を跨がせることはない、鈴子の姓を名乗らせることもないと告げると、セイラもそのつもりはないと答えました。
翔とセイラが普通に付き合っていたら、いずれ、玲子は二人が結婚することを喜んで認めたのではないかと思います。
玲子はセイラに、自由に好きなように生きなさい。過去も、周りの顔色も一切気にせずに図太く、自分の為だけに生きなさいと言い聞かせました。
玲子はどんな気持ちで言ったのかわかりません。冷たい表情ではありませんが、厳しい表情で見つめました。
広重は、今ならわかると言って、話しました。
玲子とセイラが共犯で、これから生まれてくる子のために、生涯会うことのない孫の為に、二人の母親が結託して作り出した命を守るための言動だったのでした。
セイラは翔に、ありがとう、幸せだったと声を掛けて立ち去りました。みんなは無言で見送りました。
萌香がセイラは何故体を売る必要があったのかと問いかけると、広重は、あくまでも憶測だと言って話しました。
秋久はドヨンと二人で歩きながら、セイラは何故、援助交際などしたのだろうと呟くと、
ドヨンは、セイラが生きるために、必死に心を殺してやってきたことだと言うと、
秋久は、セイラの父親が死んだときに保険金が入ったと言うと、ドヨンは、それは噓だと言いました。
生活が苦しかった母親が生命保険を解約していたと言い、セイラにはまとまった金はなかったのが真実だと話しました。
セイラは翔にはそのことを知られたくなかったのだろうと推察しました。
セイラは中学生の時、スカウトマンだった牧野に出会ったが、皮肉なことに、その日は、翔の家を訪ねるために、渋谷に出てきたのでした。
セイラの母親が鈴木家から借金をしようとしたが、翔の母親は一銭も貸さなかったので、牧野にあっていなかったら、自分達は、死ぬしかなかったと言っていたそうです。
牧野は月に十数万の金をセイラに与え続け、セイラはその金で渋谷に戻ることだけを思い続けていたのでした。翔のいる場所に戻りたかったのでした。
セイラの母親の事を取り上げているシーンがないので、どんな人なのかわかりませんが、セイラが援助交際をしていたことがわからないはずはないと思います。
中学生が十数万の金を稼げるようなバイトなんて考えられないと思います。自分の娘を守る気はなかったのでしょうか?信じられません。
チーム5人と新城は屋上に集まっていました。秋久は、セイラは年内はこっちにいるんだろうと問いかけるとレオがそう聞いていると答えました。
セイラに花火を見ろとメッセージを送っていいかと翔に尋ねましたが、翔は答えませんでした。
広重は、その屋上に萌香を案内し、此処から皆で花火を見るはずだったと説明しました。
秋久は、母に向かって、地下鉄サリン事件があった3月20日以来違う世界にいるみたいだと伝え、
世界は一度終わればいいと思っていたが今は生まれて初めて生きているんだと実感したことも伝えました。
だから、もう少しこの世界を味合わせてくださいと頼みました。
母は、大人だって明日を楽しみにしている人は沢山いるのだと言って微笑み、友達によろしくと言って送り出してくれました。
母・悦子は自分の理想を押し付けるのではなく秋久を理解して意志を尊重してくれるようになったのだと思います。
翔が自分の担当場所に向おうとすると、秋久は、セイラと話したかと尋ね、引き止められないのかと問いかけていると携帯電話があり、命にかかわることだと言って呼び出されました。心配した翔も一緒に外に出ました。
コギャル・恵理子と新城は花火の打ち上げ準備をしています。
秋久と翔が目的地に着きましたが戸が閉まっていたので、秋久が電話をしてみましたが出ません。
翔は、セイラは年が明けたら母親を連れて出ていくと言っていたと伝え、本当に俺は何も出来ねえなあと卑下しましたが、秋久は、翔はちゃんとできている。
皆を集めたのも、俺を変えてくれたのも翔だと言って、励まして、いつかセイラに会いに行こう、もしもその時俺たちがどこかで別々に暮らしていても、今度は俺が集めると約束しました。
そして、みんなでセイラに会いに行こう、カッコイイ大人になったことを証明しに行くのだと言ったのでした。
翔は、お前本当にQちゃん?と言って、秋久の顔を覗き込み俺が見込んだ以上の男だ、嫉妬すると言って笑い、一緒にいてくれてありがとうと言いました。
秋久は、翔も感じているように本当に逞しくなったと思います。
しっかり成長していると感じます。
そこへ、Qの後輩・栗田健吾が姿を現し、Qにだけは助かってほしいと思って呼び出したのだと言って、翔に対しては、Qと一緒に来たことが不満のようでした。
Qの携帯電話にドヨンから緊急連絡があり、そのとき、栗田が翔にナイフで切りつけ、翔は襲撃されるはずだったのに、Qについてきたことが許せなかったのです。
栗田は翔が殴りつける前にQが殴り倒しました。そして、あいつらが危ないと言って二人で駆け付けると、マルコ、レオ、ドヨンが襲撃されていました。
牧野が言っていた、仲間は俺が綺麗に始末してやると言っていたのが、こういうことだったのでした。
でもそれは、花火の打ち上げが失敗して、Qが牧野との勝負に負けた場合の事だったはずです。牧野はやっぱり、約束を守らない汚い男だと思いました。
翔が携帯電話をしましたがドヨンの電話に出たのは違う男でした。
襲撃現場に着いたQと翔は男たちと乱闘になり、建物の中で目にしたのは大勢の男たちと、縛られているマルコ、レオ、ドヨンの姿でした。
暴力団・キューテイハニーの男が啖呵を切ろうとしたときに夜空に花火が上がりました。
花火があがると同時にQと翔が男たちに殴りかかり、縛られていたマルコ、レオ、ドヨンのロープを解き、5人で戦いました。
花火を打ち上げることが出来なかったら、Qは牧野のものになる約束でしたが、さすがはクズの牧野です。
約束は無視しました。
チームの5人は思い切り戦いました。
新城は最後にみんなで見るはずだった花火を上げてしまって、頭を抱えていました。
皆で一緒に見ることはできなかったのです。