映画:9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~ あらすじ
※レビュー部分はネタバレあり
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.14jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/9d/19/j/o0308023110818304972.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.17jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/08/24/j/o0256019210818304973.jpg?caw=800)
![9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~,4.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/77/14/j/o0256019210818304974.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.15jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/9f/ad/j/o0278020810818304976.jpg?caw=800)
人間と機械が争った後に訪れた荒廃した世界。人間は滅び、機械が支配している。そんなある日、人形の9〈ナイン〉が目を覚ました。しかし、彼の周りには誰もおらず、彼は仲間を探しに外に出ることにする。
そこでナインは彼と同じ、人形の"2"に出会う。話すことができなくなっていた9〈ナイン〉は2に故障を直してもらい、話せるようにしてもらった。しかし、その直後に2はマシンにさらわれてしまった。9〈ナイン〉は他の仲間たち―1,5,7,8らに出会い、2を助けに行こうとするが…。
アカデミー賞短編アニメ部門にノミネートされた約11分の短編アニメ『9〈ナイン〉』を気に入ったティム・バートン監督が長編映画として生まれ変わらせた。人間がいなくなった後の荒廃した社会を背景にしたシュールでダークな世界観が魅力。麻袋でできた人形の9〈ナイン〉が経験する異色の冒険ファンタジーだ。イライジャ・ウッド、ジェニファー・コネリーなど、豪華な声優陣にも注目したい。
【映画データ】
9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~
2009年(日本公開2010年)・アメリカ
監督 シェーン・アッカー
出演 イライジャ・ウッド,ジェニファー・コネリー,ジョン・C・ライリー,クリストファー・プラマー
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.10jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/2c/83/j/o0256019210818304977.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.2jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/0a/a7/j/o0312023410818304978.jpg?caw=800)
映画:9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~ 解説とレビュー
※以下、ネタバレあり
★ルールを守れ!
良くも悪くも、人間にそっくりな人形たち。勇敢でもあり、優しくもあり、親切でもあります。その一方で、ずるくて、卑怯で、自分本位なところがありました。人間がいなくなった世界で、人形たちはしっかり"人間らしさ"を受け継いでいます。
この世界では凶暴な機械獣が常に人形たちの生命を脅かしています。マシンにすっかり怯えきった人形たちは死の恐怖と隣り合わせに生きていました。その恐怖は彼らに一つのルールを生みださせます。少なくとも、この"ルール"に従ってさえいれば、安全に暮らせるはず。1を始めとした人形たちはこのルールをかたくなに守り抜くことで、襲い来る恐怖感を和らげようとしていました。
1たちは"ルール"に縛られ、"ルール"から外れることはしません。なぜ、そのルールがあるのでしょうか。そして、そのルールは本当に必要なのでしょうか。1たちの頭にはこんな疑問は浮かんできません。
ルールは1たちの生きるよすがでした。今までかたくなに守ってきた"ルール"の存在意義を疑わせるような疑問は存在してはならないのです。そのルールが実は意味のないものだったり、間違ったものだと分かってしまったら、ルールを変えなくてはならないかもしれないし、ルール自体がなくなってしまうかもしれません。
ルールを変えたり、ルールを失くしてしまったら、機械獣に襲われ、命を落とすかもしれません。それなら、少々、窮屈なルールであっても、我慢した方がいい。
そこで、彼らは全く何も考えず、ルールを守り、ルールに沿って機械獣から隠れるようにして暮らしてきました。いわば、安全に、危険を避けて生きることが至上命題だったのです。
このルールから外れる者は少なからずいました。2のように。2の趣味は「現世の遺物」のコレクション。彼は遺物収集のために、機械獣のうろつきまわる外の世界を出歩いていました。2が機械獣にさらわれたとしても、それは2のせい。ルールを破った2が悪い。
ルールはうまく機能していたのです。ルールがあるおかげで、命をかけて2を助けに行かなくても済むのです。自らの正義感に素直に従うならば、2を助けに行こうとなるはずです。そこで、助けにいかないとなれば、何らかのいい訳を考えなければならなくなるでしょう。しかし、ルールがあれば簡単です。堂々と、2を見捨てることができることができるのです。
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.12jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/f1/32/j/o0256019210818304980.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.13jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/39/87/j/o0256019210818304981.jpg?caw=800)
★盲目的服従
9〈ナイン〉は問います。「なぜ1の言うことに従う?」5の答えはこうでした。「リーダーだから」。人形たちは何も考えていません。リーダーだから従う、ルールだから従う。
ルールの機能は、ルールの範囲内ならしてもいい、ルールの外ならしてはいけない、と明確に分けるということにあります。つまり、ルールに従おうとする人間はルールのこと以外、何も考えなくても済む、ということでもあります。これはすなわち、脳が思考停止にある、ということです。何があっても、ルールを言い訳にできるからです。
この人形たちの奇妙な思考停止状況は人間たちにも存在していました。人形を作った博士は"人工知能"の研究に没頭し、それが結果として人間を破滅に導きました。博士の研究は国家的なプロジェクトとして賞賛され、期待されていたものでした。
この研究は"合法"でした。"ルール"に沿ったものだったのです。しかし、倫理的にはどうだったのでしょうか。博士は人工知能がこの世に誕生することによる弊害に何も気が付かなかったのでしょうか。あるいは、薄々気が付きつつも、考えないことにしていたのでしょうか。
いずれにしろ、博士は国家と世間の支持を得ている研究を自ら中止するという決断をすることはなかったのです。むしろ、国家の保護と世間の称賛を言い訳に、人工知能の研究を継続していました。
一方、政府の方も、酷い思考停止状態に追い込まれていました。彼らは人工知能が暴走し始めた際に、人工知能を開発した博士を訴えたのです。"違法"な研究を行ったというかどで。政府も法律に従っていました。博士が違法行為をしたというわけです。人間が滅ぶかどうかの瀬戸際に、訴訟をしている場合ではありません。
しかし、政府は博士が法律に違反していたから訴えました。それが"ルール"だから従ったのです。なぜ、ルールに従うのか。この問いが投げかけられることはなく、人工知能の暴走はもはや人間の手に負えないものになっていきました。
![9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~,8.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/3a/b1/j/o0247018510818304982.jpg?caw=800)
![9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~,5.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/fa/62/j/o0256019210818304983.jpg?caw=800)
★仲間だから、助ける
機械獣に攻撃したものの、逆に反撃された7を見て、1は吐き捨てます。「英雄の最後はあれだ。安全な場所を探そう」。1にとって、大事なのは命。そして、命を守ってくれるはずのルール。
ルールに従うのは実に簡単でした。隠れ家にただじっと隠れ住み、外出しないこと。それさえ、守っていれば、命を長らえることができました。しかし、9〈ナイン〉にとっては違います。彼にとって大事なのは、仲間。そのためには、自分の命を危険にさらしても仲間を助けに行くことを選ぶのです。
機械獣と人間の違いはなんでしょうか。マシンは破壊されたらそれで終わり。"人工知能"は破壊されたマシン以上に強いマシンを作ろうとするだけです。破壊されたマシンに対して、哀惜の念を抱くことはありません。人間は違います。仲間という連帯意識、仲間に対する愛情は人間にしかないものです。そして、ナインの世界では、人間の意識を受け継いだ人形にしかない感覚です。
自分の命が一番の1だって、本当は、仲間に対する愛情がありました。けれど、機械獣に対する恐怖心から、安全を最優先してしまいます。ルールはその言い訳でした。1の本心に「仲間を助けたい」という気持ちがなかったら、1は機械との最後の戦いで皆についてこなかったでしょう。1人、どこか安全な場所に逃げて隠れていることもできたのに、彼はそうしませんでした。
結果、1は命を落とします。1だけでなく、2も6も8も、多くの仲間が命を失いました。しかし、人間は殺されたら終わりではありません。死んだ彼らの生き方は記憶となって残った者の心に残ります。
9〈ナイン〉を作った博士は言います。「私たちの世界は終わろうとしている。しかし、命は続いていく」。"命が続く"とは死んだ者の記憶を引き継ぎ、今を生きる者がそれを糧として新たな生を紡ぐこと。過去の記憶は今を生きる者の土台を作っています。
たとえ、自らの命を失ったとしても、人として誇るべき生き方をしたならば、彼の人生は後に続く者の過去の記憶の一部となり、彼の人生は他の者の人生に引き継がれていくのです。命を落とした1も、2も、5も、6も、自らに誇れる人生を生きました。彼らは皆、残された9や7の人生の一部になっていきます。
「僕たちがこれからの世界を作るんだ」という9〈ナイン〉。ナインの中では、テクノロジーの追求と人工知能の開発に成功し、そして機械に敗れた人間たちの記憶と、命を落とした仲間たちの心が確かに生きています。人間は、死んだら終わり、ではないのです。
![9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~,7.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/80/65/j/o0259019510818304984.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.18jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/15/55/j/o0256019210818304986.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.16jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/20/de/j/o0308023110818304987.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/f1/a6/j/o0256019210818304989.jpg?caw=800)
※レビュー部分はネタバレあり
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.14jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/9d/19/j/o0308023110818304972.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.17jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/08/24/j/o0256019210818304973.jpg?caw=800)
![9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~,4.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/77/14/j/o0256019210818304974.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.15jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/9f/ad/j/o0278020810818304976.jpg?caw=800)
人間と機械が争った後に訪れた荒廃した世界。人間は滅び、機械が支配している。そんなある日、人形の9〈ナイン〉が目を覚ました。しかし、彼の周りには誰もおらず、彼は仲間を探しに外に出ることにする。
そこでナインは彼と同じ、人形の"2"に出会う。話すことができなくなっていた9〈ナイン〉は2に故障を直してもらい、話せるようにしてもらった。しかし、その直後に2はマシンにさらわれてしまった。9〈ナイン〉は他の仲間たち―1,5,7,8らに出会い、2を助けに行こうとするが…。
アカデミー賞短編アニメ部門にノミネートされた約11分の短編アニメ『9〈ナイン〉』を気に入ったティム・バートン監督が長編映画として生まれ変わらせた。人間がいなくなった後の荒廃した社会を背景にしたシュールでダークな世界観が魅力。麻袋でできた人形の9〈ナイン〉が経験する異色の冒険ファンタジーだ。イライジャ・ウッド、ジェニファー・コネリーなど、豪華な声優陣にも注目したい。
【映画データ】
9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~
2009年(日本公開2010年)・アメリカ
監督 シェーン・アッカー
出演 イライジャ・ウッド,ジェニファー・コネリー,ジョン・C・ライリー,クリストファー・プラマー
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.10jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/2c/83/j/o0256019210818304977.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.2jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/0a/a7/j/o0312023410818304978.jpg?caw=800)
映画:9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~ 解説とレビュー
※以下、ネタバレあり
★ルールを守れ!
良くも悪くも、人間にそっくりな人形たち。勇敢でもあり、優しくもあり、親切でもあります。その一方で、ずるくて、卑怯で、自分本位なところがありました。人間がいなくなった世界で、人形たちはしっかり"人間らしさ"を受け継いでいます。
この世界では凶暴な機械獣が常に人形たちの生命を脅かしています。マシンにすっかり怯えきった人形たちは死の恐怖と隣り合わせに生きていました。その恐怖は彼らに一つのルールを生みださせます。少なくとも、この"ルール"に従ってさえいれば、安全に暮らせるはず。1を始めとした人形たちはこのルールをかたくなに守り抜くことで、襲い来る恐怖感を和らげようとしていました。
1たちは"ルール"に縛られ、"ルール"から外れることはしません。なぜ、そのルールがあるのでしょうか。そして、そのルールは本当に必要なのでしょうか。1たちの頭にはこんな疑問は浮かんできません。
ルールは1たちの生きるよすがでした。今までかたくなに守ってきた"ルール"の存在意義を疑わせるような疑問は存在してはならないのです。そのルールが実は意味のないものだったり、間違ったものだと分かってしまったら、ルールを変えなくてはならないかもしれないし、ルール自体がなくなってしまうかもしれません。
ルールを変えたり、ルールを失くしてしまったら、機械獣に襲われ、命を落とすかもしれません。それなら、少々、窮屈なルールであっても、我慢した方がいい。
そこで、彼らは全く何も考えず、ルールを守り、ルールに沿って機械獣から隠れるようにして暮らしてきました。いわば、安全に、危険を避けて生きることが至上命題だったのです。
このルールから外れる者は少なからずいました。2のように。2の趣味は「現世の遺物」のコレクション。彼は遺物収集のために、機械獣のうろつきまわる外の世界を出歩いていました。2が機械獣にさらわれたとしても、それは2のせい。ルールを破った2が悪い。
ルールはうまく機能していたのです。ルールがあるおかげで、命をかけて2を助けに行かなくても済むのです。自らの正義感に素直に従うならば、2を助けに行こうとなるはずです。そこで、助けにいかないとなれば、何らかのいい訳を考えなければならなくなるでしょう。しかし、ルールがあれば簡単です。堂々と、2を見捨てることができることができるのです。
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.12jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/f1/32/j/o0256019210818304980.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.13jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/39/87/j/o0256019210818304981.jpg?caw=800)
★盲目的服従
9〈ナイン〉は問います。「なぜ1の言うことに従う?」5の答えはこうでした。「リーダーだから」。人形たちは何も考えていません。リーダーだから従う、ルールだから従う。
ルールの機能は、ルールの範囲内ならしてもいい、ルールの外ならしてはいけない、と明確に分けるということにあります。つまり、ルールに従おうとする人間はルールのこと以外、何も考えなくても済む、ということでもあります。これはすなわち、脳が思考停止にある、ということです。何があっても、ルールを言い訳にできるからです。
この人形たちの奇妙な思考停止状況は人間たちにも存在していました。人形を作った博士は"人工知能"の研究に没頭し、それが結果として人間を破滅に導きました。博士の研究は国家的なプロジェクトとして賞賛され、期待されていたものでした。
この研究は"合法"でした。"ルール"に沿ったものだったのです。しかし、倫理的にはどうだったのでしょうか。博士は人工知能がこの世に誕生することによる弊害に何も気が付かなかったのでしょうか。あるいは、薄々気が付きつつも、考えないことにしていたのでしょうか。
いずれにしろ、博士は国家と世間の支持を得ている研究を自ら中止するという決断をすることはなかったのです。むしろ、国家の保護と世間の称賛を言い訳に、人工知能の研究を継続していました。
一方、政府の方も、酷い思考停止状態に追い込まれていました。彼らは人工知能が暴走し始めた際に、人工知能を開発した博士を訴えたのです。"違法"な研究を行ったというかどで。政府も法律に従っていました。博士が違法行為をしたというわけです。人間が滅ぶかどうかの瀬戸際に、訴訟をしている場合ではありません。
しかし、政府は博士が法律に違反していたから訴えました。それが"ルール"だから従ったのです。なぜ、ルールに従うのか。この問いが投げかけられることはなく、人工知能の暴走はもはや人間の手に負えないものになっていきました。
![9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~,8.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/3a/b1/j/o0247018510818304982.jpg?caw=800)
![9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~,5.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/fa/62/j/o0256019210818304983.jpg?caw=800)
★仲間だから、助ける
機械獣に攻撃したものの、逆に反撃された7を見て、1は吐き捨てます。「英雄の最後はあれだ。安全な場所を探そう」。1にとって、大事なのは命。そして、命を守ってくれるはずのルール。
ルールに従うのは実に簡単でした。隠れ家にただじっと隠れ住み、外出しないこと。それさえ、守っていれば、命を長らえることができました。しかし、9〈ナイン〉にとっては違います。彼にとって大事なのは、仲間。そのためには、自分の命を危険にさらしても仲間を助けに行くことを選ぶのです。
機械獣と人間の違いはなんでしょうか。マシンは破壊されたらそれで終わり。"人工知能"は破壊されたマシン以上に強いマシンを作ろうとするだけです。破壊されたマシンに対して、哀惜の念を抱くことはありません。人間は違います。仲間という連帯意識、仲間に対する愛情は人間にしかないものです。そして、ナインの世界では、人間の意識を受け継いだ人形にしかない感覚です。
自分の命が一番の1だって、本当は、仲間に対する愛情がありました。けれど、機械獣に対する恐怖心から、安全を最優先してしまいます。ルールはその言い訳でした。1の本心に「仲間を助けたい」という気持ちがなかったら、1は機械との最後の戦いで皆についてこなかったでしょう。1人、どこか安全な場所に逃げて隠れていることもできたのに、彼はそうしませんでした。
結果、1は命を落とします。1だけでなく、2も6も8も、多くの仲間が命を失いました。しかし、人間は殺されたら終わりではありません。死んだ彼らの生き方は記憶となって残った者の心に残ります。
9〈ナイン〉を作った博士は言います。「私たちの世界は終わろうとしている。しかし、命は続いていく」。"命が続く"とは死んだ者の記憶を引き継ぎ、今を生きる者がそれを糧として新たな生を紡ぐこと。過去の記憶は今を生きる者の土台を作っています。
たとえ、自らの命を失ったとしても、人として誇るべき生き方をしたならば、彼の人生は後に続く者の過去の記憶の一部となり、彼の人生は他の者の人生に引き継がれていくのです。命を落とした1も、2も、5も、6も、自らに誇れる人生を生きました。彼らは皆、残された9や7の人生の一部になっていきます。
「僕たちがこれからの世界を作るんだ」という9〈ナイン〉。ナインの中では、テクノロジーの追求と人工知能の開発に成功し、そして機械に敗れた人間たちの記憶と、命を落とした仲間たちの心が確かに生きています。人間は、死んだら終わり、ではないのです。
![9〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~,7.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/80/65/j/o0259019510818304984.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.18jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/15/55/j/o0256019210818304986.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.16jpg.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/20/de/j/o0308023110818304987.jpg?caw=800)
![9〈ナイン)~9番目の奇妙な人形~.jpg](https://stat.ameba.jp/user_images/20101024/07/eiga-kaisetu-hihyou/f1/a6/j/o0256019210818304989.jpg?caw=800)
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