映画:ドリーム・ガールズ あらすじ
※レビュー部分はネタバレあり
ショービジネスの華やかな世界。
スターになることを夢見た3人の女性が駆け上がった成功への階段はドリーム・ガールズの名にふさわしい華々しさだった。
そして、その裏側にあるきれいごとだけでは済まない世界。
ドリームガールズに夢を見、理想を託した3人。成功した者とドリーム・ガールズの夢に破れた者。
ドリーム・ガールズを取り巻く栄光と挫折を描く。
大ヒットブロードウェイミュージカルの映画化。ビヨンセ・ノウルズが主演を務めたことでも話題になった。
1960年代のデトロイト。
ディーナ・エフィ、ローレルの仲良し3人組で結成した「ドリーメッツ」。
町のライブハウスの出演をかけてオーディションに臨む。
その三人に目を留めたのが、中古車ディーラーの傍らプロデュース業をしていたカーティス・テイラー・ジュニアだった。
彼は当時大ヒットしていたジミー・「サンダ―」・アーリーのバックコーラスとして彼女たちを雇うことにする。
仕事をもらい、大喜びする3人。
彼女たちはバックコーラスとしてジミーのツアーに参加し、ショービジネス界で次第に注目されるようになっていく。
ドリーム・ガールズの成功への道はここから始まったのだ。
【映画データ】
ドリーム・ガールズ
2006年・アメリカ
監督 ビル・コンドン
出演 ジェレミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディー・マーフィー、ジェニファー・ハドソン
トニー賞6部門受賞
ゴールデン・グローブ賞作品賞受賞
アカデミー賞6部門受賞
映画:ドリーム・ガールズ 解説とレビュー
※以下、ネタバレあり
i-Podに必ず何曲も入れて持ち歩くらい好きなビヨンセ・ノウルズ。もちろん、デスティニーズ・チャイルド時代からのファン。
そのビヨンセ・ノウルズが主演を務めるということで、どんなものかと思いながら鑑賞したドリーム・ガールズ。
ところが思わぬどんでん返しが。それは、ジェニファー・ハドソンのビヨンセをしのぐ歌唱力でした。
ジェニファー・ハドソンの声域の広さを窺わせる豊かな歌声は、圧倒的な声量とともに、観る者の心を動かす力強さを持っています。
一見、ビヨンセが割を食ったように見える本作。
実は、人物設定に沿った配役になっています。
ビヨンセ演じるディーナは、自分の美貌が秀でていることを知っていますが、歌唱力ではジェニファー演じるエフィーに劣ることを自覚しています。
そして、ショービジネスの世界で成功するには実力のあるプロデューサーが必要で、そのプロデュース力に頼ることが必要だと割り切っている女性です。
そこで、実際にも歌唱力でビヨンセに勝るジェニファーをエフィー役に抜擢するというキャスティングがあらかじめされているのです。
ビヨンセ自身は、声を抑えたとインタビューで言っているので、わざと歌唱力が劣るように演じたのかもしれませんが。
なので、割を食ったという表現は、実のところ正確ではなくて、ビヨンセが割を食うのは設定上必然的で想定内でしょう。
ビル・コンドン監督はビヨンセに遠慮していませんね。
現実の世界でも、プロデュース力の弱いレーベルに所属している歌手はやはり売り込みに苦慮するのでしょう。
ショービジネスの世界は歌唱力のコンテストではないのですから、歌のうまさで全米チャートが付くわけではありません。
単純に実力では売れない世界。
その仕組みを知りつくし、うまく自分をその歯車に乗せることに成功した器用なディーナ。
実力だけではだめなことを頭では理解していながらわが道を行くことを選んだエフィー。
理想と現実。このギャップに苦しむことは誰しも経験があるでしょう。
多くの人は現実を選びます。それが常識的な選択だし、世の中で生きていくための手段。その選択を恥じる必要はないでしょう。
それでも、長い間、その選択をし続けていくうちにいつの間にか人は理想を見なくなります。
目の前にあるのは現実だけ。
もしくは現実的だと自分が考えた選択肢だけになっていきます。
なぜ、理想を見なくなるのか。それは現実の自分と理想の自分のギャップに敗れることを想像して、それがつらくなるから。
エフィーは一人立つことを選びます。ドリーム・ガールズを抜け、ソロで歌っていくという道を。
もちろん、エフィーも迷わなかったわけではありませんでした。
お酒に溺れ、荒れた末に出した結論。戻ろうとした先の古巣にはすでに新しいメンバーがいました。
ドリーム・ガールズに戻れず、プロデューサーも失った今、エフィーは歌を辞めることもできました。
これから、一人で生きていくにはあまりにも障害が大きすぎます。
日々の生活、ゼロから働き始めなければならない現実。
そこで出したエフィーの選択は歌を歌い続けること。
自分ひとりで実力勝負をして見せる。
エフィーは自分の夢を終わらせないことを選びました。
事実、エフィーのモデルになったフローレンス・バラードは所属グループ脱退後に音楽界に復帰しています。
しかし、残念ながら彼女はアルコール依存により、若くして亡くなりました。
けれど、自分の歌のため、その道がたとえいばらの道であっても、歩むことを決意したエフィーの選択はその歌とともにドリーム・ガールズを観る者に夢をくれるものでした。
自分勝手で、自己主張が強すぎてドリーム・ガールズの結束を乱すこともあったエフィー。
そんな短所もあるけれど、自分の進む道を目指して必死に生きるエフィーの飾り気のない姿に失いたくない人間の意思の力強さを感じるのです。
最後に、ドリームガールズのモデルになったシュープリームス(スプリームスとも)のメンバーと、映画ドリーム・ガールズのメンバーを紹介しておきます。
女優(映画での劇中名)=モデルになったシュープリームスのメンバー
ビヨンセ・ノウルズ(ディーナ)========ダイアナ・ロス
ジェニファー・ハドソン(エフィー)====フローレンス・バラード
アニカ・ノニ・ローズ(ローレル)======メアリーウィルソン
※ダイアナ・ロスはその後、ソロ歌手として成功.
フローレンス・バラードはグループ脱退後、アルコール中毒になり、音楽界に復帰はするものの、レコードは売れず、失意のうちに32歳で亡くなった.
フローレンスがダイアナよりも歌唱力に優れていると評価されていたのは事実だという.
メアリー・ウィルソンはその後、ドリーム・ガールズの原作の元となった自伝“Dreamgirl: My Life As a Supreme”を書き、ベストセラーになった.
※レビュー部分はネタバレあり
ショービジネスの華やかな世界。
スターになることを夢見た3人の女性が駆け上がった成功への階段はドリーム・ガールズの名にふさわしい華々しさだった。
そして、その裏側にあるきれいごとだけでは済まない世界。
ドリームガールズに夢を見、理想を託した3人。成功した者とドリーム・ガールズの夢に破れた者。
ドリーム・ガールズを取り巻く栄光と挫折を描く。
大ヒットブロードウェイミュージカルの映画化。ビヨンセ・ノウルズが主演を務めたことでも話題になった。
1960年代のデトロイト。
ディーナ・エフィ、ローレルの仲良し3人組で結成した「ドリーメッツ」。
町のライブハウスの出演をかけてオーディションに臨む。
その三人に目を留めたのが、中古車ディーラーの傍らプロデュース業をしていたカーティス・テイラー・ジュニアだった。
彼は当時大ヒットしていたジミー・「サンダ―」・アーリーのバックコーラスとして彼女たちを雇うことにする。
仕事をもらい、大喜びする3人。
彼女たちはバックコーラスとしてジミーのツアーに参加し、ショービジネス界で次第に注目されるようになっていく。
ドリーム・ガールズの成功への道はここから始まったのだ。
【映画データ】
ドリーム・ガールズ
2006年・アメリカ
監督 ビル・コンドン
出演 ジェレミー・フォックス、ビヨンセ・ノウルズ、エディー・マーフィー、ジェニファー・ハドソン
トニー賞6部門受賞
ゴールデン・グローブ賞作品賞受賞
アカデミー賞6部門受賞
映画:ドリーム・ガールズ 解説とレビュー
※以下、ネタバレあり
i-Podに必ず何曲も入れて持ち歩くらい好きなビヨンセ・ノウルズ。もちろん、デスティニーズ・チャイルド時代からのファン。
そのビヨンセ・ノウルズが主演を務めるということで、どんなものかと思いながら鑑賞したドリーム・ガールズ。
ところが思わぬどんでん返しが。それは、ジェニファー・ハドソンのビヨンセをしのぐ歌唱力でした。
ジェニファー・ハドソンの声域の広さを窺わせる豊かな歌声は、圧倒的な声量とともに、観る者の心を動かす力強さを持っています。
一見、ビヨンセが割を食ったように見える本作。
実は、人物設定に沿った配役になっています。
ビヨンセ演じるディーナは、自分の美貌が秀でていることを知っていますが、歌唱力ではジェニファー演じるエフィーに劣ることを自覚しています。
そして、ショービジネスの世界で成功するには実力のあるプロデューサーが必要で、そのプロデュース力に頼ることが必要だと割り切っている女性です。
そこで、実際にも歌唱力でビヨンセに勝るジェニファーをエフィー役に抜擢するというキャスティングがあらかじめされているのです。
ビヨンセ自身は、声を抑えたとインタビューで言っているので、わざと歌唱力が劣るように演じたのかもしれませんが。
なので、割を食ったという表現は、実のところ正確ではなくて、ビヨンセが割を食うのは設定上必然的で想定内でしょう。
ビル・コンドン監督はビヨンセに遠慮していませんね。
現実の世界でも、プロデュース力の弱いレーベルに所属している歌手はやはり売り込みに苦慮するのでしょう。
ショービジネスの世界は歌唱力のコンテストではないのですから、歌のうまさで全米チャートが付くわけではありません。
単純に実力では売れない世界。
その仕組みを知りつくし、うまく自分をその歯車に乗せることに成功した器用なディーナ。
実力だけではだめなことを頭では理解していながらわが道を行くことを選んだエフィー。
理想と現実。このギャップに苦しむことは誰しも経験があるでしょう。
多くの人は現実を選びます。それが常識的な選択だし、世の中で生きていくための手段。その選択を恥じる必要はないでしょう。
それでも、長い間、その選択をし続けていくうちにいつの間にか人は理想を見なくなります。
目の前にあるのは現実だけ。
もしくは現実的だと自分が考えた選択肢だけになっていきます。
なぜ、理想を見なくなるのか。それは現実の自分と理想の自分のギャップに敗れることを想像して、それがつらくなるから。
エフィーは一人立つことを選びます。ドリーム・ガールズを抜け、ソロで歌っていくという道を。
もちろん、エフィーも迷わなかったわけではありませんでした。
お酒に溺れ、荒れた末に出した結論。戻ろうとした先の古巣にはすでに新しいメンバーがいました。
ドリーム・ガールズに戻れず、プロデューサーも失った今、エフィーは歌を辞めることもできました。
これから、一人で生きていくにはあまりにも障害が大きすぎます。
日々の生活、ゼロから働き始めなければならない現実。
そこで出したエフィーの選択は歌を歌い続けること。
自分ひとりで実力勝負をして見せる。
エフィーは自分の夢を終わらせないことを選びました。
事実、エフィーのモデルになったフローレンス・バラードは所属グループ脱退後に音楽界に復帰しています。
しかし、残念ながら彼女はアルコール依存により、若くして亡くなりました。
けれど、自分の歌のため、その道がたとえいばらの道であっても、歩むことを決意したエフィーの選択はその歌とともにドリーム・ガールズを観る者に夢をくれるものでした。
自分勝手で、自己主張が強すぎてドリーム・ガールズの結束を乱すこともあったエフィー。
そんな短所もあるけれど、自分の進む道を目指して必死に生きるエフィーの飾り気のない姿に失いたくない人間の意思の力強さを感じるのです。
最後に、ドリームガールズのモデルになったシュープリームス(スプリームスとも)のメンバーと、映画ドリーム・ガールズのメンバーを紹介しておきます。
女優(映画での劇中名)=モデルになったシュープリームスのメンバー
ビヨンセ・ノウルズ(ディーナ)========ダイアナ・ロス
ジェニファー・ハドソン(エフィー)====フローレンス・バラード
アニカ・ノニ・ローズ(ローレル)======メアリーウィルソン
※ダイアナ・ロスはその後、ソロ歌手として成功.
フローレンス・バラードはグループ脱退後、アルコール中毒になり、音楽界に復帰はするものの、レコードは売れず、失意のうちに32歳で亡くなった.
フローレンスがダイアナよりも歌唱力に優れていると評価されていたのは事実だという.
メアリー・ウィルソンはその後、ドリーム・ガールズの原作の元となった自伝“Dreamgirl: My Life As a Supreme”を書き、ベストセラーになった.