実話!


『こんな夜更けにバナナかよ』
幼い頃から難病を患う鹿野(大泉洋)は、入院生活をやめて自らボランティアを募り、自立生活をしていた。
医大生の田中(三浦春馬)は、そのボランティアの一人。
ある日、田中が連れてきたかわいいボランティアの美咲(高畑充希)に恋をした鹿野。
田中に相談をし、ラブレターの代筆も頼むが、実は美咲は田中の恋人だった‥‥。

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渡辺一史さんの著書が原作です。
監督は「ブタがいた教室」などの前田哲さん。

そんなもん、ええ話ですよ。そりゃあ。
泣きますって。

予告編の鹿野さん、わがままな一面ばかりフィーチャーされてましたが
宣伝でインパクトを残すために、仕方なかったんでしょうね。

実際にはユーモアがあり人の繋がりを大切にし、すごく明るく前向きで。
(モデルとなった御本人を存じ上げているわけではないですが)

わがまま言うにしても、自分の命に対して、自分で責任を負ってるんですよね。
入院や人工呼吸器を勧める主治医。
しかし、自分の自由な生活の妨げになる提案には、頑として首を縦に振らず。
もちろん、そのせいで自分が死ぬほど苦しんだり、ボランティアを振り回してしまったり。

それでも、自分の命を賭しての行動と選択なので
それを理解して支えるボランティアさんたちとの絆の強さは半端ではなく。

そんな実話がベースという重みはもちろんのこと
加えて大泉洋さんの熱演が素晴らしくて。
筋ジストロフィーの鹿野さんを演じるために
おそらくきつい減量もされたのではと思われる上半身の細さ。
説得力が凄かったです。

何より僕がグッと来たのは、お母さんとの関係ですね。
子供が大きな病気を抱えてしまった時
親御さんは、特に母親が責任を感じてしまうというのは、よく聞く話で。
病気なんて運で、誰の責任でもないのに。

その辺を理解した上での、鹿野さんと母上の優しい関係に
目頭が熱くなってしまいました。

体は不自由なのに、誰より自由に生きた鹿野さん。
自由な体でも、いろんなことを気にして縮こまって生きている人なんて、世の中にはいっぱいいる。

自分の体で何ができるのか
その体でどんな人生を送れるのか。
改めて考えるきっかけをくれる映画でした。


☆個人的見どころ
 ・母と息子
 ・熱い鹿野ボラ
 ・まさかのプロポーズ