池井戸潤さんの小説、初の映画化!


『空飛ぶタイヤ』
父から継いだ小さな運送会社を経営する赤松(長瀬智也)。
ある日、会社のトラックが脱輪事故を起こして主婦が亡くなり、赤松は整備不良の責任を強く問われる。
会社の評判も落ちて経営の危機に瀕するが、赤松はあることから、トラック自体の欠陥に気づく。
しかし、製造元のホープ自動車は再調査に応じず、そうしているうちに、銀行にも取り引きの見直しを突き付けられてしまった。
やがて巨大企業のリコール隠しに気づいた赤松は、それを暴くべく動きだすが、敵はあまりにも大きく‥‥。

---------------

監督は、「超高速!参勤交代」シリーズや、「鴨川ホルモー」などの、本木克英さん。
原作は、「半沢直樹」でお馴染み、池井戸潤さんの小説です。
寺脇康文さん、高橋一生さん、ディーン・フジオカさん、小池栄子さん、深田恭子さん、木下ほうかさんなどなどなど、キャストも豪華豪華。

いや~

面白い!

池井戸潤さんの小説は、本当に映像と相性が良いですね。
もちろん、監督さんや役者さんたちの手腕もあるのですが。

やっぱり見所は「揺らぎ」ですかね。
揺らぎの作り方が上手いんです。
大企業など、人が多く集まるところには、歪みがあって。
揺らぎを起こすことによって、歪みにヒビが入るわけです。

が。
その組織が大きければ大きいほど
ちょっとやそっとの揺らぎでは、びくともしないわけで。

もちろん揺らぎの中心は、長瀬さん演じる赤松社長なんですけど。
その人物の魅力と真摯な姿勢が、社外の人間に影響を与え
局所的な揺らぎを勃発させて‥‥。

大企業の揺るがなさと
何度もくじけそうになりながらも、突破口を探すためにあがく赤松。
熱くなりましたよ。

そうなるとやはり大事なのは
半沢直樹を演じた堺雅人さんのような
足袋屋の社長を演じた役所広司さんのような
タイプは違えど、「折れない芯」を持った主人公なわけで。

で、長瀬智也さんの社長。
魅力たっぷりでしたね。
このご時世の、経営の大変な中小企業の社長でありながら
社員を思いやり、資金繰りにも頭を悩ませ。
「間違っていた時に謝れる」
ここも人として大事。
不器用ながらも真っ直ぐな社長を熱演されておりました。

しかし、中小企業が大企業に楯突くということは
いくら正しいことを言っていたとしても
潰されるのが世の常。
その大逆転は、果たして可能なのか‥‥。

池井戸潤さんの作品は、現代の時代劇ドラマなんですよね。
「水戸黄門」や「遠山の金さん」「桃太郎侍」のような。
いわゆる日本人が好む勧善懲悪なんですが。

そんなシンプルではない、一筋縄ではいかない逆転劇を
いったいどう演出してくれるのか?
最後の最後まで、手と背と尻に汗をかきながら、めちゃくちゃ見入ってしまいました。

今年の邦画五本に入ると断言してもいい程の
見応えのある映画でございました。


☆個人的見どころ
 ・なるか大逆転
 ・高橋一生さんと小池栄子さんの感じ
 ・佐々木蔵之介キター!(呼び捨てすみません)