飯塚健監督!


『榎田貿易堂』
群馬県の片田舎に、突如リサイクルショップ「榎田貿易堂」をオープンした榎田洋二郎(渋川清彦)。
「扱う物はゴミ以外。何でも来いが信条さ」。
従業員は、夫婦仲が危うそうな千秋(伊藤沙莉)と、コミュニケーションが苦手な清春(森岡龍)。
そこには暇そうなおばさんのヨーコ(余貴美子)や、映画監督を目指しつつも実家の旅館を手伝う丈(滝藤賢一)がたむろしていた。
ある日、「榎田貿易堂」の看板の一文字が落ち、洋二郎は何かが起きる予兆だと興奮するが‥‥。

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監督・脚本は、「虹色デイズ」「笑う招き猫」などの飯塚健さん。

いるんですよね、たまに。
適当でだらしないのに、人なつっこくて、なんか放っておけない。
気づけば何でかそこに人が集まる、榎田のようなやつが。

舞台はリサイクルショップ。
誰かが不要とした物が、誰かの必要な物に変わる場所。
榎田貿易堂。「扱う物はゴミ以外」。
何かを売りに来る人は、自分の家に新しい空間を作るため。
何かを買いに来る人は、自分の家に新しい何かを入れるため。

どんな家にも、スペースには限りがあるんです。
人間もそう。

何かを捨てないと、その場所に新しい何かが入らない。
何かをやめないと、新しい何かが始まらない。
人生の岐路において、そういうことは往々にしてあるのです。

榎田貿易堂に集まる人たちは、奇しくも人生の岐路に立っている人ばかり。
まるで、店主の榎田に集められたように。

人生の何かを捨てて、新しい何かを拾う。
こういう物語を、リサイクルショップを舞台にやるっちゅうのが粋ですなあ。

飯塚健監督の映画は、「はっ」とさせられるようなセリフが、サラッと入り込んで来るんですよね。
振りかぶらず、サラッと。
それも、普通の映画なら1~2個くらいのキラーワードが、6個も7個も入ってきて。

メモ取って映画観ることはしないんですけど
この映画はちょっとメモりたい瞬間が多かったです。笑

決して派手さはありませんけど
印象に残る良作でした。
特に人生の岐路に立っている人、どうぞ。

余談ですけど
僕、伊藤沙莉さんの声、めっちゃ好きやなあ。笑


☆個人的見どころ
 ・「扱う物はゴミ以外」
 ・モールス信号
 ・やめたんじゃない、始めたんだ