復讐!


『女は二度決断する』
ハンブルグで暮らすドイツ人のカティヤ(ダイアン・クルーガー)とトルコ移民のヌーリの夫婦。
かつては麻薬の売買などもしていたヌーリだが、結婚後は真面目に働き、一人息子にも恵まれた。
そんなある日、ヌーリの勤務先の前で爆発が起こり、ヌーリと息子が命を落とす。
捜査により爆破テロであることが判明し、カティヤの目撃証言と防犯カメラから、容疑者であるドイツ女性が逮捕。
すぐに有罪が決定すると思われていた裁判も、相手側の狡猾な弁護士に翻弄され、不利な状況に。
ついには不当な判決がくだされ、カティヤは途方に暮れるが‥‥。

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監督は「50年後のボクたちは」などのファティ・アキン。

なんとまあ凄絶な女の生き様。
ラストシーンなどは、全身に電流が走ったような衝撃がありました。

「復讐物」と一言でくくっちゃうと、まあよくあるわけなんですけど。
これはもう、裁判が進めば進むほどズタボロにされていくカティアの心情が、見ていられないほどで。

平和だった毎日、幸せだった家族との生活。
それが理不尽なテロで、一瞬にして奪われてしまうなんて。

相手を同じ目に合わせてやりたいと思いつつも、人としての理性が許さず。
行動に移してしまえば、自分も鬼畜なテロリストたちと同じになってしまう。
それを分かっていても、絶対に許すことはできない。
そんなカティヤの心の揺らぎを演じるダイアン・クルーガー。
見事でしたね。

それにしても、こういう風に不当な裁判がきっかけで物語が転がる映画を、ちょいちょい見かけるわけですけど。
と言うことは、全世界的に裁判がおかしくなってるんですかね?

加害者を罰するだけではなく、被害者を救うための裁判でもあるはずなのに
その裁判によって、被害者が傷付けられることが増えているような。

相手側の弁護士がキーマンの一人でしたが
いや~もう、めちゃくちゃムカつきましたよ。
依頼人のためには、事実を歪めて伝えても良いのか?
正義って何なんだい。
もし舞台挨拶があって登壇してきたら、殴りかかってしまうとこでしたよ。(嘘)

こういう理不尽な裁判が映画の中にあると
作品の出来どうこうよりも、ムカつきが勝ってしまうことがあるんですよね。僕は。
まあ、それだけリアルな仕上がりだということなんですけど。

カティヤの凄まじい怒りと底知れぬ絶望に
観ていてどえらい体力を削がれる映画でした。


☆個人的見どころ
 ・カティヤを演じるダイアン・クルーガー
 ・クソ弁護士
 ・凄絶なラスト