実話!


「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」
幼少期にリウマチを患い、体が少し不自由なモード(サリー・ホーキンス)は、カナダ東部の田舎町で叔母と2人暮らし。
叔母と折り合いの悪いモードは家を出て、魚の行商をしているエベレット(イーサン・ホーク)の住み込み家政婦になることに。
はっきりした物言いのモードと、愛想の悪いエベレットはケンカばかり。
しかし、孤独に育ってきた2人は、いつしかお互いを支え合うようになり、ついには夫婦に。
ある日、モードが趣味で描いている絵を、欲しがる女性が現れて‥‥。

---------------

素朴な作風で知られる画家モード・ルイスの半生を描いた映画です。
監督は、アイルランド出身のアシュリング・ウォルシュ。

良い映画ですね。
麻痺の残る体にコンプレックスを持つモード。
無愛想で、人付き合いが苦手なエベレット。
小さな村の、その片隅で身を寄せあって暮らす2人に
こんな素敵な人生が待ち受けていたなんて。

2人の距離感が絶妙なんですよね。
家政婦としては、決して働きがよくないのに
思ったことをはっきり口にしてしまうタイプのモード。
口ベタでカッコつけなエベレットは、モードが必要なくせに、すぐに悪態をついてしまい。

そんな2人はケンカを繰り返すのですが
心の底の部分では、お互いがお互いを必要としていて
少しずつ、ほんの少しずつ距離を縮めて行くのですが
その姿が、なんだかとても微笑ましくて、そしてじれったくて。

モードの絵は、決して上手ではありません。
なのに、なぜか目を奪われ、見ていると心がふんわり暖かくなってくるような魅力が。

それも、エベレットとの出会いがなければ世に出てなかったかもしれないし。
エベレットも、モードに出会わなければ、独り孤独な人生を終えるのみだったかもしれません。

それこそ、「余り物」同士のような2人が、吹きだまりに流されてきたような出会いだったのに
その出会いが、まるで運命だったかのような輝きを帯びてくるんですよね。

決してロマンチックさも華やかさもない2人ですが
小さな家で幸せそうな2人を観て、とても暖かい気持ちをもらえましたよ。

素敵な映画でございました。


☆個人的見どころ
 ・不器用な2人
 ・モードの絵
 ・兄の断られっぷり