運命。


『DESTINY 鎌倉ものがたり』
鎌倉の古民家に住むミステリー作家の一色正和(堺雅人)と、そこに嫁いできた亜紀子(高畑充希)。
心霊・怪奇現象などにも精通している正和は、そういった事件の折に、鎌倉警察に協力を要請される名探偵でもあった。
しかし、他の町から来た亜紀子は、当たり前のように物の怪が見え隠れするその町に戸惑いを隠せない。
ある日、夫婦で行った夜市で買った松茸を食べたところ、中に妙なキノコが。
それを食べてしまったことにより、亜紀子の体にとんでもない異変が起こってしまい‥‥。

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西岸良平さんの人気漫画が原作です。
監督は「ALWAYS」シリーズなどの山崎貴さん。

鎌倉は二、三度しか訪れたことがないんですが
京都と通じる雰囲気を感じるところがありまして。
本当に、ちょっとした裏通りや物陰に、それこそ小さな「何か」がいても不思議じゃないような。

それに加えて、「昭和」という時代設定。
なんでもかんでも便利になった今の世の中もいいんですけど。
文明の転換期にあった昭和の、まだ昔の趣が色濃く残っている感じが
「鎌倉」「妖怪」というワードと、すごくマッチしておりました。

そんな時代・場所で、怪奇なトラブルに巻き込まれた正和と亜紀子の夫婦。
それを紐解いて行くと、正和の両親の謎や、2人の持った運命が明らかになり。
小さな古民家から始まった、ありふれた夫婦の物語が
いつしか黄泉の国をも巻き込んで、壮大なスケールの叙情詩に。
まんまと引き込まれましたよ。

貧乏神や死神、稲荷刑事などのキャラクターも楽しくて。
「妖怪は妖怪でコミュニティを作ってる」
と言うよりも
「こっそり人間社会に溶け込んで馴染んでいる」
感じも良かったですし。
普段の、正和と妖怪の関わり(特に警察と)は、もうちょい観たかったですが。

欲を言えば、全体がかわい過ぎるんですよね。
それによって、正和の命を賭した覚悟も、
「まあなんとかなりそう」
と思えてしまったのが、もったいなかったかなと。
そこも含めて、全体的に若い世代向けの映画なのかも。

あと、さすがにこの時代「百均」「コスプレ」などは、そんなメジャーな単語ではなかったのでは。
あんま細かく気にするのも野暮なんですが。

しかし高畑充希さんはええなあ。
「泥棒役者」でもそうでしたが、帰ったら家にいて笑ってて欲しい女優さんナンバーワン決定。


☆個人的見どころ
 ・運命
 ・黄泉の国の感じ
 ・宇多田ヒカルさんのエンディング曲