原作・又吉直樹先生!


『火花』
お笑いコンビ・スパークスを組む徳永(菅田将暉)は、地方から上京してきたが、なかなか結果が出ない毎日。
ある日、営業で行った熱海の花火大会で、神谷(桐谷健太)という4つ年上の先輩と知り合う。
その帰りに2人で飲むことになり、徳永は神谷に弟子入りを申し込み、2人は師弟関係に。
しかし、神谷は徳永に、弟子入りに際して一つの条件を与えた。
それは、自分の行動をノートに書きとめ、将来伝記を書けというものだった‥‥。

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ピースの又吉直樹先生の、芥川賞受賞作品が原作です。
監督は板尾創路さん。

刺さりました。
いやほんまに。

そして
救われました。
この映画に。
いや、苦しんでたわけではないんですけど。笑

例えば公園でボート乗ってるカップルに神谷が
「楽しいですか?」
「やめてくださいよ。驚いてますやん」
「すまん」
「楽しいですか?」
「お前も聞くんかい!」
みたいな会話。

「しょーもな」と思うかもしれません。
でもあるんですよ、そういうの。
やるんですよ、そういうしょーもないこと。

みんなテレビとかメディアで活躍したくて芸人になるんです。
テレビで活躍してる先輩芸人の「まねごと」や「ごっこ」を、若手はやるんですよ。
その若手の感じを、ナチュラルに出している桐谷さんと菅田さんに、感動しました。

誰やねんみたいな作家だかディレクターに、適当にあしらわれるネタ見せとか。
誰も聞いてくれないきつい営業とか。
やたらかわいくて優しい先輩の彼女とか。
自分たちが見てきた光景がいっぱい詰まっていて。

売れていく奴への嫉妬を吐く芸人とか
借金をしてでも後輩にカッコつける先輩とか
相方と上手く行かなくなったコンビとか
見てきた感情もいっぱい詰まってて。

キャストが最高に良かったんですよね。
桐谷健太さんがめちゃくちゃカッコ良くて。
たたずまいが。
それは、世間でいうイケメンとかのカッコ良さとは別で
誰とかではなく、自分が若手の頃に憧れた、かっこいい先輩のたたずまいで。

それに憧れる徳永役の菅田将暉さんも。
ちょっと人気が出ても、「自分が本当にやりたい笑いはこうじゃない」みたいな葛藤とか。

サブのキャストがまた、みんな良くて。
神谷の相方は、俳優の三浦誠己(元芸人。僕と同期!)。
2人の立ち姿は、武闘派な先輩そのもの。
徳永の相方が、2丁拳銃の川谷修士兄さん。
芸歴はベテランなのに、あの若手の初々しさを芝居で出した兄さんに感動。
そして神谷の彼女(?)役の、木村文乃さん。
まさに後輩が憧れる、先輩の美人な彼女。

もちろん、ただの「若手芸人あるある」で終わってないんです。
そこには、「売れたい」という気持ちのぶつかり合いがあり
競争と勝敗、嫉妬や挫折があり。
そして何より、敗れて散って行ったものたちへの賛歌がありました。

泣いてしまった。

でもこの映画って、どこまで一般の人に伝わるのだろうか?
某レビューサイトを見に行ったら、あまり点が高くなかったんですけど
ツイッターで感想書いてる友達の芸人たちには、やはり刺さりまくっているようで。
やはり多くの一般の方には、伝わらなかったんですかね笑
難しいもんすな。

本当はもっと書きたいけど、この辺にしときます。
あとで書き足すかも。てへ。


☆個人的見どころ
 ・桐谷健太さんの「神谷」と、菅田将暉さんの「徳永」
 ・神谷の落ちて行く感じ
 ・「この壮大な大会にはちゃんと勝ち負けがある」