謎のエイリアン。


『散歩する侵略者』
夫の真治(松田龍平)が数日間行方が分からなくなった後、別人のようになって帰ってきたことに戸惑う鳴海(長澤まさみ)。
さらに真治が、自分は地球を侵略しに来た宇宙人だと告白し、鳴海はさらに混乱する。
その頃同じ町では、一家の惨殺事件が発生したのをきっかけに、謎めいた事件が頻発。
フリーのジャーナリスト・桜井(長谷川博己)は、調査を開始。
すると、自分は宇宙人だと言う男子高校生に出会い‥‥。

---------------

監督は「クリーピー」「ダゲレオタイプの女」などの、黒沢清さん。
原作は、劇団イキウメの舞台なんですって。
笹野高史さん、光石研さん、小泉今日子さん、東出昌大さん、満島真之介さん、前田敦子さん、高杉真宙さん、恒松祐里さんなどなど、キャストも豪華!

宇宙人に侵略される映画は、もう何十本何百本もありますけど。
これはまた変わったアプローチで、その独特な感じが面白かったです。

普通に生活している人間に入り込んだ宇宙人。
彼らは地球人の脳から「概念」を学び、対象となった人間は、その概念を失う。
概念を奪われた人間は別人のようになり、少しずつ街に混乱が‥‥。

宇宙人に乗っ取られた人間役が、松田龍平さんというのがまた絶妙に奇妙で。
死んだような目、無機質な感じが、この上なく不気味なのです。

その奇妙になってしまった旦那に戸惑いつつ
破綻していたとはいえ、夫婦である責務から、仕方なしに側にいた鳴海ですが。
無のような状態から、人間らしさを得ていく真治に
新たな感情が芽生えていくのです。

そういった展開の意外性と
クライマックスからラストにかけての畳み掛けを
気付けば固唾を飲んで見入っておりました。

ただ、見終わった後も、この宇宙人たちがどういった存在なのかが、全く見えてこなくて。
地球人の概念を学ぶというのは分かるのですが
そういったものを、元々何も持ち合わせてない種族だとしたら
何をもって団結し、何の目的で地球を侵略しに来たのかと。

物語の本筋からしたら、そんなに重要ではないことかもですが
僕は気になってしまいました。

でも、そこをかっちり決めてしまうと、このストーリーは成り立たないのか。
う~ん。


☆個人的見どころ
 ・概念を盗む
 ・人妻な長澤まさみさん
 ・侵略の成否